- TOP
- コラム
- 時代に適応するキャリアのヒント
- メンタルブロックを取り除いて組織を活性化する
公開日 : 更新日 : メンタルブロックを取り除いて組織を活性化する
企業において、従業員の成長や組織の活性化を妨げる要因のひとつが「メンタルブロック」です。「自分にはできない」「挑戦しても無駄」といった思い込みが、新しい挑戦や学習意欲を阻害し、チームの生産性低下にもつながります。本記事では、メンタルブロックの影響やその原因、そして克服方法について解説し、活発な組織を作るヒントを紹介します。
メンタルブロックとは何か?
私たちは日々、さまざまな行動を選択しながら生きています。しかし、その中で「自分にはできない」「こうしなければならない」「失敗したらどうしよう」といった否定的な思い込みや固定観念が浮かび、行動を制限してしまうことがあります。これが「メンタルブロック」です。
メンタルブロックは、自己防衛の一環として形成されることが多く、過去の経験や社会的な価値観、教育によって培われます。しかし、こうした意識が新しい挑戦を避け、成長の機会を失うことにつながる可能性があります。とくに企業においては、従業員一人ひとりのメンタルブロックが組織全体の活力低下につながることもあるため、意識的に取り除くことが求められます。
なお、同様の意味で「マインドブロック」という言葉が使われることもあります。
メンタルブロックがもたらす影響
メンタルブロックが強く働くと、個人の成長やチームの生産性に大きな影響を与えます。仕事の中で起こり得るネガティブな影響としては、以下のような問題が考えられます。
コミュニケーションが阻害される
「自分の意見は的外れかもしれない」「出しゃばるのは良くない」といった思い込みがあると、会議やディスカッションで発言する機会が減少し、組織の活発な意見交換が妨げられます。会議が一部の人だけの発言の場になり、多様な視点が反映されにくくなってしまうかもしれません。
新しい挑戦が生まれにくい
「自分には能力がない」「挑戦しても失敗するだけだ」という考えが根付くと、新たなプロジェクトや業務への参加を避けるようになります。結果として、組織のイノベーションが停滞する恐れがあります。
パフォーマンスが低下する
仕事に対する自信の欠如は、業務遂行能力にも影響を及ぼします。メンタルブロックにより「自分はこの仕事が苦手だ」と思い込むと、実際の業績も低下しやすくなってしまうでしょう。
学習意欲が低下する
「勉強しても意味がない」「自分には理解できない」といった固定観念があると、スキルアップや知識習得への意欲が減少します。特に企業研修においては、受講者の成長意欲を削ぐ要因になりかねません。
リーダーが育たない
「リーダーは特別な能力を持つ人がなるもの」「自分はリーダーには向いていない」と考えると、管理職を目指さなくなるかもしれません。結果として、組織内でリーダーシップを発揮する人材が育たず、人材不足や世代交代の問題が生じ得ます。「女性がリーダーを目指そうとしない」という問題があるとき、メンタルブロックが影響している場合もあります。
メンタルブロックが生まれる原因
メンタルブロックが形成される要因としては、以下のようなことが考えられています。
文化的・社会的な影響
価値観や社会のルールは、多くの場合、無意識のうちに人の考え方を形成します。例えば、「失敗は悪いことだ」「周囲と違う行動をすると浮いてしまう」といった考えは、日本のように協調性を重視する文化ではとくに根強いものですが、こうした価値観がメンタルブロックにつながることがあります。
育った環境と教育
幼少期に「ダメ」「できない」といった否定的な言葉を繰り返し聞かされると、自分の可能性を狭めてしまう可能性があります。また、「一つの正解」を求められる環境にいると、新しい発想をすることに不安を感じる人も多くなるようです。
過去の失敗体験
何かに挑戦して失敗した経験があると、それが「また同じことが起こるのではないか」という恐れにつながります。とくに、他人から否定的なフィードバックを受けた経験が重なると、「自分は無理だ」「挑戦しても意味がない」という思考に陥りやすくなるかもしれません。
完璧主義
「完璧でなければ意味がない」という思考は、挑戦する前から「失敗する可能性があるならやらないほうがいい」という考えを生み出し、行動の制限につながります。
メンタルブロックを突破する方法
メンタルブロックは意識的に克服してくことが可能です。具体的な方法としては次のようなことが言われています。
自分の考えを書き出す
自分の考えを書き出し、それが本当に事実なのかを客観的に見直すと、「~しなければならない」という思考が思い込みであることに気づくかもしれません。
<関連URL>
モチベーションアップにも!ジャーナリングの効用
ポジティブな言葉を使う習慣をつける
否定的な考え方を、前向きな表現に置き換えることも有効です。たとえば、「私は苦手だ」ではなく、「私はこれから学ぶ機会がある」と言い換えることで、行動のハードルを下げることができます。
小さな達成を繰り返し、記録する
小さな成功体験を積み重ねることで、自己肯定感を高めましょう。「できるかも」という感覚を増やすことは、メンタルブロックの克服につながります。成功体験を記録することも自信につながるでしょう。
肯定的な情報や経験を振り返る
過去に成功した経験や、周囲からの肯定的なフィードバックを思い返すことで、自分の可能性を再認識することができます。
環境を変える
人は環境に大きく影響されます。否定的な意見が多い環境ではメンタルブロックが強化されますが、前向きな人が多い環境に身を置くことで、自然と自分の考え方もポジティブに変わります。
<関連URL>
まとめ
メンタルブロックは、個人の成長だけでなく、企業の活性化にも大きな影響を与えます。研修の場でも受講者の学習意欲を左右する要因にもなり得るため、人材育成という観点からも、メンタルブロックが邪魔をしていないか考えてみるのもよいでしょう。