失敗しない研修計画
ニューノーマル時代の「ミドルマネージャー研修」のポイント
ミドルマネージャー(課長クラスの中間管理職)の立ち位置
会社でキャリアと実績を積んでいくと昇進・昇格の先にミドルマネージャーがあります。ミドルマネージャーとは、中間管理職とも言われ、課長職など組織の中間に位置するマネジメント層のことです。経営のトップと社員の中間、つまりそれぞれの「架け橋」となる役割を担う管理職で、経営に関する責任を持たないという点がトップマネジメントとは異なります。
一般社員からミドルマネージャーになると、会社から求められる期待・役割が変わり、個人から課の業務責任へと責務が変わります。マネジメント領域での目標達成等の業務の側面でのパフォーマンスと、人材育成等の人の側面でのパフォーマンス、その両方が求められるという意味で、ミドルマネージャーの役割は大きいです。専門的な知識や能力を持ちながら、マネジメント能力を備えているミドルマネージャーは間違いなく企業の要になる存在。ミドル層が成長すれば組織全体の活性化につながるとも言われます。
ミドルマネージャーが身につけるべき能力とは?
上述の通り、ミドルマネージャーの役割の範囲は広いため、身につけるべき能力も多岐に渡ります。
ここでは以下の4点にポイントを絞ってお伝えします。
●目標設定能力
管理職としてチームで成果を出すためには、まずは目標を明確に定義しなければいけません。また、目標達成に向けて、会社やチームのビジョンといった青写真を自分の言葉でチームに発信することもまたミドルマネージャーの役割です。ビジョンがないと、部下が「何のために仕事をしているのだろう」と迷ってしまいメンバーのモチベーションが低下することがあります。メンバーに対して目標への納得感や共感を得ながら、適切に動機づけを行っていくことが大切です。
●戦略策定・計画能力
会社の経営方針および課の業績目標を達成するためには、顧客ニーズや競合を踏まえた戦略を考えなければいけません。そのために市場の動きに着目した情報収集や分析が求められます。
また、ゴール達成のために策定した戦略を着実に実行すべく、業務を細分化しマイルストーンとしてスケジュールに落とし込む計画化能力も欠かせません。
●組織化能力
組織化とは、業務実行体制やチームを作ることです。業務のスキル要件、メンバーの個性・特性、人材育成計画などを考慮しながら役割を与えて合意しアサインメントを行い、組織づくりを行っていく必要があります。
●コミュニケーション能力
上司と部下の「架け橋」となる役割となるため、様々な人と接します。接する人の個性・価値観・立場を理解した上で、場に応じた適切なコミュニケーションを取ることが必要とされます。また、社内外との調整能力や交渉能力を高める必要もあります。
現代のミドルマネージャーに求められること
ワーク・ライフ・バランスへの意識の高まりや、社員一人ひとりの働き方の多様化は、コロナ禍により急速に進んでいます。こうしたいわゆる「ニューノーマル」な状況に対応するためにも、現代のミドルマネージャーには今までにない役割が求められています。
●テレワーク環境でのマネジメントへの対応
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大対策の観点で、多くの企業がテレワークへの転換を迫られました。
これからは、対面でのコミュニケーションを前提とせず、オンラインや電話によって離れた場所にいるメンバーの進捗管理や育成も想定していかなければなりません。
こういったニューノーマルな働き方を前提としたマネジメントの在り方を再考していく必要があります。
●ハラスメント対応
昨今、企業不祥事に対する社会の目はますます厳しさを増しています。
2020年6月1日からは、改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が大企業を対象に施行(中小企業では2022年4月1日施行)され、職場でのハラスメント対策強化が企業に義務付けられています。
コンプライアンス遵守のためにも、働きやすい職場づくりのためにも、管理職がハラスメント予防対策を徹底することは必須です。
●世代間ギャップ対応
今後大卒で新卒入社する人材のほとんどが、1990年代後半に出生した「Z世代」です。ソーシャルネイティブ・SDGsネイティブの世代であり、キャリアや社会貢献への意識が強い傾向にあります。ミドルマネージャーがそのような人材をどうマネジメントしていくか、いかにして戦力として育てていくかは企業の喫緊の課題と言えるでしょう。
●ストレスマネジメント
働き方改革は生産性向上をもたらす側面がある一方、部下のワーク・ライフ・バランスを守るため自らの残業時間が増えてしまったというミドル層の声があるのも事実です。業績に関する強いプレッシャーの中、プレーヤーの役割を兼務するケースなどミドルマネージャーの業務負荷の高まりなども問題視されています。
リモートワークによって、ストレス発散になる気軽な雑談機会も減ってしまいがちな現代だからこそ、ミドルマネージャー自身がストレスとの上手な関わり方を身に付けることが重要です。
●どんなことを学ぶ必要があるか
まずはミドルマネージャーに求められる役割・会社からの期待を理解することです。一般社員のときの業務に対する考え方から意識を変えなければなりません。
学ぶべき能力についてはこれまでの項目でも触れてきた「ミドルマネージャーが身につけるべき能力」「現代のミドルマネージャーへの要請」の観点を踏まえるといいでしょう。
その他の具体例でいうと、マネジメントの原理原則、人間関係の構築力・人材育成能力、経営資源を管理する力、コンプライアンスの正しい知識、リーダーシップ力・ファシリテーション力など学ぶべきことは数多くあります。人材要件や人材育成上の課題と照らし合わせながら優先順位を立ててテーマ選定をしていくことが重要です。
ミドルマネージャー向け研修における個別のポイントについては次回以降で紹介していきます。
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