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即効性抜群!成果が現れやすい「印象マネジメント」のススメ(1)

公開日:2020/12/21 更新日:2021/02/16

研修の最前線で活躍する講師に、いま注目のテーマについて聞き、人材育成について考えるインタビュー。
今回は「印象マネジメント」という手法をビジネスに活かす方法を、メイクセラピストや心理カウンセラーとしても活躍中の岩井結美子氏にお聞きします。
第1回は、そもそも印象マネジメントとは何であり、ビジネスシーンでどのように役立つのかを聞いてみました。

オンライン商談、マスク着用……コロナ禍で問われる「印象」の重要性

 新型コロナウイルスの流行で私たちの生活や仕事は大きく変わりました。ビジネスシーンでは、緊急対応として始まったオンライン会議やオンライン商談が今やすっかり定着し、当たり前のものになっています。しかし、どんなに定着したといっても、オンラインはリアルと同じというわけにはいきません。リアルな場であれば、空気感で自然と伝わる熱意や誠意も、オンラインではなかなか伝わりません。

 大きく変わったといえば、マスクの着用が当たり前になったのもコロナによる影響の一つです。しかし、マスクを着けた状態というのは表情が読み取りづらいもの。今までであれば表情で伝えることができたことが伝わらないので、どうしても印象が悪くなりがちです。

 つまり、コロナで変わった今の状況においては、より意識的に「よい印象」を作り出していく必要が出てきているといえるでしょう。

 私自身もオンライン研修や打合せが増えましたが、画面越しに見える方たちの印象が悪すぎて、お説教したくなるときがあります(笑) これでは誤解を与えてしまうなと残念に感じるばかりです。

かなえたい目的に合わせて印象=見た目を変える「印象マネジメント」

 「印象マネジメント」とは、「見た目」を中心に人の印象を左右するポイントに気を配り、よりよい印象を作り出す手法です。ビジネスの場であれば、目標達成を加速させることが出来ます。

 よく似た概念に、服装などについて言う「TPO」ということばがありますが、TPOはあくまで「その場から浮かない」ことや「無難」であることを目指すもの。これに対し「印象マネジメント」は、「何のためにその印象であるべきか」「何を獲得したいのか」という明確な目的を据え、それをかなえるためにふさわしい印象を作り出していくのが特徴です。

 たとえば我々のような研修講師も当然のことながら印象マネジメントが課せられます。私を例にとってお話ししますと、もし印象のことを全く考えず、個人の趣味であれば、年甲斐もなく「ミニスカートでハイヒール姿で講義したい!」と思うこともあります(笑)。まあさすがにミニスカートではTPOという観点でも問題がありますが、そもそも研修講師に必要なのは「信頼感、安心感を抱いていただくこと」であり、「説得力を感じていただくこと」。そうした「目的」をかなえるには、当然ミニスカート姿というわけにはいきません。このように、同じ服装でも、「自分の着たい服」ではなく、より戦略的に、目的をかなえるための服装を選ぶということは、印象マネジメントの代表的な手法の一つです。

きっかけはメイクが起こした劇的な変化。「これをビジネスにも活かしたい!」

私自身が「印象」というテーマに興味を持ったのは、心療内科で心理カウンセラーをしていたときの経験がきっかけでした。ある女性の患者さんが、外見のコンプレックスのせいで一歩踏み出せないでいたところ、今までとは違うメイクをして差し上げたのがきっかけで、みるみる変わっていかれたのです。見た目が変わって自信が付き、表情まで変わって、周囲とのコミュニケーションも良好になり、さらにそのことで自尊心も上がる……メイクを変えただけでこれだけの変化が起こるのを見て、「外見の変化って凄い」と感じたんですね。

 またあるときは、容姿に自信が持てないせいで男性との交流も少なく「一度でいいからナンパされてみたい」と言っていた女性が、今までと違うメイクで帰ったその帰り道でナンパされたということもありました。

 こうしてメイクを通じて変容を促す手法を化粧療法(メイクセラピー)といいますが、重要なのは、外見を変えるだけで、自分だけでなく「周囲を」変えることができたという点です。それが可能ならば、どんなシーンであっても、外見を変えることで周囲の反応をポジティブに変えることができるはず。婚活や就職活動はもとより、「売れたい」営業や「信頼されたい」リーダーなど、ビジネスシーンでのさまざまな「目的」をかなえるためにも、きっと有効なはずだと考えたのです。

即効性と付け焼き刃は別もの。機会が増えることが実力につながっていく

 ここまでの話からもおわかりいただけることと思いますが、印象マネジメントの特徴は、とにかく即効性があることです。

 たとえば、営業のお仕事をされている方であれば、目的は当然、商品やサービスを「買っていただく」ことだと思います。実は、印象マネジメントができていると、大抵の場合、この目的をいとも簡単にかなえることができてしまうのです。

 「もっと売れる営業になりたい」と考えたときにみなさんがまず考えるのは、トーク力を磨くことかもしれません。ですが、スキルを磨いて成果を出すにはそれなりに時間がかかるものです。これに対して印象マネジメントでは、やったその日に効果が出ることも珍しくありません。実際、外見の印象を変えるだけで成績が上がったという方は数多くいらっしゃいますし、「トーク力があるのに売れない」と悩んでいた方が、印象マネジメントを学んで急に売れるようになったという例もありました。

 「見た目で成果を上げるなんて、そんなの本当の力じゃない!」と言われることもありますが、印象効果でチャンスの量が増えるのであれば、それは本当の力をつけるための実践機会が増えるということでもあります。これだけ効果が出るのだから、一つでも多く実践の場に立つためにも、まずはやってみて損はないと思うのです。

~つづく(1/3)~

(次回予告)
→第2回では、伸び悩む若手営業の変貌例をご紹介。コロナ時代にすぐに使える「印象」アドバイスもいただきます。

 

● 講師プロフィール
岩井 結美子(いわい ゆみこ)
一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する「産業カウンセラー」資格を取得後、心療内科で心理カウンセラーとなり、患者の社会復帰支援を目的とした臨床経験を積む。2003年に起業し株式会社コンシャスインターナショナルを設立。人材育成支援の専門家として、「自分自身や他者との関係性の改善と向上」をテーマに企業研修や講演で全国を飛び回る。その登壇数は年間150回以上。ユーモアと人情味あふれるパーソナリティーに加え、内容は「すぐ実践できて成果が出る」と好評で、研修依頼のリピート率も高い。メイクセラピスト/心理カウンセラー/魅力ブランディング®トレーナー。一般社団法人メイクセラピストジャパン代表理事。

● 関連プログラム
オンライン営業に強くなる「印象マネジメント」研修