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一歩間違えればパワハラ?「マイクロマネジメント」の問題点

公開日:2023/12/13 更新日:2023/12/13

テレワークやリモートワークの普及、働き方の多様化によって、上司と部下がコミュニケーションをとる機会が減少しています。こうした状況で上司が陥りやすいのが、部下を過度に管理する「マイクロマネジメント」です。マイクロマネジメントの問題点、気を付けるべきポイントなどを知っておきましょう。

マイクロマネジメントとは

マイクロマネジメントとは、部下の仕事の進め方やタイミングなどについて必要以上に細かく指示を出す管理スタイルのことです。

たとえば下記のような管理スタイルが、マイクロマネジメントにあたります。

  • 進捗状況の報告を過度なペースで求める
  • チャットの返信は15分以内にするよう強制する
  • 外出先からも1時間に1回の報告を求める
  • メールには必ず自分をCCに入れるように指示する
  • 提案書や企画書などを細かくチェックする
  • 短期的な目標を優先する
  • リモートワーク環境下において、業務中は常にWebカメラをオンにさせ確認できる状態にする

マイクロマネジメントはなぜ起こるか

マイクロマネジメントが起こるケースには、大きく分けて、環境の変化による場合と、上司自身に原因がある場合があります。

環境の変化による場合

リモートワークの増加

オフィスで全員が同じ空間にいれば、上司が部下の様子を確認することができます。しかし、現在はリモートワークの増加により直接顔を合わせる機会が減っています。そんな中で、部下がきちんと仕事をしているか気になり、マイクロマネジメントを行ってしまうケースが見られます。

働き方改革

働き方改革の推進により残業時間が削減したものの、業務量自体は変わらないため生産性を上げる必要があります。限られた時間の中で成果を出そうするあまり、部下の行動を細かく管理するマネジメントスタイルになってしまう場合があります。

職場の人材の多様化

ダイバーシティ推進や働き方の多様化などにより、職場の人材が多様化しています。仕事の価値観が異なるため、お互いが理解しあうためにはよりコミュニケーションが必要ですが、コミュニケーションにかける時間も限られるため、細かく管理するマイクロマネジメントに偏る場合があります。

上司自身に原因があるもの

部下との信頼関係が築けていない

上司が部下との信頼関係が築けていない場合、上司は部下への信用がないため仕事を任せることができません。部下の仕事ぶりへの不安を感じ、細かい指示を出して部下の行動をコントロールしようとしてしまいがちです。

上司の自己顕示欲が強い 

部下に尊敬されたい気持ちからマイクロマネジメントに陥るケースもあります。たとえば、過去の自分のやり方や成功パターンに従って部下が行動するよう細かく行動管理するなどです。部下に足りない部分や不備を指摘することでも自己顕示欲は満たされるため、知らず知らずのうちにマイクロマネジメントになっている場合もあるかもしれません。

マイクロマネジメントの問題点

マイクロマネジメントには、単なるマネジメントスタイルの一種というだけではない問題点があります。例えば以下のようなことが考えられるでしょう。

部下のモチベーションが下がる

必要以上の指示と管理が続くと、部下は仕事を任せてもらえていないと感じる可能性があります。そうなるとモチベーションが下がってしまいます。

部下が成長しない

常に細かい指示やスケジュール管理をされるため、部下は自分で考え行動することが少なくなります。このような状態が続くと部下は指示待ち人間になり、成長の機会を逃してしまいます。

メンタルに悪影響が出る

常に監視されている状態は、部下のストレスを増大させる原因となります。小さなミスを必要以上に追及したり、常に行動を監視したりすると、メンタルに悪影響がでる場合もあります。一歩間違えばパワハラにもつながり得ます。

マイクロマネジメントとマクロマネジメント

マイクロマネジメントの対極にあるのが「マクロマネジメント」です。マクロマネジメントとは、細かく指示を出さず部下に自由に仕事をさせる管理スタイルのことです。その特徴やメリットをまとめます。 

マクロマネジメントの特徴

  • 部下に自分のやり方で仕事をさせる
  • 短期的な結果でなく長期的な目標に向かってマネジメントする
  • 結果を出すために部下に権限を与える

マクロマネジメントのメリット

部下の自律性が高まる

部下の意見を取り入れ、それぞれのやり方で仕事をさせることで、部下は自分で考えて仕事を進めるようになり、自律性が高まります。

チーム力が高まる

上司の考えで仕事を進めるのではなく、異なる考えを持ったメンバー同士が積極的に関わり意見し合うことで、団結力が生まれチーム力が高まります。

新しい発想が生まれやすい

組織の方向性が示された状態で業務の進め方を任せられると、部下は自由な発想をしやすくなります。新しいアイデアや新規事業が生まれるきっかけにもなります。

内発的なモチベーションが向上する

自分の意思で自由に仕事ができることは、自ら目標に向かって行動する内発的なモチベーションが生まれます。こうしたモチベーションは長期間持続するのもポイントです。

【関連URL】コラム:「内発的動機」を引き出し、活かす

マクロマネジメントにはこうしたメリットがある一方で、労働過程を見てほしいタイプの部下は物足りなさを感じる場合もあります。その場合は、メンター制度などで補うことができます。

過度なマイクロマネジメントに陥っていないか点検を

ここまでマイクロマネジメントの問題点を中心に見てきましたが、正確にはマイクロマネジメント自体が悪いわけではなく、たとえば、新入社員などまだ仕事に慣れていない人にとっては有効に機能することもあります。

気をつけるべきは、ビジネス環境の変化や上司の抱える原因によって、気づかないうちに過度なマイクロマネジメントに陥っているケース。パワハラ等の問題に発展しないためにも、日頃から意識しておくことが必要です。

関連リンク

・コラム:「指導」か「パワハラ」か?ケースで考えるハラスメント
・コラム:リモートワーク環境でも起こる!「リモートハラスメント」を防ぐには
・ダウンロード資料:パワーハラスメント対策義務化への対応として企業に求められる行動とは
・研修プログラム:ニューノーマル時代のマネジメント研修