やりっぱなしにしない!研修活用術

失敗しない研修計画

新任マネージャーの課題を理解し、支える方法を考える

公開日:2024/03/21 更新日:2024/03/21

新任マネージャー(課長相当職)研修は、多くの企業が力を入れている研修の一つです。しかし、新任マネージャーが抱える多くの課題や悩みについては、どの程度理解できているでしょうか?昇任をきっかけに心身の不調に陥る新任マネージャーも多い中、研修担当者にできる支援を考えます。

管理職になると変わること

育成担当者として、育成対象者の抱える課題については理解しておきたいものですが、とくに新任マネージャーについては大きな課題があるものです。そこでまずは、プレーヤーから管理職になる際の変化について確認しておきましょう。

マネジメントされる側からする側になる

部下を指導・育成する立場、評価する立場、指示命令を出す立場になります。 

責任範囲が広がる

責任範囲が個人から組織へ広がり、管理・監督責任や結果責任まで問われるようになります。

業務量の増大

部下の目標管理だけでなく、「コンプライアンス」「メンタルヘルス」「情報管理」など管理職の業務は多岐に渡ります。ビジネス環境の変化により、管理のテーマが広がり業務量が増え続けているのが実情です。 

情報量の増大

管理のテーマが増えれば、それだけインプットする情報量が増えるものです。またITツールの導入で情報流通ルートが広がり、情報量が増えるだけでなくより複雑になっています。

新任マネージャーが不安に感じがちなこと

変化が大きければその分不安も伴います。育成担当者としても新任マネージャーが抱えがちな不安について理解し、それに合わせた対処法の検討につなげましょう。

部下の指導・育成ができるか不安

部下のモチベーション管理や育成は管理職の重大な役割です。部下や組織全体の目標設定や評価など、これまでやったことのない業務は、それができるかどうかという不安につながります。さらに年上の部下がいる場合、指導のやりづらさも問題になり得ます。

仕事をうまく任せられるか不安

プレーヤーとしての豊富な経験があればあるほど、「部下に任せるより自分でやったほうが早い」「自分のほうが数字をあげられる」と感じ、部下に仕事を任せることへの不安が生まれます。仕事の割り振りやタスク管理などについては、「部下から不満に思われるのではないか」と心理的負荷を感じることもあります。 

チームワークを高められるか不安

管理職には、組織を牽引していけるようなリーダーシップが求められます。加えて部下の雇用形態や働き方も多様化しているため、チーム内の関係構築は以前より難しくなっています。多様な価値観を持った部下の存在は、コミュニケーションの不安につながります。

労務管理への不安

管理職は組織の数字だけでなく、部下の労務管理にも気を配らなければなりません。部下のメンタルヘルスやハラスメントへの対策など対応すべきテーマは多岐にわたります。リスク管理の失敗を恐れるばかりに、組織の目標達成から遠ざかってしまうこともあるかもしれません。

マネジメントと業務のバランスがうまくとれない

管理職とはいえマネジメント以外の業務も抱えています。しかし業務時間中はマネジメント業務に追われ、自分の業務は業務時間外で補うなど、仕事のバランスが崩れやすくなります。逆に自らの業務に追われ、マネジメントまで手が回らないというケースもあるでしょう。

マネージャーがプレッシャーを感じる原因

新任マネージャーは、こうした不安やプレッシャーからメンタルに問題をきたしやすい傾向があります。育成担当者は、管理職にプレッシャーがかかりやすくなる原因を理解し、備えておくことが重要です。たとえば次のようなことが挙げられます。

多すぎる業務量

マネジメントにおいて大事なのは部下とのコミュニケーションの時間ですが、全体の業務量が多すぎると、コミュニケーション以外の業務が疎かにならないかと心理的負荷がかかります。

相談できる人の減少

組織の中で立場が上がっていくほど、抱える悩みを相談できる相手も減少します。困難な状況でも強いリーダーであろうとするため、周囲に弱みを見せにくくなることも負担の原因になります。 

褒められる機会の減少

プレーヤー時代は、実績をあげれば評価につながります。しかし管理職になると組織への評価が中心となり、直接褒められる機会が減少、モチベーションを保ちにくくなります。

自分をフォローしてくれる人の減少

管理職になると、自分で判断・決定しなければならない状況が増えます。誰かに頼る、フォローしてもらえる機会が減るため、プレッシャーはより大きくなります。

企業としてできる対処法

必要なスキルが学べる研修は、新任マネージャーにとっては大きな助けとなります。しかし、研修だけでは解消できない問題も多々あります。そこで新任マネージャーを支える施策の例を考えてみましょう。

研修後の相談窓口を設ける

研修による必要なマインドや育成スキルの開発は、新任マネージャーにとって安心材料となりますが、研修後の相談窓口を設けるなどフォローできる体制があるとより安心感が増します。

自身のメンタルケアについても意識するよう促す

新任マネージャーは、強いリーダーでいようとするばかりに、周囲に弱みを見せることができずメンタルの不調をきたすケースもあります。企業としては、管理職がメンバーのメンタルケアにだけでなく、自身のケアに意識が向くように促すとよいでしょう。

定期的なストレスチェックの実施

企業が新任マネージャーを支えるということは、「いかに管理職の不調に気づけるか」ともいえます。定期的なストレスチェックを行い、仕事の負荷が心身の不調につながる可能性を管理職自身に自覚してもらうように働きかけをしましょう。

 社内外のコーチやカウンセラーなどによるケアの充実

管理職が身近な人に気軽に悩みを相談できず、問題を抱えこむケースでは、社内外のコーチやカウンセラーなどを活用するのも一つの方法です。直接業務に関わりのない専門家だからこそ、悩みを相談しやすいというケースもよくあります。

管理職の横の繋がりの強化

管理職同士が共通の悩みを共有、相談できるよう、横の繋がりを強化できる環境を整えるのもお勧めです。組織横断的なプロジェクトの発足、社内部活などコミュニティを充実させてみるとよいでしょう。
 

新任マネージャーになると多くの悩みや課題が発生しますが、マネージャーにとっては大きな成長の機会であることも事実。たとえば、部下とのコミュニケーションの悩みを克服することは、マネージャー自身の対人スキルを高めます。育成担当者としては、新任マネージャーに「成長できるチャンス」であることを伝え、困難に打ち勝てるようサポートする環境作りを心がけていきましょう。未来のリーダーを応援するためサポート強化は、企業にとっても大きなメリットになるはずです。

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