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ソフト老害って何?ミドル世代の「老害」化を防ぐスキルとは

公開日:2025/01/14 更新日:2025/01/14

2024年の流行語大賞で「ソフト老害」という言葉がノミネートされたことが話題になりました。そもそも「老害」という言葉は、組織の問題として使われることも多い言葉。ソフト老害とはどういう意味で使われているのか、どこに問題があるのかを考えながら、ミドル世代の「老害」化を防ぐ方策を探ります。

一般的に「老害」はどのような意味で使われているか?

「老害」という語は一般的に、「高齢者が影響力を持ち続けることによるネガティブな影響」といった意味で使われています。また、国語辞典による説明などを見比べると、共通のニュアンスとして、「組織の活力が失われる」「若者の活躍が妨げられる」といった点に触れられているのが分かります。いわゆる「老害」は、組織の硬直化につながる問題を指した言葉と言えるでしょう。

具体的にはどのような行動が老害とされるのかを考えると、例えば以下のような行動が考えられます。

  • 自分の意見を押し付ける
  • 過去の武勇伝ばかり語る
  • 相手の話を聞かない
  • 新しいものを否定する

基本的には、組織の中の高齢メンバーが、自らの成功体験を後ろ盾に、下の世代のメンバーに価値観を押し付ける行動が「老害」と呼ばれていると言えそうです。「昔はよかった」「今の若い者は」という発言も、こうした行動の一環として受け取られていると言えるでしょう。

流行語大賞にノミネートされた「ソフト老害」とは何か?

「ソフト老害」は、元放送作家の鈴木おさむ氏が、著書である「仕事の辞め方」の中で使った言葉として話題になりました。

先ほども述べたように、「老害」とは、高齢のメンバーが「自分の考え」や「過去の成功論」を相手に押し付けることとされています。企業で言えば、50代から60代のシニア社員に特有の行動と捉えられてきたのではないでしょうか。

一方「ソフト老害」は、「老害」に似た行動ではあるものの、いわゆるミドル世代による行動として紹介され、世代的には20代後半〜40代と幅広い世代で見られるといいます。この世代では、自らの行動がパワハラにならないよう警戒する特徴があり、上の世代にも下の世代にも気を遣ってバランスを取ろうとする傾向があります。その結果、下の世代に対しては理解を示す姿勢を見せるのですが、一方で上の世代の意向にも逆らわず、態度はソフトであるものの、結局は「若者の意見を潰す」「若者の活躍の邪魔をする」等、いわゆる「老害」と同じ行動をしているというわけです。

「これが常識だから」「今まではこのやり方でうまくいったから」と、現在の状況を吟味しないで行動をすることは、誰にでも起こり得ること。そう考えると、思い込みによる日常的な行動が、「ソフト老害」につながる恐れも十分にあるのかもしれません。

 「老害」にならないために意識するべきこと

逆に言えば、ミドル、シニアにかかわらず「若者の活躍を妨げる状態」にならなければ、「老害」にはならないとも言えます。そこで改めて、「老害」にならないための行動や心構えについて考えてみましょう。

考え方を柔軟にする

老害と言われる行動は、自分の考えや判断への固執から生まれがちです。過去の常識と現在の常識が異なることを理解し、若い世代の考え方にも耳を傾けることで、老害化を避けることができます。

 相手への配慮を忘れない

親切心でアドバイスしたつもりでも、「上から目線」「説教」と捉えられることもあります。まずは相手の仕事の状況、置かれた立場を理解するなど、配慮を忘れないことが重要です。

 謙虚な態度で接する

最新の技術への知識など、若い世代の方が優れていることも多々あります。傲慢な態度を防ぐためには、年齢に関係なく敬意を持って接することも必要です。

 ガス抜きと問題解決の違いを意識する

相談には、「話を聞いてもらいたい」という場合もあれば、「問題を解決してほしい」という場合もあります。相談を受けるときに重要なのは、どちらが目的なのかを見極めること。両者を見誤ると、「問題を解決してほしいのに、話を聞くだけで何もしてくれない」とい受け取られたり、逆に「話を聞いてほしかっただけなのに意見を押し付けられた」と反感を買ったりすることになりかねません。

自らが老害化しないために役立つ学び

こうした状態は、考え方やコミュニケーションに関するスキルを身に付けることで回避できます。たとえば次のような学びが役に立つでしょう。

自らの認知バイアスを意識する学び

「認知バイアス」とは「自らの考え方の偏り」のこと。これを認識しないまま周りと接することは、ハラスメントを引き起こしたり、部下のモチベーションの低下を生んだりする

可能性があります。継続的なトレーニングで自己の認知バイアスに気づき、克服することがこうしたトラブルを未然に防ぎます。

<関連URL>

コラム:アンコンシャス・バイアスとは?組織にもたらす問題と、その対処方法は?

研修紹介;アンコンシャス・バイアス克服研修

自らの学んできたことを見つめ直す学び(アンラーニング)

変化の激しい現代では、環境やルールの変化によって、既存のスキル、考え方が機能しなくなることも増えました。とくに技術現代の環境で有用な情報やスキルを理解するためには、身に付けてきたことを捨てる「アンラーニング」のスキルも問われます。

<関連URL>

コラム:学んだことを捨てる?「アンラーニング」が必要な理由

資料ダウンロード:ポストコロナを生き抜く次世代経営者育成のためのアンラーニングを検討する

 相手に伝えるべきことはしっかりと伝える学び

「老害と思われないように」「若者に嫌われないために」とだけ考えていると、「差し障りのない対応」「居心地のいい職場」を意識しがちですが、そうした考え方は組織に良い効果をもたらしません。真に「若者の活躍を応援する」には、ときにはネガティブな意見も伝え、それをお互いが受け入れられる状態を目指す必要があります。対立を恐れず、できないことはできないとしっかり伝えることのできる、いわゆる「心理的安全性」を理解することが役立ちます。

<関連URL>

コラム:チームにもたらすメリットは大。「心理的安全性」のためにできること

 

「ソフト老害」という言葉は、「老害」と呼ばれてきた問題が今やシニア層だけの問題ではないという問題を提起してくれました。いわゆる「老害」を防ぎ、組織を活性化するために、ここでご紹介したようなテーマを学んでみることも助けになるはずです。