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アンコンシャス・バイアスとは?組織にもたらす問題と、その対処方法は?
組織の中において、年齢や性別などによる特定のイメージでものごとを判断することは、周囲に大きなストレスをもたらす可能性があります。管理職によるこうした言動が、従業員のモチベーションやエンゲージメントを低下させてしまったり、キャリア形成を阻害してしまったりすることも十分にあり得ます。職場内での多様化が進む中で、より一層重要性を増すアンコンシャス・バイアスへの対処法を考えます。
アンコンシャス・バイアスとは?
アンコンシャス・バイアス(unconscious bias)とは、直訳すると「無意識の偏見」という意味です。
人は必ずなにかしらのアンコンシャス・バイアスをもちながら生活をしていると言われています。見聞きしたものごとに対して無自覚に先入観を抱いてしまい、その色眼鏡をかけた状態で発言、行動してしまうことはよくあることなのです
アンコンシャス・バイアス自体は必ずしも悪いものではありません。物事を考えるより前に、瞬時に無意識的に行われる「高速思考」という知的連想プロセスの一種であり、これにより迅速な判断が可能になるという側面もあります。
ただし、適切な意思決定や良好な人間関係構築のためには、あらかじめそのリスクを正しく認識しておく必要があると言えるでしょう。
さまざまな認知バイアス
そもそもバイアスとは、「偏り」を意味する言葉で、先入観によって判断が非論理的、非合理的になることを総称して「認知バイアス」と言います。
認知バイアスには例えば以下のようなものがあります。
【ステレオタイプ】あるグループに属するものには共通する特徴があると考えること。
【正常性バイアス】危機的状況にもかかわらず、「きっと大丈夫」と都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりすること。
【確証バイアス】自分の考えを裏付けるような情報や、自分が期待する情報だけを集めたくなること。
【集団同調性バイアス】同調圧力に押されて周囲に合わせた判断をしてしまうこと。
【現状維持バイアス】現状維持を好み、変化を避けたくなること。
【インポスター症候群】自分を過小評価し、可能性を閉ざしてしまうこと。
アンコンシャス・バイアスもこうした認知バイアスの一種と言われます。こうしたバイアスは、誰もが持っているものだからこそ、自分自身に思い込みや決めつけがある可能性を意識し、自覚的であることが重要なのです。
組織でのアンコンシャス・バイアスの例
企業での組織活動においても、アンコンシャス・バイアスは働きます。
例えば、年齢、性別、出身地、役職、経歴などの情報から、「きっと○○なはずだ」「なんとなく○○な気がする」というイメージを持ってしまうこともあるでしょう。
具体的には以下のようなことが挙げられます。
- 最近の若手社員とは世代間ギャップで話が合わない
- 女性は育休を長期間取得し、男性は育休をあまり取得しない
- 男性は左脳型で、女性は右脳型で思考する
- 体格に恵まれたひとは心身ともにタフだ
- 日本人は真面目で礼儀を重んじる
アンコンシャス・バイアスがもたらす問題
では、上記のようなアンコンシャス・バイアスを自己認識せず、思ったままに周囲への言動に表してしまうと、どのような問題が起こるでしょうか。
とくに注意が必要なのが、組織のリーダーや管理職の場合です。組織のリーダーや管理職は、部下を評価したり、仕事にアサインしたりする役割を担っています。そのリーダーや管理職が前段で挙げたような発言をすると、部下など弱い立場にある人は強いストレスや無力感を覚える可能性があります。
その結果、次のような問題を引き起こすことになりかねません。
- パワハラ、セクハラ、マタハラ、パタハラといったさまざまなハラスメント
- 従業員のモチベーション、エンゲージメントの低下
- ダイバーシティマネジメント実現の遅れ
以上のようなことからも、アンコンシャス・バイアスには、役割による力を持っている人ほどとくに意識的になる必要があるといえるでしょう。
組織としてどう対処していくべきか?
ここまで見てきたように、アンコンシャス・バイアスに対処するには、まずアンコンシャス・バイアスとは何かを知り、自分の中にあるアンコンシャス・バイアスに気づくことが重要です。
組織としてアンコンシャス・バイアスがもたらすリスクに備える1つの対処法として、研修を取り入れている企業もあります。
実例を挙げると、Google社やスターバックス社は、ユーザーから偏見に関する批判を受けたことを契機に、偏見を排除するための取り組みとして「アンコンシャス・バイアス研修」を実施しています。
人のバイアスは即効性をもって取り除くことはできない場合も多いものです。アンコンシャス・バイアスの克服には、持続的なトレーニングで対策に取り組んでいくことが求められるのです。