やりっぱなしにしない!研修活用術

失敗しない研修計画

【事例】自社に合わせた階層別研修とは?カスタマイズのポイント

公開日:2024/09/20 更新日:2024/09/20

人事戦略は、経営戦略とマッチしたものでなければなりません。とくに階層別研修には、戦略の全体像が反映されていることが理想です。ここでは、実際にいただいた階層別研修のご依頼の中から、経営戦略を踏まえて研修内容を決めていったプロセスをご紹介します。

ケース① 食品製造業C社様の場合

 ご相談をいただいたきっかけ

他の階層の研修でお付き合いがあったところからのお声がけ

 ご依頼内容

グループ会社全体の新任課長研修のリニューアル

 ご依頼の背景

リニューアルしたい理由は「実施して3年が経過したため」であり、内容的にどうしても変えたい部分があるわけではない。なお従来の課長研修は、「管理者の仕事の認識」「リーダーシップ」「コミュニケーション」の3つの柱を要件に行われていた。

変更の理由が「定期的なリニューアル」であることもよくありますが、そうした場合、現場としてはとくに課題を感じているわけではなく、研修後の「ありたい姿」が明確でないことも多いものです。その場合、こちらからさまざまな質問を投げかけて「ありたい姿」を探っていきます。

ご提案のポイント

研修は、今企業に必要な人材を育成するためのものであり、その内容は経営戦略とマッチしたものであるべきです。そこで、「ありたい姿」が言語化されていない場合、中期経営計画や最新の統合レポートなどから経営方針を確認し、それをもとにご提案をします。

C社様の場合、JMAソリューションが次期経営幹部育成の研修を実施していたため、その席で出てくるキーワードもヒントになりました。ちょうど新社長の就任に伴い、「挑戦」「変革」「ボトムアップ」といったテーマが強調されていたことから、「ボトムアップの重要なハブになるのが課長なのでは?」という仮説のもと、育成担当者様と議論。その結果、「ボトムアップで挑戦できる組織作りに向け、それが可能な力をつけるための研修」という方向性が決まりました。

「現状の研修にとくに不満はないがリニューアルする」という場合、育成の現場にはこれといったご要望がないかもしれません。しかし、全社レベルで見たときには何らかの課題があると考え、こちらでも「変える」ための材料を探していきます。

具体的には、従来からの「管理者の仕事の認識」「リーダーシップ」「コミュニケーション」というプラットフォームは変えず、「管理者の仕事の認識」の中に「挑戦や変革のための課題設定」を加え、「リーダーシップ」の中に「共感を呼ぶビジョン語りで内発的動機を引き出す」と加えるなどして、新たな「ありたい姿」を設定していきました。また、多様な意見をまとめてボトムアップによる意思決定ができるよう、ファシリテーションスキルについても盛り込みました。

<関連URL>

オンラインで学ぶ「オンライン・ファシリテーションスキル向上研修」
https://solution.jma.or.jp/facilitation_seminar/

 講師については、緻密な論理で説得していくというよりは、感覚に訴えるタイプの講師をアサインしました。体育会系の熱い雰囲気のあるC社様の社風に合わせた人選です。

講師は、育成担当者様のご希望を聞き、それぞれの社風との相性を考慮して人選します。

なお、新しい研修内容を決める意思決定者に、これらの議論に参加していなかった方が含まれるため、提案書では、「なぜ挑戦と変革というキーワードを取り入れたか」「そのキーワードが研修内容にどう落とし込まれているか」が論理的に伝わるよう、議論のプロセスについても整理しました。

最終意思決定者が誰かによって、納得していただきやすいよう提案書の表現を工夫します。

<関連URL>