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管理職のスキルと信頼を高める学びとは?
リモートワーク下では、部下のマネジメントに悩む管理職は続出しましたが、では直接顔を合わせない環境で、どうすればよいマネジメントができるのでしょうか?ここでは、マネジメントに欠かせない「信頼」を得るために必要な学びと、役立つスキルをご紹介します。
リモートワークのマネジメントはなぜ難しいか?
リモートワークの定着によって、管理職は部下と直接顔を合わせることが減ったため、マネジメントの難しさを抱えています。いったい、どのような難しさがあるのでしょうか。
1)部下の悩みや困りごとがつかめない
同じ場所で仕事をしているときは管理職と部下がコミュニケーションをとる機会があり、部下の悩みや困りごとを自然とつかむことができました。しかしリモートワークではその環境が失われてしまい、部下の悩みや困りごとがつかみにくくなっています。
2)部下の仕事ぶりがわからない
従来は部下の仕事ぶりを直接見ることができましたが、リモートワークではそれができないため、部下の状況がわかりにくく、定性的な人事評価が難しくなっています。
3)リモートハラスメントにつながりかねない
リモートワークによって、対面でできていたマネジメントができにくくなり、リモートハラスメントにつながるケースが出ています。例えば、常時カメラを稼働させることを義務づける、事細かに業務報告をさせる、プライベートな話題に言及しすぎる、連日のようにオンライン飲み会に誘うなどです。しかしこれらは、「自分を信じていない」「仕事をしていないと思われている」と部下に不信感や不快感、威圧感を与えてしまいます。
管理職と部下の「信頼関係」が重要に
リモートワークのマネジメントで重要なのは、部下一人ひとりの行動を強制するようなマネジメントではなく、部下への不信感や不快感、威圧感をぬぐい去る「信頼関係」を作ることです。
信頼関係があれば、前述した「部下の状況の把握」や「コミュニケーション」の課題も解決しやすくなるでしょう。管理職に対して「この上司なら、何でも相談できる」「自分の力になってくれる」という気持ちになり、わざわざ監視しなくても部下のほうから積極的に「置かれている状況」や「困りごと」を知らせてくれるようになるはずです。
上司として信頼されるために必要なこと
では、部下から信頼されるためには何が必要なのでしょうか?以下に、信頼される上司、信頼されない上司によくある特徴を挙げてみます。
信頼される上司
1.仕事に精通し部下の力になる
仕事に精通し、明確な手段や方法を示すことができ、部下の目標達成のために力になれる上司です。このような特長を持つ上司は、指示や話していることに一貫性があります。
2.誠実・公正に部下に対応する
部下の言うことに誠実に耳を傾けて対応し、約束や秘密を守ってくれる上司です。誠実で公正な対応をしてくれる上司だと感じられることがポイントです。
3.心を開いて率直である
自分の考えを率直に表現し、部下に対して心を開き、嘘をつかない・いざとなっても逃げない・言い訳をしない上司です。
信頼されない上司
1.頼りない・指示に一貫性がない
チャレンジ精神がなく、部下の目標達成を支援することができない頼りない上司です。また、仕事について明確な指示が出せない・指示に一貫性がない上司も、部下の信頼を得にくいでしょう。ありがちなパターンは「時間が経つと言うことが変わる」「人によって言うことが変わる」「上がそういったからと言う」などです。
2.感情的・否定的に接することが多い
感情的・否定的に接することが多い上司です。部下は嫌気がさしたり、恐怖を感じてしまうでしょう。また、気に入らない部下を痛めつけたり、地位や権限を笠に着て部下の尊厳を傷つけることをする上司も信頼されません。
3、部下の話を聞かない
部下の話を聞かずに指示だけ出してしまう上司です。世代の違いで仕方ないことですが、価値観が違うことを理解せず、部下に歩み寄る姿勢が欠けているといえます。
信頼される上司になるために役に立つスキル
部下に信頼されるため・部下に不信感や威圧感を与えないために役立つスキルをご紹介します。言葉の選び方や態度で損をしていることも考えられるので、自分の行動を見直す上でも役立ちます。
1.感情的にならない→ストレスマネジメント、レジリエンスが役立つ
感情的に行動してしまうことは、自分のストレスをマネジメントできていないということ。部下に感情的に接してしまいそうになった時は、一歩引いて自分を俯瞰することが大事です。ストレスマネジメントにはいろいろありますが、例えば「回復力」「しなやかさ」を意味するレジリエンスが役立ちます。人は、大きなストレスをため込んでいる時ほど、感情的になりやすくなります。レジリエンスを高めておくと、大きなストレスを抱えても、冷静な状態に早く回復することができ、感情的になる機会を減らすことができます。
レジリエンスを身につけるポイントは、「自分を支える軸を明確にする」「柔軟性と楽観主義を身につける」「対人関係のスキルを磨く」「自己肯定感を高める」などを日頃から意識することです。
また、相手に対する怒りの感情が大きい時は、隙間時間に「やりたいこと」を行うのもいいでしょう。別の仕事でやっておきたいことや、読みたい本を読むなど自分に楽しみをもたらすことなら何でもいいのです。これを行うことで怒りを別のものに転換することができ、感情の安定につなげられます。
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2.部下の話を聞く→1on1ミーティングが役立つ
部下の話を聞くには、「1on1ミーティング」が役立ちします。これは部下が主役となり、上司と部下が1対1で行う対話の場のこと。上司が部下に対して話すという一方通行のコミュニケーションではなく、お互いが対話するというコミュニケーション形式です。1on1は、部下と行うミーティングに取り入れるとよいでしょう。ミーティングでは「今日の予定や体調のこと」、「業務で困っていること」「チャレンジしてみたいこと」「今後のキャリアのこと」などをテーマにします。
なお、1on1ミーティングを取り入れている企業では、週1回か月1回に行うのが一般的ですが、専門家によると、1on1ミーティングで重視しているのは内容ではなく、回数(接触頻度)です。部下との接触頻度が下がれば、信頼関係も下がり、部下との接触頻度が上がれば、信頼関係も上がることを指摘します。始業前の1分間でいいので、部下との1on1をおすすめします。
また、ある程度の時間がとれる1on1ミーティングでは、コーチングのスキルを取り入れると、さらに部下の信頼関係の構築に役立つかもしれません。「答えはその人の中にある」という原則のもと、部下が自ら考え、行動した実感から学ぶことを支援するのがコーチングです。部下が本来持っている力や可能性を最大限に発揮できるようサポートしてみましょう。
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3.誠実、率直になる→オーセンティック・リーダーシップが役立つ
チームメンバーを誠実、率直にリードできるようになれば、部下とも信頼関係が作りやすくなるでしょう。そのために役立つスキルがオーセンティック・リーダーシップです。オーセンティックとは、「確実な」「本物の」という意味があり、本物のリーダー像を築き上げる手法です。
オーセンティック・リーダーシップを身につけるポイントは、「自分らしさをしっかりと見つける」「一貫性のある倫理論を持つ」「自分の行動が自身の価値観に当てはまっているか、を常に自問自答する」「自分をさらけ出して、周囲と対等なコミュニケーションを構築する」などです。
今「オーセンティック・リーダーシップ」が注目される理由
https://solution.jma.or.jp/column/c211104-01/
4.メンバーに発信する→ビジョンマネジメントが役立つ
一足飛びで部下から信頼を得るのは難しいので、管理職としての役目を確実に果たすことが優先です。役目の一つは、会社のビジョンを部下全員に発信して、みなが同じ方向を向いて仕事ができるようにすることです。そこで、役立つスキルが「ビジョンマネジメント」。メンバー全員に会社のビジョンを発信し、共有してもらえるようになれば、部下はどのように努力すればいいのかがわかり、モチベーションが高まり、部下との信頼関係も築きやすくなります。またチームワークが向上し、顧客へのサービスの質や会社の業績の向上に繋がる可能性も秘めています。
部長のための変革マネジメント力強化
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5.部下の気持ちを思いやる→エンパシーが役立つ
エンパシーとは「感情移入、人の気持ちを思いやること」を指します。これは、言い換えると「部下の立場に立って、部下の気持ちを考えること」で、ただ部下に同情することとは異なります。
最近、経営者や人事担当者の間で注目されている研修に「EQ」という概念があります。これは自分の感情をコントロールする力や、相手の気持ちを知覚する力を表す指数で、EQが高い管理職ほど、部下の感情に寄り添ったマネジメントができると言われています。部下は上司から「関心を持ってくれている」「寄り添ってくれている」ことを感じると、仕事へのモチベーションが高くなります。つい部下の話を聞かずに指示だけを出しがちな管理職は、エンパシーやEQのスキルを高めるとよいかもしれません。
EQ向上で職場の問題を解決する
https://solution.jma.or.jp/column/c220128/
まとめ
ある調査によると、じつは半数以上の部下は上司のことを信頼しているという結果も出ています。不安感の原因は、実は純粋にリモートワークという環境の変化だったのかもしれません。しかし、本来、上司と部下との信頼関係は、対面、リモートを問わず必要なもの。この機会に、上司と部下との信頼関係を見直す意味でも、ここで紹介したようなスキルを学んでみてはいかがでしょうか。