5分でわかるビジネストレンドワード
5分でわかるビジネストレンドワード
ニューノーマル時代の「非対面コミュニケーション」
コロナ禍やITの発展により、ビジネスにおいて非対面でのコミュニケーションが増えてきています。また、働き方や社会情勢が変化していくニューノーマル時代には、コミュニケーションの取り方をアップデートしていくことが必要です。そこで「非対面コミュニケーション」のメリット、デメリットや、対面との使い分けについて見ていきたいと思います。
リモートワークで定着した「非対面コミュニケーション」
コロナ禍による外出制限やソーシャルディスタンスの確保のため、ビジネスにおけるコミュニケーションの主な手段が、対面から、オンラインやチャットツールなどを使う「非対面コミュニケーション」へと変化しています。
打ち合わせや商談など、元来は対面で行うことが望ましいと考えられてきた活動まで、非対面コミュニケーションで行う機会も増えてきました。
ただ「非対面コミュニケーション」が浸透する中で、以下のような課題を感じている人もいます。
- 感情や微妙なニュアンスが伝わりづらい
- 相手の反応や温度感を読み取りづらい
- 画面を通じた情報のみで情報量の不足を感じる
- 気軽な相談がしづらい
非対面コミュニケーションのメリット
非対面コミュニケーションには上記のような課題がある一方で、以下のようなメリットもあります。
場所を問わずに行うことができる
取引先や会議先へ訪問のための移動時間や交通費がかかりません。
リアルタイムでなくてもやりとりできる
チャットツールなどを使用すると、リアルタイムでなくても、自分のタイミングでやりとりができます。コミュニケーションの記録が残るため確認漏れも起きにくくなります。
資料や画像ファイルを共有しやすい
言葉だけで相手に伝えることが難しい場合、メールやチャットなら資料をすぐ添付でき相手に共有しやすいです。また、ビデオチャットではリアルタイムでファイルを共有することができます。
タイミングや重要性・緊急性に合わせた連絡ができる
電話・メール・チャット等、複数の伝達ツールを使い分けることで、状況や相手に配慮しながら業務を進めることができます。
オンライン会議の音声・画面の効果
対面の会議では「声の大きい人」に注目が集まりがちですが、オンライン会議では声の通りにくい人の発言もかき消されにくいと言うメリットがあります。参加者の顔を大きく見ることもでき、人数の多い集まりでは、対面以上にはっきりと表情を見ることができます。
また、対面の方がリアルタイムに多くの情報を伝えられると考えられがちですが、必ずしもそうではないようです。対面と非対面ではどちらが相手に正しい情報が伝わりやすいかを比較する実験では、非対面の方が、提案資料や地図などの添付があることで、より正確な情報が相手に伝わりやすいという結果も報告されています。
非対面コミュニケーションを円滑にする方法
とはいえ非対面コミュニケーションでは、対面と比較して、感情・表情など言葉以外の情報量は劣ってしまいます。そこで、非対面コミュニケーションを円滑にするためには、以下のような方法が役立つでしょう。
聞いていると伝える、リアクションをする
Web会議ツールなどを使った非対面コミュニケーションでは、感情部分が見えにくいため、お互いの反応が分かりづらくなります。そこで、しっかり聞いていることを伝えるために、うなずいたり、相槌を打ったり、少し大きめのリアクションをしましょう。
言葉遣いに気を配る
チャットツールは、メールよりも簡潔な文章で、スピーディーに、気軽なやり取りができますが、言葉の崩しすぎには注意が必要です。とくに目上の人や社外の人とのやり取りをする時には、失礼にならないように言葉遣いに気をつけましょう。
相手に関心をもつ
Web会議ツールなどを使って、プレゼンテーションを行う際、話が一方通行になりがちです。相手の反応を確認するほか、時には質問をし、認識がずれていないか確認しながら進めてみましょう。
簡潔に話す
非対面では、相手の感情の変化が見えにくいため、相手がどこまで内容を理解しているか、内容に興味を持っているのかなど分からないこともあるでしょう。まずは、分かりやすく簡潔に、聞き取りやすいスピードで話しましょう。
ツールの優れた面を積極的に活用する
非対面コミュニケーションの課題の一つに、気軽な相談をしにくいという課題がありましたが、チャットツールを導入したことで改善した例があります。コミュニケーションがスムーズになったほか、これまで交流が少なかった他の部門とのやりとりが発生して新たなプロジェクトが立ち上がるなど、プラスの面も出ている企業もあるのです。このように、課題と感じた部分や足りない部分を何かしらのツールで補うことも可能です。
ニューノーマル時代は非対面と対面、さまざまなツールを使い分ける段階
非対面コミュニケーションによく使われるツールについて確認しながら、それぞれの特徴や使い分けについて考えてみましょう。
Web会議ツール(Zoomなど)
オンラインで、さまざまな場所から顔を見ながらの会話が可能なツールです。本社、支社の社員が同じ会場に集まらなくても、同時にオンライン上で参加でき、会議にも最適です。
チャットツール
リアルタイムに、チャットでの会話やファイル共有ができるツールです。メールのように宛先や件名を入れる必要がないため、手間を減らしやりとりができるメリットもあります。個別でのやりとりだけでなく、グループでのやり取りも行えます。
メール
資料やファイルを添付したり、情報を共有したりするのに適したツールです。相手の都合に合わせて開封してもらえるので邪魔にはなりにくいですが、急ぎの要件の際にはあまり向きません。
電話
音声でリアルタイムにやり取りができるという点は優れていますが、相手の様子が見えないため、場合によっては相手の時間を邪魔してしまうこともあります。そのため、緊急度が高い要件に使用するのが最適です。
こうしてさまざまなツールを導入し、非対面コミュニケーションにシフトしてきたたことで、逆に対面の良さも再評価されています。例えば、初対面の人との打ち合わせや、プロジェクトの初回顔合わせ、高額な商品の商談など、双方の意図を正確につかみたい場合には、感情や温度感が伝わりやすい対面のコミュニケーションが有利だと多くの人が感じていることでしょう。
これからのニューノーマル時代は、さまざまなツールを使い分けながら、目的に合ったコミュニケーションを試していく段階になっていくでしょう。
結局大切なのはコミュニケーションの本質
ある程度リモートでのコミュニケーションが避けられないニューノーマル時代には、コミュニケーションにも対面と非対面の使い分けが重要になってきます。しかしながら、今回紹介した「非対面コミュニケーションを円滑にする方法」は、実は非対面コミュニケーションだから必要なのではなく、対面であっても重要なコミュニケーションの基本です。
実は、「信頼関係を作る」「論理的に考える」という基本がすでに身についている人は、対面でも非対面でも円滑なコミュニケーションができています。ツールやテクニックでコミュニケーションを円滑にすることも大切ですが、コミュニケーションの基本を押さえた人材育成こそが、企業にとって最も重要なのではないでしょうか。
●関連情報