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公開日 : 更新日 : 【導入事例】ワークを多く取り入れたカスタマイズ研修が新入社員の行動に変化をもたらした

JMA関西事務所では、講師派遣をはじめとする人材育成支援を行っています。今回は、旭化成株式会社 水島製造所様が新入社員研修をJMAにご依頼いただいた具体的な背景、そして研修後の新入社員の変化について人事部の岡田康彦様にお話を伺いました。
(聞き手・JMA関西事務所 高谷 芳子)

入社時の“土台作り”がますます重要に

―事業内容と、水島製造所の特徴について教えてください

岡田様 旭化成は科学技術を基盤に、マテリアル、住宅、ヘルスケアの領域で事業を展開しています。水島製造所はマテリアル事業における石油化学製品の最大拠点ですが、近年では医薬品添加剤など、石油化学原料以外の製品も手がける拠点となっています。

水島コンビナートでは近隣の他社と配管でつながっており、原料や用役(電気や蒸気)のやり取りを行っています。高圧ガスや毒劇物なども多く取り扱うため、安全・安定運転の徹底が一層求められる環境です。

―新入社員への研修にはどのような課題を感じていましたか

岡田様 近年、新入社員やキャリア採用入社の社員が増える一方、長く現場を経験したベテラン層が減少しています。熟練者がすべての新入社員を教育することも難しく、経験の浅い社員も教育する側に回らざるを得ない状況です。

また忙しい業務の合間を縫って、研修時間を確保するのも困難ですが、十分に教育を受けていないままの若手社員や新入社員が現場に出ると、怪我や労災につながるリスクも高まりかねません。安全を最優先に掲げる中、入社時研修の見直しは急務でした。

―研修体系をどのように変更されたのか教えてください

岡田様 オペレーターとして配属される高卒および高専卒社員の研修期間を、従来行ってきた期間より約1ヶ月延長しました。延長した期間で、安全管理の基礎や、オペレーター業務に重点を置いたカリキュラムを実施しています。

また配属直後から現場の一員として業務に携わるにあたっては、個人の意識づけが大事だと考えました。学生時代の気持ちからいち早く脱却し、社会人としてのマインドセットを重視したプログラムも新たに取り入れることにしました。

検討段階での講師との打ち合わせが安心材料

―研修パートナーの選定はどのように進めましたか

岡田様 研修を提供する4社から提案を受けて、その内容を比較検討しました。JMAさんについては、郵送物に「製造業向けの新入社員研修」と掲載されていたことが相談のきっかけです。以前、水島製造所内の別の研修でもお世話になった実績があり、専門性の高い研修をご提供いただけるだろうと感じていました。

―最終的にJMAを選んだ決め手をお聞かせください

岡田様 当社の目指す方向性とご提案内容が一致したことです。やはりターゲットは新入社員なので、基礎の基礎となる部分を求めていました。担当の高谷さんは、そのニーズを的確に汲み取り、心構えや責任といった社会人としての土台となる研修を提案してくれました。

提案時から講師の高橋澄子先生にも同席いただき、その人柄や雰囲気を確認したうえでお任せすることができました。検討時点で講師を紹介してくれたのはJMAさんだけでした。講師が心理学にも精通されているとお聞きし、新入社員にとって心理的安全性を保証いただける点、さらに個人別のフィードバックをしてくださる点も非常に魅力的でした。

―研修の準備段階で印象に残っている点はありますか

岡田様 JMAの定型カリキュラムを、当社用に少し変更していただきました。製造所の仕事における自分の役割や意義を考えさせるワークの追加、グループワークや体験型学習を多く取り入れていただくなど、受講生の納得感を重視したプログラムにカスタマイズできたと思っています。

研修によって達成したい像はイメージできても、それを具体的な研修プログラムに落とし込むのは簡単ではありません。独力でなく、JMAさんの豊富な研修ノウハウとコンサルティングがあったからこそ、うまく形にしていただきました。高谷さんのレスポンスが非常に早く、常に先回りして準備を進めていただけるので、なんのストレスも感じませんでした。丁寧に3回も事前打ち合わせを行っていただいたことで、認識のズレもなかったのだと思います。

変化が行動で見え、新入社員同士の絆も生まれた

―研修本番の感想をお聞かせください

岡田様 研修はスタート、つかみが大事だと思っていますが、高橋講師が「今日はみんな間違えていいですよ」「どんどん意見を出していきましょう」と冒頭に伝えてくれたことで、発言しやすい雰囲気づくりになったと思います。通常の研修より意見が活発に出るようになりました。ご自身が若手社員の時や部下を持った頃の体験談も交えて、社会人の礼儀やマナーの必要性を補足してくださいました。具体的なエピソードがあることで自分に置き換えて想像がしやすく、より納得感が高まったと思います。

「上手な話の聞き方」というワークは特に評価が高かったです。2人組となり、相手の話をうつむいて無反応に聞く場合、頷きながら傾聴する場合を比べることで、話の聞き方一つで相手に与える印象や理解度が大きく変わることを実感したようです。研修後のアンケートでも、このワークが印象に残ったという声が多く寄せられました。

―受講後、どのような変化が見られましたか

岡田様 研修後、挨拶する姿勢や話の聞き方が明らかに変わったと感じました。新入社員研修を終えてからの他の研修の場において頷いたり、内容のメモを取ったりする行動がちらほらと出始めました。人の目を見て挨拶している姿が増えたのも印象的です。

また予想外の効果として、高卒と高専卒の間に生まれる垣根が低くなりました。例年だと、年齢が異なることもあり、交流や会話が少ないまま現場に配属されてしまうと感じていました。しかし、心理的安全性の高い環境で同じワークに取り組んだ経験によって、この2つのグループが打ち解けるようになったのです。「同期との関係を深められて嬉しかった」と研修の効果を感じる声も多く聞かれ、新入社員同士の絆づくりというもう一つのミッションの達成にも大きく貢献いただいた研修だったと思います。

現場との連携で社員の持続的な成長をサポートしたい

―人財育成における今後の展望や課題をお聞かせください

岡田様 入社時の研修はあくまで社会人としていいスタートを切るためのサポートであり、人財育成はまだまだ始まりに過ぎません。職場で上司や周りの先輩がどれだけ育成に関心をもってくれるか、また自身が入社時に教わったことを反復して身につけられるかが、継続的な成長のために重要だと考えています。

日頃、現場が忙しくても部下を育てることが上司の仕事だということを腹落ちさせるため、各職場の教育担当者への支援やアプローチも重要です。今後はJMAさんのような外部の専門的ノウハウを継続的に活用することも必要かもしれません。

―研修支援を検討している企業へのアドバイスをお願いします

岡田様 ある程度、網羅的な内容を希望しつつも、自社の仕様に合わせて研修を実施したいという企業は多いのではないでしょうか。そうした企業にとって、JMAのように豊富な教育カリキュラムを持ち、企業のニーズに応じた柔軟なカスタマイズが可能な点は非常に魅力的だと思います。当社も既存のカリキュラムに基づき、必要なワークを追加してもらいました。JMAさんに自社のニーズを相談すれば、的確に汲み取るだけでなく、課題解決につながる研修内容や場づくりを提案してくれるはずです。