今どき研修テーマ&メソッド図鑑
Z世代を育てるために、上司世代が学ぶべきこと
「Z世代社員のマネジメントに頭を悩ませている」「Z世代の考えていることが分からない」など、マネジメントに課題を感じている上司世代は多いもの。そんな上司世代がうまく若手をマネジメントできるようになるためには、どんなスキルを身につければよいのでしょうか? Z世代を成長させるマネジメント法と、そのために必要なスキルについて考えます。
上司世代とココが違う!Z世代の特徴とは?
Z世代社員に対するマネジメントがうまくいかない理由の一つに、上司世代とZ世代社員の世代間ギャップがあります。Z世代のマネジメントは、彼らの価値観や考えを理解して行うのが理想的。まずは上司世代と異なるZ世代の特徴を知っておきましょう。
ワークライフバランス重視
Z世代は、仕事よりもプライベートや自分自身を大切にする働き方を理想としています。仕事についても「会社のため」ではなく「自分自身のため」であるという考え方があります。
個人の価値観の重視
Z世代は多様性を重視する世代で育っているため、多くの人が「みんなが違う考えでもよい」と思っています。個人として他人の価値観を重視し、さらに自分も「個人」として認めてほしいと考えます。
チームワーク重視
個性に優劣をつけてはいけないという時代の流れもあり、競争意識が低下し、その前の世代と比べて出世意欲が高くありません。それよりも、周囲と協力して目標を達成する「チームワーク」を重視します。
モチベーションは内発的動機が中心
Z世代のモチベーションは評価や報酬などの外発的動機では高まらず、自分の内側にある内発的動機によって引き起こされやすい傾向があります。内発的動機は人それぞれ異なります。
叱られることや失敗が苦手
学校や家庭でも叱られたことが少ない人も多く、叱られることに慣れていません。社会人になると、意識は高くても経験値が低いため失敗が続くこともありますが、失敗にも慣れていないため自己肯定感も低くなりがちです。
自律性が低い
言われたことは上手にこなしますが、自分から行動しない、自分で考えて取り組む習慣がないなど自律性が低い傾向があります。
Z世代のマネジメントに必要なこと
こうしたZ世代の特性を踏まえ、上司世代はZ世代にどのように接するべきでしょうか。とくに意識しておくべきポイントを挙げてみましょう。
ワークライフバランスへの理解を深める
「仕事中心」という上司世代の価値観は、Z世代と最も異なる点かもしれません。Z世代が生き生きと活躍できるようにするには、上司世代はZ世代のプライベートを尊重することを意識する必要があります。
多様性への理解、価値観の尊重
上司世代は自分の価値観を基準とするのではなく、Z世代の育ってきた背景を知り、多様性への理解を深める必要があります。自分のマネジメントスタイルを押し付けるのではなく、Z世代がどのようなマネジメントを求めているかも把握しなければなりません。
多様な働き方を用意する
ライフスタイルに合った働き方ができるよう、企業としてもリモートワークや週休3日制など多様な働き方が実現できる環境を整えるのが望ましいですが、運用する上司もそうした考え方について理解する必要があります。
ネガティブ・フィードバックは慎重に
ネガティブ・フィードバックとは「よくなかった点を指摘する」ことです。誰にとっても受け止めにくいものかもしれませんが、とくに叱られ慣れていないZ世代は、「ネガティブ・フィードバック」を受けるとメンタルに不調をきたしてしまう可能性もあります。たとえば、最初に褒めて相手の心を開きつつ、その後に改善してほしいことを伝えるなど慎重な指導が求められます。
褒める、感謝を伝える
承認欲求の強いZ世代に対しては「できたこと」を褒めるのも効果的です。「褒めてほしい」「感謝してほしい」という気持ちに応えることで、Z世代の自信につながっていきます。
Z世代の学びを支援する上司世代の学び
Z世代を育成するには、上司世代が意識を変え、Z世代に合った育成法やスキルを習得する必要があります。たとえば下記のようなスキルを身につけておくと効果的でしょう。
心理的安全性を高めるスキル
心理的安全性が高い組織は、活発な発言や行動が起きやすくメンバーのモチベーションが高まるとされています。上司世代は、自律性の低いZ世代が安心して発言や行動できるように、心理的安全性の高い環境を作るスキルを身につけておくとよいでしょう。
傾聴・コーチング力
デジタルネイティブであるZ世代は、情報収集力は高いものの、実際に経験し、試行錯誤を経て解決する体験が少ないといえます。試行錯誤に悩むZ世代を導くためには、今相手状況や課題を聞き出す傾聴やコーチング力がよりいっそう求められます。
内発的動機を引き出す力
Z世代の仕事に対するモチベーションを高めるためには、内発的動機がカギとなります。内発的動機は人によって異なるため、上司が個々の内発的動機を引き出す力を備えていると強みになります。
【関連URL】「内発的動機」を引き出し、活かす
成長支援を目的としたコミュニケーション
Z世代を育成するには、「教える」よりも「成長を支援する」というコミュニケーションを身につけることもポイントです。まずは上司側がコミュニケーションへの意識を変える必要があるでしょう。
このように、Z世代の新人育成のためには、本人だけでなく、彼らを導く上司世代の側も新たに学び、考え方を更新する必要があります。今一度、上司世代への教育についても見直してみるのはいかがでしょうか。
関連リンク
管理職向けZ世代を理解し活かしていくためのコミュニケーション研修