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公開日 : 更新日 : ビジョン型リーダーシップとは何か?どう育成するか?
現代の不確実なビジネス環境において注目されているのが、リーダーが明確なビジョンを示し、そのビジョンに向けてチームを鼓舞し導くスタイルのリーダーシップです。本記事では、こうした「ビジョン型リーダーシップ」の特徴やそのメリット・デメリットを明らかにするとともに、どのようにしてビジョン型リーダーを育成するかについて考察します。
ビジョン型リーダーシップとは何か
ビジョン型リーダーシップとは、リーダーが組織やチームに対して明確なビジョン(目標やありたい姿)を示し、その実現に向けてチームを導くスタイルのことです。アメリカの心理学者、ダニエル・ゴールマン(著書『EQ こころの知能指数』)が分類した6つのリーダーシップの一つであることでも知られています。
ビジョン型リーダーシップの特徴は、一般的に次のようなところにあるとされています。
- 未来志向
組織やチームの未来に目を向け、将来達成すべき目標や成果を明確に描く。
- 共感を引き出す力
メンバーが心から共感できるようなビジョンを示すことができる。
- 鼓舞する力
メンバーが自発的にその実現に向けて動きたくなるように促すことができる。メンバーを動かす。
- 戦略的思考
ビジョンを具体的な戦略や行動に落とし込むことができる。
具体的な動き方をメンバーに任せるところは他の民主型、支援型リーダーシップとも似ていますが、その前提として、多くのメンバーが共感できる「ビジョン」を持っていることが特徴だと言えるでしょう。
最近日本で行われた調査では、他のさまざまなリーダーシップの型を押さえて「理想のリーダー像」に選ばれるなど、今、多くの人に求められているスタイルでもあります。
なぜ今ビジョン型リーダーシップなのか
ビジョン型リーダーシップが求められる背景には、次のようなことが考えられます。
1.不確実性の高い時代に対応するため
今日のビジネス環境は、グローバル化やテクノロジーの進化、社会情勢の変動などにより、予測が難しく不確実性が高い状況が続いています。こうした環境では、現状に合わせるのではなく、あるべき方向に向けて導くことが求められ、将来目指すべき方向としての「ビジョン」が問われることになります。
2.変革を促進するため
たとえば自動車のIT化など、テクノロジーの進化等で事業は大きく変化するなかで、既存の方法やモデルでは企業の競争力を維持するのが難しくなっています。そんな中では、既存の枠にとらわれず、新しいアイデアやアプローチを積極的に取り入れることのできるリーダーが求められます。
3.メンバーのエンゲージメントを高めるため
変革の実現には、組織のメンバーが方向性を理解し、自発的に関わるのが理想的です。こうした自発性を高めるにはメンバーのエンゲージメントを挙げるのが有効ですが、そのためにも、共感できるビジョンを示すことのできるリーダーが力を発揮します。
こうした特性から、ビジョン型リーダーシップはとくに、成長過程にあるベンチャー企業など小規模な組織で力を発揮しますが、事業変革とそれに向けた組織の改編に取り組んでいる大企業にとっても必要な力だと言うことができます。
ビジョン型リーダーシップのメリット
ビジョン型リーダーが組織を率いることは、次のような効果をもたらすと考えられます。
1.組織を変革することができる
共感を集めて人を動かすことができるため、納得感を持って古い組織体質を変えていくことができます。
2.エンゲージメント向上が期待できる
メンバーの一人ひとりが、リーダーの示すビジョンに共感することで組織に一体感が生まれます。一方、具体的な行動はメンバーに任せられるため、参加意識や自己効力感が高まり、よりエンゲージメントの高い状態になることが期待できます。
3.自律的なメンバーの育成につながる
ビジョンを実現するためにどう動くべきかはメンバーの一人ひとりに委ねられるため、それぞれが自立的、主体的に動く機会が生まれ、それが成長につながります。
ビジョン型リーダーシップのデメリット
現代の企業にとってはメリットの多いビジョン型リーダーシップですが、注意すべき点もあります。たとえば以下のようなポイントが挙げられます。
1.目の前の問題を見過ごす可能性がある
ビジョン型リーダーは「未来のイメージ」に目を向けているので、目の前で起こっている問題や短期的なチャンスを見過ごす場合があります。現場を預かるメンバーのモチベーションを下げないためにも注意が必要です。
2.メンバーとの信頼関係が問われる
ビジョン型リーダーシップは、メンバーが自発性に動くことで成立しますが、そのためには、リーダーとメンバーの間に信頼関係か求められます。メンバーから見たリーダーが、人物、能力等の面で尊敬できる存在であることも必要かもしれません。
3.共感できるビジョンが不可欠
リーダーが描くビジョンが不明確であったり、メンバーが共感できるものではない場合、そもそもビジョン型リーダーシップが成立しません。リーダーには、明確にビジョンを描く力が求められます。
ビジョン型リーダーを作る研修テーマ
ビジョン型リーダーを育成するにはどのような学びが役立つか、必要な力ごとに考えてみましょう。
構想力
構想力とは、新しいアイデアを生み出し、実現のために計画する力。プロジェクトの全体像を思い描き、関係者やリソースをどう活用するかを考えることなどが含まれます。
<役立つ研修テーマ>
課題設定力
課題設定力とは解決するべき課題は何か=何をするべきかを自ら考え出す力のことで、課題解決(どうやって解決するか)の上流で求められる力です。ビジョンを描くためには不可欠な力と言えます。
<役立つ研修テーマ>
意志、意欲、情熱
ビジョンに向けてメンバーを導くのは確固たる意志や情熱、やり抜くための粘り強さこうしたことを鍛えるには、考え方の軸を作るリベラルアーツや、メンタル面でのトレーニングが役立ちます。
<役立つ研修テーマ>
コミュニケーション能力
ビジョンへの共感を得るには、メンバーの考え方を知ることも重要です。メンバーの考えを引き出すコーチング能力や、「理」だけでなく「情」も理解できるEQの高さも備えているとよいでしょう。
<役立つ研修テーマ>
戦略的思考力
ビジョンを具体的な戦略や行動に落とし込み、必要な変革をけん引する力のことです。物事を多様な角度から見て考える「多面思考」や過去の成功体験や既定路線に左右されない「非連続思考」なども含まれます。
<役立つ研修テーマ>