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「システム思考」を身につけて、複雑な問題を解決に導く
昨今、ビジネス環境の変化が早く、見通しのつかないことも多いため、企業が事業や組織は複雑な問題を抱えています。そこで、目に見えている問題だけにとらわれるのではなく、さまざまな要素とのつながりを把握したうえで問題解決を目指す「システム思考」が注目されています。
「システム思考」とは
システム思考とは、解決したい問題を取り巻く様々な要素のつながりに着目し、その全体像を「システム」としてとらえ、多面的な見方で原因を探し、最も効果的な解決法へ向かうアプローチのことです。根本的な解決法を探すための組織マネジメントの手法として外資系企業の多くでシステム思考が取り入られていて、日本でも注目されています。
目の前の問題を解決したつもりでも、別の大きな問題が出てきたり、さらに問題が大きくなったりすることがあるでしょう。システム思考で考えることで、目の前の問題に対して、対症療法ではなく、マクロ的、全体的な視点で本質的な問題解決を図ることが可能になります。
また、システム思考では、ロジカルシンキングだけでは解決が難しい複雑な問題への深掘りができます。
ロジカルシンキングとは、物事を分解して整理したり、因果関係を考えたりする思考法です。物事を分析し、切り分けて考え、点に分解したり、線でつながりを考えたりするのがロジカルシンキングだとすると、点と線を一つの「面」としてとらえ、一枚絵に落とし込んで考えるのがシステム思考(システムシンキング)といえます。
例えば、問題の「原因」と「結果」ということに着目したときに、ロジカルシンキングは基本的に「原因」から「結果」、あるいは「結果」から「原因」という一方向的に階層構造で考えます。それに対し、システム思考では「原因」と「結果」の両方の要素が互いに影響を及ぼし合うことを考慮しながら、双方向的に一枚絵をえがいて考えます。複雑化が進む世の中においてシステム思考は、ものごとの相互作用を理解し、現状を見極めることに有効な思考法だと言えるでしょう。
システム思考のツール
先ほどご紹介したように、システム思考は一枚絵をえがいて問題解決へのアプローチを探っていきます。そのために、さまざまな要素のつながりを見える化するためのツールを使います。ツールを活用することで、システム思考に関するさまざまな側面への理解につながっていきます。
- 「時系列パターングラフ」…課題のパターンを見える化し、大局の流れをつかみます。
- 「ループ図」…今起きているパターン説明し、大局をつくる構造を見える化します。
- 「レバレッジ・ポイント」…レバレッジ・ポイントを日本語に訳すと「てこの力点」です。小さな力で大きな変化をもたらす効果的な介入点を探し、問題構造の根本、ツボを探求します。
氷山モデル
氷山モデルは、システム思考で使われるツールの一つです。「氷山の一角」という言葉にもあるように、見えていることは、全体のほんの一部分です。氷山モデルでは、システムの全体像を以下4つの階層に見立ててとらえ、物事の全体像を見ていきます。
- 「出来事」…表面にあって注目されやすいことです。
- 「パターン」…出来事が起こる中長期的な傾向のことです。出来事を単独でとらえるのではなく、過去を振り返ることで繰り返し起きているパターンが見えてきます。
- 「構造」…パターンを生み出すシステムの構造です。この部分を見ることで、問題が起きるときの基本パターンが見えてきます。
- 「メンタル・モデル」…意識・無意識の前提のことです。構造を引き起こしている「メンタル・モデル」を洗い出していくことで、多角的に問題を見つめることができます。
何か「出来事」が起こった時に、「パターン」を変えなければ問題は解決しません。また、「パターン」を変えるには、それを取り巻いている「構造」を、そして「構造」を変えるには、「メンタル・モデル」を変えないと問題は根本的に解決しないのです。このように4つの断層はつながっています。
最終的に「メンタル・モデル」に働きかけることは、問題解決だけでなく、人・組織の意識・無意識の変革を促し、結果的に自律的な学習や学習する組織への変化、議論や意思決定のレベル向上につながることも期待できます。
システム思考はどんなシーンや人に有効か
「努力をしているのに結果が出ない」「メンバーの主体性や創造性が十分に発揮できていない」「他部署とも連携した全体最適が実現できていない」などの課題に対して、システム思考を通じて課題解決が期待できます。以下のようなシーンや対象者に有効です。
シーンでは
- 複雑なビジネス環境の中で事業戦略立案と遂行
- 「学習する組織」として組織開発
- 部門・機能別に分かれた組織運営の全体最適
- 複雑な問題に関するコミュニケーションの推進
- 多様な利害関係者と調和的に行動する共創的コミュニケーション
人としては
- 経営者・経営幹部
- 経営企画部門、人事・組織開発部門等の管理者・スタッフ
- 事業部門、職場のマネージャー、リーダー、およびその候補者
- 研究開発、商品開発、技術開発等企画部門のリーダー、スタッフ
まとめ
問題解決のためにさまざまな手法を活用されていると思いますが、より複雑な問題を解決に導くための手法としてシステム思考を取り入れてみてはいかがでしょうか。新しい視点で新たな角度から問題解決ができるかもしれません。
関連情報
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https://solution.jma.or.jp/seisansei/gyomukaizen_33/
「デザイン思考」とは?概要・学び方・社内浸透の方法は?
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