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モチベーションアップにも!ジャーナリングの効用

公開日:2024/05/16 更新日:2024/07/10

従業員のメンタルヘルス対策は企業の重要課題の一つ。その日常的な手法となり得る「ジャーナリング」について、手順から効用までを解説します。

ジャーナリングとは?

ジャーナリングとは、「頭に思い浮かんだことを書き出すことで、自己認識を高め、ストレスを軽減し、メンタルヘルスを高める」手法です。マインドフルネスの一環として行われ、「書く瞑想」とも呼ばれます。

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ジャーナリングの発祥となったのは、テキサス大学オースティン校の社会心理学者であるジェームズ・ペネベイカー教授が、大学生を対象に行った実験です。大学生を2つのグループに分け、一方のグループには「これまでの人生で悲しいこと、辛かったことなど感情的に大きな影響を受けた出来事」を、もう一方には「自分の感情には関係ない日常的な出来事」を15分ずつ4日間書く実験を続けました。その結果、「感情的に大きな影響を受けた出来事」を書いたグループは、「日常的な出来事」を書いたグループよりも心身の健康が大幅に向上したことが論文で発表されました。

その後の研究により、ジャーナリングはネガティブ、ポジティブどちらの内容を書いてもストレスが軽減し、身体的健康度が高くなることが分かっています。書くことで思考を頭の外に出す「思考の外在化」を可能にし、このことで不安・ストレス・うつなどを減らす効果があると考えられています。

ジャーナリングの最大の利点は、カウンセリングなどと異なり「一人で」「気軽に」実践できることです。Google本社のリーダーシッププログラムにも導入されたことで広く知られるようになり、アメリカではIT企業を中心にジャーナリングの活用が進んでいます。また、Meta社の元COOであるシェリル・サンドバーグ氏が自著の中で、夫の死の悲しみをジャーナリングで乗り越えた体験を紹介しているのもよく知られています。

ジャーナリングの効果

ジャーナリングはメンタルヘルスケアをはじめさまざまな効果があるといわれています。具体的な効果を紹介します。

不安・ストレスを減らす

たくさんの不安やストレスを抱えると、脳の「短期記憶」と呼ばれる部位に空きがなくなり、集中力の欠如や普段できることができなくなるなどの悪影響が現れます。ジャーナリングによって、溜めていた感情・思考が頭の外に出ることで不安・ストレスが軽減します。ストレスが減ることで、自己肯定感も高まります。

集中力が高まる

ジャーナリングは、ダラダラ書くのではなく時間を決めて行います。書く作業を継続的に続けていくことで、自然と集中力が高まります。

問題解決と優先順位付けができる

自分の課題を書き出すことで、課題が明確になり、「何をすべきか」「何からすべきか」が明確になっていきます。

新しい自分を発見できる

紙に書いた内容から、新しい自分の発見につながることがあります。たとえば「こういうときに自分の自信のなさが現れる」「人間関係のことでイライラしている」などとネガティブな事実が出てくるかもしれませんが、悪いことばかりではなく、自分にはこんな一面もあるのだと客観視できたり、状況を改善する新たなアイデアが出てきたりもします。

 

このように、ジャーナリングの活用は、マイナスの状態から通常の状態まで回復させるだけでなく、プラスの状態からさらに向上させる効果もあります。

ジャーナリングの手順

ジャーナリングの具体的な手順は以下の通りです。

紙とペンを用意する

ノートやメモ帳など紙とペンを用意します。パソコンを使って行うこともできますが、脳に刺激を与えるには手を動かすほうがよいとされ、紙を使うほうがよいようです。

テーマを決める

たとえば、「今年叶えたいこと」「今日仕事で失敗した時の感情」などテーマを決めます。ジャーナリングに慣れてきたら、テーマを決めず「今、思うことにフォーカス」して行うのもよいでしょう。

時間を決めて書き出す

ジャーナリングを実施する時間に決まりはありません。一般的には1分〜20分程度の範囲で取り組む場合が多く、タイミングは、頭がスッキリしている朝、リラックスできる夜などがよいとされます。時間ではなく、A4の大きさの紙が文字で埋まったら終了と書く量を決めて進める方法もあります。ポイントは、誤字脱字など気にせず、言葉を選ばずに感じたことをありのままに書くことです。

書き出したあとに見直す

書き終えたら、書いたことを見直すのがおすすめです。「自分はこんな風に感じているんだ」「こんなことも考えているんだ」と客観的に振り返ることができます。 

ジャーナリングが向いている場面とは

以下のような悩みを感じている際には、活用がおすすめです。

  • 不安や心配事を頭の中で考え続けてしまうとき
  • 原因の分からない漠然とした悩みがあるとき
  • 原因が分からないがまわりにイライラしてしまうとき
  • 集中力が続かないとき
  • ネガティブは考えが消えず眠れないとき

 ジャーナリングには、メンタルヘルス対策としての活用法のほか、プラスの状態からさらにモチベーションを高め、アイデアが湧きやすくなる効果などもあり、全ての人にとって役に立つ手法といえます。従業員のウェルビーイングの向上のために、組織的に取り入れてみるのもよいかもしれません。