ローム

若手層への教育研修をご支援させていただいているローム様。会社の将来を担う若手層の教育の重要度が益々高くなっている中で、ローム様の行っている具体的な教育施策や、若手層の教育に対しての考えについて、同社人事本部の川崎様にお話を伺いました。聞き手は日本能率協会(JMA)の近藤健介です。

新入社員が伸びる環境づくり

(近藤)
まず、川崎様の現在のお立場、お役割についてお聞かせください。

(川崎)
ロームは半導体の開発製造販売を手掛ける総合メーカーで、白物家電などの民生家電製品や、スマートフォンなどの通信機器、最近機能の発展が目覚ましい自動車、また産業機器などに使われる半導体を作っています。私は現在、人事部人材開発課キャリア開発グループという組織に所属し、若手3年目までの社員の教育・研修の企画・運営を行っています。
(近藤)
現在、JMAではメンター・OJTリーダー研修をご支援させていただいていますが、この研修を導入された背景について教えていただけますか?


(川崎)
部署によっては新入社員が馴染めなかったり、仕事を満足に教えてもらえなかったりして、その結果自身のキャリアに不安を持って、すぐに会社を辞めてしまうという非常にもったいない状況を課題に感じていました。また、会社全体としても、後輩・部下を育てる姿勢・風土が弱いと感じていました。
そのような背景から、社員のキャリア形成を制度面で支援し、ロームで長期的なキャリアを築く風土の醸成を進めることで、会社への貢献意識向上へとつなげたいと考え、メンター・OJT制度の導入を企画しました。
(近藤)
若手の離職は、多くの企業が課題意識をもっているテーマですよね。その1つの解決策として、メンター・OJT制度を導入し、研修を実施されています。この研修はどのような内容なのでしょうか?
(川崎)
新入社員に対する指導育成を実践的に学習できるプログラムで、主に、「指導育成の実践スキルの習得」、「育成計画づくり 育成項目の洗い出し」、「一人ひとりの特性、成長段階に合った指導育成方法を選択する力を磨く」、「指導育成を通じた自己の成長」に重点を置いた内容になっています。
(近藤)
なるほど。そういった内容の研修は、外部派遣でも多数あると思いますが、今回は社内研修という形をとられたのはどういった理由があるのでしょうか?

(川崎)
社内のいろいろな部署と偏りなく情報共有をしてほしかったからです。会社全体で新人を育てる風土を醸成したいという目的があったため、部署間の情報共有やサポート体制を強化したかったことが大きな理由です。社内研修ですとその点で、アレンジがしやすく、非常に会話も弾んで研修の雰囲気も良くなります。
 
(近藤)
この研修を企画する過程で、不安やお悩みはありましたか?

(川崎)
メンター・OJT制度に対してあまり前向きではない社員がいたことと、活動は就業時間内で行っていただくので上司の理解が必要だった、というのがまずぶつかった壁です。ただでさえ現場は仕事で忙しく、そこに業務として面談に時間を割いてもらうことになるので、やらされ感でやっていると逆にマイナス効果になったりしてしまいますよね。こういった人たちをどう巻き込んでいくか、こちらの思いをうまく伝えられるかという不安がありました。
(近藤)
確かに、やらされ感があると、本来の目的が達成できないだけでなく、逆効果になってしまいますよね。そういった不安を解消するために、どのような工夫をされたのでしょうか?

(川崎)
本人向けの研修だけでなく、所属長向けの研修を開催しました。また、研修では目的意識をしっかり共有すること、また活動のメリットについて細かく説明を行いました。
(近藤)
育成というのはマネジメントの役割の中でも重要度は高いですから、そういった意味で上司の方に理解してもらうというのは、成果を出すための大きなポイントですね。
こういった工夫をされて実施しているメンター・OJT研修ですが、実施後の受講者の様子をご覧になって、手応えは感じていますか?

(川崎)
新入社員の声を集めていますが、OJTリーダーには仕事を丁寧に教えてもらえ、メンターには悩み相談にのってもらっていて、概ね満足しているようです。ただ、部署によってはやはりメンター・OJTが全く機能していないところもあるようなので、今後その差を埋めていくようさらに何か手を打つが必要かと思います。
(近藤)
成果が出ている部分と、そうでない部分があるのですね。対策については一緒に検討しましょう。
さて、ここまではこの研修が生まれた背景や、運用面での工夫、成果についお聞かせいただきました。貴社の風土変革にも関わる重要な研修ですが、これを支援するパートナーとしてJMAを選択してくださった決め手はどういったところにあったのでしょうか?

(川崎)
講師の方が社員一人ひとりをしっかりとみて下さり、ポジティブに活動を行えるよう働きかけて下さるためです。研修資料もこちらの要望通り毎年細かいところまで見直しをかけてくださいます。企業に密着して研修プログラムを考えてくれるところが、JMAさんに継続してお願いしている理由です。
(近藤)
講師のかかわり方や、プロフラムや資料を含めた企画面を評価いただいているのですね。ありがとうございます。
引き続き、貴社の課題解決のパートナーとして信頼いただきたいと思っているのですが、JMAへの要望などありましたら、お聞かせいただけますでしょうか?

(川崎)
そうですね。この研修をさらに効果的にしていくという観点で言うと、今後に向けて積極的なフィードバックがあるとなお助かります。また、研修中気になった社員などいれば、教えてほしいです。
(近藤)
かしこまりました。いただいたご要望も踏まえて、この研修を進化させていきたいと思います。
今回はメンター・OJT研修を中心にお話を聞かせていただきましたが、最後に、「人材育成」という観点で、川崎さんの想いや、ポリシーを教えていただけますか?

(川崎)
弊社には若手の退職率を最小限に抑えたいという目標があります。ただ、私はその目標だけでは良い組織ができるとは思いません。社員一人一人が、主体的に仕事に取組み、周りを巻き込みながらしっかりアウトプットができ、会社へ大いに貢献できている状態まで育成するのが私の使命だと思っています。
また、若手は今の会社に染まってほしくないと思っています。どんどん自分の色を出していってほしいですし、おかしいと思うところは周りを巻き込みながらどんどん改善していってほしいです。他責にせず、自分ができることをアグレッシヴに進めていってもらえるようになってもらえるといいと思っています。
(近藤)
自責で物事をとらえ人を巻き込みながら行動できる社員が増える。いいですね。共感します。私も川崎さんの想いに応えられるように、頑張ります。本日はありがとうございました。

(川崎)
ありがとうございました。