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現代のリーダー層に欠かせないリベラルーツの学び方

公開日:2024/03/18 更新日:2024/03/18

現代のビジネスリーダーの必須科目として挙げられることの多い「リベラルアーツ」。耳にする機会は多いですが、そもそもどのような意味であり、なぜリーダーに必要とされるのでしょうか。リベラルアーツという概念について、改めて整理し、どう身につければよいのかを考えます。

リベラルアーツとは何か?

 リベラルアーツ(liberal arts)は、「一般教養」と訳されることの多い語で、伝統的には、大学の教養課程で学ぶ内容がこのように呼ばれてきました。 

その起源は、古代ギリシャの市民社会にあるとされています。古代ギリシャの社会において、自由市民(奴隷とは異なり、さまざまな権利を持つ)は、労働に直接役立つ知識よりも、社会を主導するにふさわしい人格を身につけることを求められました。こうした学びはラテン語でartes liberalesと呼ばれるようになり、のちに「自由7科」という7つの学科に整理され、ヨーロッパで教育の基本として定着していきました。なお、自由7科には文法、修辞学、論理学、算術、幾何、天文学、音楽が含まれます。

こうした歴史から考えると、リベラルアーツとは本来、「自由市民として生きるために必要な学問」であると捉えることができます。職業や専門性のためではない、純粋な教養というニュアンスを持つともいえるでしょう

なぜ今、リベラルアーツなのか?

現代においてリベラルアーツに含まれる知識としては、歴史、美術、音楽、文学、科学などが挙げられます。一見、ビジネスとはつながりが感じられにくい分野ですが、それでも必要性が叫ばれるのはなぜなのでしょうか。それには次のような時代背景が影響していると考えられます。

 ビジネス環境のグローバル化

世界中でビジネスを展開するにあたっては、さまざまな異文化への理解が不可欠です。リベラルアーツは、相手の文化を理解する助けとなります。

前例のない世の中の変化

新たなテクノロジーが次々と生まれ、世の中が変化していく中でビジネスを実行していくには、今起こっていることを多面的に理解する必要があります。リベラルアーツを身につけていることで、さまざまな視点を持つことができます。

求められる経営判断の複雑化

価値観が多様化した現代は、とくにリーダー層にとっては難しい時代です。経営判断にもさまざまな基準が必要で、これまでは経済合理性のみで判断できたことも、今はより幅広い価値を総合して考える必要があります。こうした複雑な判断を下すためには、さまざまな価値を結びつけて考えるための根源的な思考力が必要であり、リベラルアーツがその支えとなります。

リベラルアーツの効用

リベラルアーツを身につけることで、とくにビジネスシーンに関わるどんな力が得られるのか、もう少し掘り下げてみましょう。

異なる価値基準で自分を見られるようになる

リベラルアーツを学ぶことは、世界中のさまざまな知識や価値観を知ることにつながります。そのことで、自分の考えについても、異なる価値基準から検討することができるようになります。

課題を発見する力がつく

慣れ親しんだ環境では、どこに課題があるかを発見するのは難しいものです。リベラルアーツによってさまざまな視点を得ることは、今まで気づかなかった新たな課題を発見することにつながります。

正解のない問題に答えを出せるようになる

価値観が多様化した複雑な世界に、一つの「正解」はありません。そんな中で求められるのは「正解を見つける」力ではなく「答えを出す」力です。リベラルアーツを通じてさまざまな価値観を学ぶことは、一つの正解にこだわらず、よりよい答えを出すことにつながります。

自らの信念に自信が持てる

世界中の知識や価値観に触れると、身の回りにある考え方が全てではないことに気づきます。身の回りに前例のないことであっても、自分の信念に自信を持てるようになるでしょう。

新しい価値を創造する力になる

リベラルアーツは普遍性の高い学びです。普段の仕事の範囲では見えない本質を理解する助けとなり、仕事をする上でも自分独自の世界観を形作ることができ、全く新しい価値を創造することにもつながります。

人間的魅力、品格が身につく

リベラルアーツを学ぶことで人間としての軸が生まれると、周囲からの信頼性も高まります。そのことが、AI時代だからこそ見直されている人間的魅力にもなるでしょう。

こうして挙げてみると、リベラルアーツで得られる効用は、現代のリーダー層に求められる資質と大きく関わっていることがよく分かります。リーダー層にとってリベラルアーツが重要だと言われるのは、こうした効用のためです。

同時に、上記のような力は、早いうちから身につけておくことにも大きな意義があります。若手社員がリベラルアーツを学ぶことは、自らの仕事の意味を考えながら、信念を持って働くことにつながり、将来の成長の糧となるでしょう。

リベラルアーツをどう学ぶか

社会人がリベラルアーツを学ぶ最も身近な方法としては、いわゆる古典と呼ばれるような名著を読む、文化や歴史に触れる機会を作るといった方法が挙げられます。

いずれの場合も、ただ本を読んだり文化に触れたりするだけでなく、何らかの問題意識や疑問を持ち、固定観念を持たずに学ぶ姿勢が重要です。さらには、学んだ上で自分の意見を持った上で、異なる意見を持つ人とディスカッションすることでより深い学びを得ることができます。

こうした学び方には、独学では難しい部分も多くあります。そういう意味ではリベラルアーツは、適切な指導者のもと、ディスカッションをしながら学ぶ「研修」というスタイルにとても適しています。将来のビジネスリーダーを育成するためにも、ぜひ検討してみたいテーマの一つと言えるでしょう。

関連リンク

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