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公開日 : 更新日 : Z世代とミドルマネージャーのコミュニケーションを改善する

価値観も働き方も異なることから、ともすればすれ違いがちなZ世代の若手社員とミドルマネージャー。そのすれ違いをどう乗り越えるか。両者の特徴やギャップをふまえ、相互理解に向けてできることを考えます。

Z世代社員とミドルマネージャー、それぞれの言い分

「何を考えているのかわからない」「もっと積極的に動いてほしい」。ミドルマネージャーはZ世代社員に対して本音ではこんなふうに思っているかもしれません。一方で、Z世代社員からは「上司が頭ごなしに指示してくる」「こちらの考えを理解しようとしない」といった不満の声も聞かれます。

ミドルマネージャーとZ世代社員のあいだで、価値観や働き方のスタイルにズレがあるのは事実です。しかしそのズレを「世代の壁」としてあきらめるのではなく、相互理解を進めていくことが、組織の活性化と人材育成のカギになります。

Z世代社員の価値観と特徴

Z世代とは一般的に、1990年代後半から2010年ごろまでに生まれた世代を指します。物心ついたときからインターネットが存在し、スマートフォンを当たり前に使いこなすデジタルネイティブとして知られますが、仕事に関する特性としては一般的に次のようなことが指摘されています。

  • 多様性への感度が高く、他者の価値観を尊重する。
  • 安定志向で、無理をしてまで出世を目指さない傾向がある。
  • ワークライフバランスを大切にする。
  • 「なぜこの仕事をするのか」という意義や納得感を重視する。
  • 対面よりもテキストやチャット中心のコミュニケーションを好む。

こうした価値観は、旧来の「がむしゃらに働く」「出世して一人前になる」といった世代の常識とは一線を画すものだと言えるでしょう。

ミドルマネージャー世代の価値観と特徴

現在ミドルマネージャーと言われる層は、40代~50代前半の人が多いのではないでしょうか。この世代は、バブル崩壊や就職氷河期、長時間労働が当たり前だった時代を経験し、会社や上司からの期待に応えることで成長してきたという背景を持っています。そんな現代のミドルマネージャー層によくある価値観や特徴としては、次のような点が挙げられます。

  • 自らの成功体験から「努力は報われる」「苦労してこそ一人前になれる」と考える。
  • 指導=鍛えることと捉えがち。
  • 責任感が強く、仕事を抱え込みやすい。
  • 自分の経験から、若手にも同じやり方を求めがち。
  • 「空気を読む」「忖度する」といった日本型組織の暗黙知に馴染んでいる。

こうした価値観は、合理性や納得感を重視するZ世代とは対照的な側面を持ち、コミュニケーションギャップの原因になることもあります。

一方で、ミドルマネージャーはプレイングマネージャーであることも多く、その役割ゆえの事情も数多く抱えています。例えば次のような点はその代表的なものと言えるでしょう。

  • 現場業務とマネジメント業務の両方を抱えて多忙。
  • 上からは成果を求められ、下からは丁寧な指導を期待される。
  • 「ハラスメントにならない」ことを意識するストレスにさらされている。

ミドルマネージャーとZ世代のコミュニケーションを改善するには、こうしたミドルマネージャー側の事情についても理解したうえで、助けとなるような支援をしていく必要があります。

ミドルマネージャー側から考えるすれ違い解決法

ミドルマネージャーがZ世代に対して感じる悩みや不満には、両者の価値観の違いが引き起こすすれ違いが原因になっている場合も多いものです。まずはミドルマネージャー側が意識することで悩みを解決するためのヒントを考えてみましょう。

【悩み1】指示したのに動いてくれない

【解決のヒント】「意図・目的」を明確にする

Z世代は「言われたことをそのままやる」よりも、「自分で納得して進めたい」という気持ちが強い傾向にあります。ミドルマネージャーは、単なる指示ではなく、背景や目的を共有し、「なぜこの仕事が必要なのか」を丁寧に説明することが有効です。

【悩み2】すぐ折れる、辞めたがる

【解決のヒント】キャリアが多様化していることを理解する

Z世代にとって「転職」や「独立」は特別なことではなく、自己実現の手段の一つです。ミドルマネージャー側は、辞めることを“逃げ”と決めつけるのではなく、なぜ「辞めたい」と考えているのかを聞き出し、社内異動の選択肢を示すなど柔軟なキャリア支援を行うことが信頼関係の構築につながります。

【悩み3】何かあっても相談してこない

【解決のヒント】心理的安全性を意識的に作る

Z世代は「話しかけづらい雰囲気」に敏感で、上司の機嫌や雰囲気を読んで萎縮してしまうことがあります。「困ったときはいつでも声をかけていい」「失敗しても責められない」という状態がコミュニケーションの第一歩になります。

育成担当者としてできるサポート

こうした解決方法を実行するにはミドルマネージャー側に一定のスキルが必要です。人事の観点から考えるなら、ミドルマネージャーがこうしたスキルを身に付けられる機会を作ったり、コミュニケーションが活性化する施策を実施したりすることも重要だといえるでしょう。次のような研修や制度が役に立つかもしれません。

「Z世代理解」研修

若手社員(Z世代)が育ってきた背景を理解したうえで、推奨される接し方、やる気の引き出し方を学びます。

研修:管理職向け Z世代を理解し活かしていくためのコミュニケーション研修>>

1on1やフィードバックのための研修

「評価面談」となると心を閉ざしてしまう人も、定期的な1on1ミーティングであれば話しやすいもの。こうした1on1ミーティングにおけるフィードバックの方法や、本人の力を引き出す方法は、学ぶことで実践できるようになります。

研修:「1on1ミーティング」に学ぶ、効果的なフィードバック実践>>

研修:ティーチング・コーチング実践習得>>

対話を促す社内制度の導入

コミュニケーションの活性方法にはさまざまなものがありますが、若手がメンター、ミドルマネージャーがメンティとなって行う「リバースメンタリング」は、異なる価値観に触れ、相互理解を促すのに役立つと言われています。

コラム:リバースメンタリングが組織にもたらす効用>>

違いを乗り越えるカギは「相互理解」

Z世代とミドルマネージャーは、異なる時代を背景に、それぞれの価値観を形成してきました。その違いが摩擦を生むのはある意味自然なことです。

 

しかし、本来ミドルマネージャーは組織の中核となって経験を積み、Z世代にとってもよきつなぎ役になり得る重要な存在です。重要なのは、相手を理解し、そのうえで自分の考えや期待を伝わる形で発信すること。Z世代の力を引き出し、ミドルマネージャーの経験を生かすため、積極的に相互理解を進めていくことが重要だと言えるでしょう。