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公開日 : 更新日 : 現代の「ミドルマネジャー研修」のポイント【2025年版】
ミドルマネジャーは企業の中でも要となる重要なポジションであり、その育成には多くの企業が課題を感じています。ミドルマネジャーとはどのような存在なのか、またどのような資質が求められるのかを考え、必要な育成について検討してみましょう。

ミドルマネジャー(課長クラスの中間管理職)の立ち位置
ミドルマネジャーとは、組織の中間に位置するマネジメント層のことを指し、一般的には課長職など管理職としては最初の段階のこと階層を指します。経営側と社員の中間、つまりそれぞれの架け橋となる役割を担う管理職で、同じマネジメント職でも、経営に関する責任を持たないという点がトップマネジメントとは異なります。
一般社員からミドルマネジャーになると、会社から求められる期待・役割が変わり、責任の範囲が個人から課全体に関するものへと変わります。チームとしての目標達成等、業務面でのパフォーマンスと、人材育成等、人の側面でのパフォーマンスの両方が求められるという意味で、ミドルマネジャーの役割は大きいと言えます。
プレーヤーとして積んできた専門的な知識や能力を持ちながら、マネジメント能力を備えているミドルマネジャーは間違いなく企業の要になる存在。ミドル層が成長すれば組織全体の活性化につながると言っても過言ではないでしょう。
ミドルマネジャーが身につけるべき基本とは?
上述の通り、ミドルマネジャーの役割の範囲は広いため、身につけるべき能力も多岐に渡ります。中でも基本となる力を挙げるなら、以下の4点に集約できるでしょう。
目標設定能力
管理職としてチームで成果を出すためには、まずは目標を明確に定義しなければいけません。また、目標達成に向け、企業のビジョンに合わせたチームのビジョンを描き、自分の言葉でメンバーに発信することもミドルマネジャーの役割です。チームとしての目標が明確でないと、メンバーは「何のために仕事をしているのだろう」と迷ってしまい、モチベーションが低下しかねません。メンバーに対して目標への納得感や共感を得ながら、適切に動機づけを行っていくことがミドルマネジャーの役割と言えるでしょう。
戦略策定・計画能力
会社の経営方針およびチームの業績目標を達成するためには、顧客ニーズや競合を踏まえた戦略を考えなければいけません。そのためには、市場の動きに着目して情報収集する力や分析力も求められます。
また、ゴール達成のために策定した戦略を着実に実行するため、業務を細分化し、マイルストーンとしてスケジュールに落とし込む計画能力も欠かせません。
組織化能力
組織化とは、業務実行体制やチームを作ることです。業務のスキル要件、メンバーの個性・特性、人材育成計画などを考慮しながら役割を与えて合意しアサインメントを行い、組織づくりを行っていくのもミドルマネジャーの役割です。
コミュニケーション能力
上司と部下の「架け橋」となる役割となるため、様々な人と接するのがミドルマネジャー。接する人の個性・価値観・立場を理解した上で、場に応じた適切なコミュニケーションを取ることが必要とされます。また、社内だけでなく社外との調整能力や交渉能力を高める必要があります。
現代のミドルマネジャーに求められること
コロナ禍以降、ワーク・ライフ・バランスへの意識の高まりや、社員一人ひとりの働き方の多様化は急速に進んでいます。また、生成AIをはじめとする新しいテクノロジーの登場に伴う職場のDX化にも対応していかなければなりません。
こうした状況に対応するために、現代のミドルマネジャーには今までにない役割が求められています。
非対面マネジメントスキル
リモート環境にいるメンバーについて、対面でのコミュニケーションを前提としない育成や管理も今や当たり前になりつつあります。現代のミドルマネジャーは、こうした多様な働き方を前提としたマネジメント力を身に付けていかなければなりません。
ハラスメント・コンプライアンス対応
企業によるコンプライアンス違反に対して、社会の目はますます厳しさを増しています。
また、ハラスメントについてはすでに法制化され、職場でのハラスメント対策強化がすべての企業に義務付けられています。
自分自身がコンプライアンス違反やハラスメントを起こさないためにも、チーム内でそうしたことが起こらないためにも、ミドルマネジャーは適切な知識とふるまい方を身に付け、対策に取り組む必要があります。
世代間ギャップへの対応
ソーシャルネイティブ・SDGsネイティブ世代の若手社員は、キャリア意識が高く、社会貢献への意識も高い傾向にあります。それまでの世代とは大きく異なる価値観をどのように理解し、若手社員をどうマネジメントしていくか、いかにして戦力として育てていくかがミドルマネジャーに求められています。
ストレスマネジメント
働き方改革は生産性向上をもたらす側面がある一方、部下のワーク・ライフ・バランスを守るため自らの残業時間が増えてしまったというミドル層の声があるのも事実です。ミドルマネジャーはプレーヤーの役割を兼務するケースも多く、業務負荷の高まりも問題視されています。ミドルマネジャー自身がストレスとの上手な関わり方を身に付けることが重要です。
EQ(Emotional Quotient)
チームのコミュニケーション向上やモチベーションの維持メンバーの感情面も無視できないことが指摘され始めています。パフォーマンスを上げるには、論理的に筋が通っているだけでなく人間性も求められるのが現代のマネジャー。人の感情に寄り添い、管理することのできるEQ(感情指数)も、高めておくべき資質の一つと言えます。EQの高さは、ハラスメントの防止にもつながります。
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変革のためのリーダーシップ
さまざまな新技術が登場し、多くの企業がDXの必要性を自覚していますが、そのけん引役となるのもミドルマネジャー。DXの本質は「変革」であり、つまりミドルマネジャーは変国のけん引役となるためのリーダーシップを求められているとも言えます。
どんなことを学ぶ必要があるか
ここまで見てきたように、現代のミドルマネジャーには非常に多くの役割が求められています。一般社員からマネジャーに昇格した人は、そのタイミングで大きな意識変革をしなければなりません。多くの企業で新任管理職研修が重視されるのもこのためです。
一方で、学ぶべきことが多いだけに、自社のミドルマネジャーとしてまず何を身に付けるべきかといった整理も重要です。すべてを一度に学んでも身に付けることは難しいかもしれませんが、自社の目指す姿に合わせ、ポイントを絞った学びを提供することで、本当の意味で戦力になるミドルマネジャーを育成することができるでしょう。