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なぜ今ロジカルシンキングか?どう学ぶか?

公開日:2022/06/09 更新日:2023/09/14

ロジカルシンキングとは、複雑なものを整理しシンプルにしていく思考法であり、問題解決の最も基本的なスキルです。今回は「ロジカルシンキング」の考え方、身につけ方を紹介します。

ロジカルシンキングとは何か/今あらためて注目される理由

ロジカルシンキングは日本語で言うと論理的思考です。「主張と根拠」を論理的につなぐ思考法で、思考のプロセスは、まず「前提」を決めたうえで、「推論」「結論」という筋道をたどります。「前提」から縦に深掘りしていくため、「垂直思考」とも呼ばれ、多くの場合、結論は1つです。

こうした課題の解決策として、簡潔で明快なコミュニケーション力、プレゼンテーション力が求められるようになり、ロジカルシンキングがあらためて注目されています。

要点や論点を整理し、筋道が通った内容でやりとりができれば、メールやチャットでも円滑なコミュニケーションが可能になります。ロジカルシンキングによりコミュニケーションの課題が解決されることで、リモートワークによってもたらされるストレスの軽減も期待できるでしょう。

ロジカルシンキングを身につけるとどうなれるか

ロジカルシンキングを身につけることで得られるメリットは大きく2つあります。

問題解決能力が上がる

ロジカルシンキングは、物事の原因と結果、因果関係を理解しながら思考します。そうすることで、物事を客観的に見られるようになり、解決すべき課題を見つけやすくなるのです。解決すべき課題が見つかれば、原因解明や解決にも近づくでしょう。

 自分の考えが伝わりやすくなる

要点や論点を整理することで相手に自分の考えが伝わりやすくなり、コミュニケーションが円滑になります。社内での企画提案やビジネスの交渉相手に対して、プレゼン力や提案力の向上も期待できます。

こうした問題解決能力やコミュニケーション力は、ビジネスにおける基礎的な能力の一つです。その意味で、ロジカルシンキングは、若手・中堅社員のうちに身につけておきたい能力であると言えるでしょう。

ラテラルシンキング、クリティカルシンキングとの違いと関連

ロジカルシンキングとよく比較される思考法に、「ラテラルシンキング」や「クリティカルシンキング」があります。それぞれとの違いと関連をみてみましょう。

ラテラルシンキング

「前提」を疑い、時には前提を覆し、発想を「水平方向」に広げながら、答えやアイデアを生み出す思考法です。そのため結論は1つではありません。既成概念や常識の枠を外して行う、自由な思考法です。

クリティカルシンキング

クリティカルシンキングは批判的思考のことで、論理的に考えた結果を「本当にそうだろうか?」と問い続けながら考える思考法です。

このように「ラテラルシンキング」「クリティカルシンキング」「ロジカルシンキング」はそれぞれ違った思考法であるため、利用するシーンが異なります。ですがいずれの場合も、まずはロジカルシンキングによって、目の前の状況を整理することで課題への理解を深める必要があります。このように、ロジカルシンキングはすべての基本となる考え方なので、最初に身に着けておくのが理想的といえるのです。

ロジカルシンキング実践に役立つ概念・フレームワーク

ロジカルシンキングの中核になっている概念・フレームワークを紹介します。 

MECE(ミーシー)

MECEとはMutually(お互いに)/Exclusive(重複せず)/Collectively(全体に)/

Exhaustive(漏れがない)の頭文字をとった言葉です。「全体集合として漏れなく重複することのない状態」を指し、網羅性を追求するために使われます。限られた時間の中で最善の解決策を考える際に役立ちます。

一般によく使用されるビジネスフレームの3CCustomerCompanyCompetitor)や4PProductPricePlacePromotion)もMECEを応用したフレームワークです。

ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャーとは「結論」と「根拠」のストラクチャーです。ピラミッドの上部に伝えたい結論(仮説)を置き、その下の階層に結論を支える根拠を積み重ねていくという手法です。ピラミッドを頂点から下に降りながら考える「トップダウンアプローチ(仮説→根拠→事実)」と下から頂点に上る「ボトムアップアプローチ(事実→根拠→仮説)」の2つのアプローチ法があります。

ロジックツリー

ロジックツリーとは「集合」と「要素」のツリーです。問題の原因の深掘りや、解決策を具体化する時に役立つ考え方です。ツリーの上位にテーマを置き、その要素となる事柄や事実をツリー上に配置していきます。あわせてMECEの観点も使い、漏れなくダブりがないことを確認しながら進めるとよいでしょう。

帰納法と演繹法

帰納法と演繹法は、説得力がある結論を導くためのフレームワークです。

帰納法は複数の事実からわかる傾向をまとめて、説得力のある結論を導きます。たとえば、筋トレをはじめたAZの被験者がいずれもダイエットに成功したため、「筋トレはダイエットに効果的だ」という結論を導くことができます。しかしながら実際には、食事制限をしていた人、他の運動を組み合わせて痩せた人もいるかもしれません。必ずしも結論が確実でないことから帰納的推論とも呼ばれます。

一方、演繹法は帰納法とは逆の手法です。ギリシャ哲学のアリストテレスが提唱した手法で「三段論法」とも呼ばれ、一般的なルール(事実)と観察事項の情報をもとに論理的な結論を導き出します。有名な三段論法の例として、「人間はいつか死ぬ」(事実)→「ソクラテスは人間である」(観察事項)→「ソクラテスはいつか死ぬ」(結論)という例があります。

効果的に学ぶために必要なこと、鍛える方法

ロジカルシンキングを実践するためのフレームワークについてお伝えしましたが、効果的に身につけるには、概念の理解だけではなく、実際に使ってみる以下のような演習トレーニングも有効です。 

フェルミ推定

実際に数えると時間がかかるような数字を、論理的思考を使って概算することです。たとえば「日本には公園がいくつあるか」「日本に電柱が何本あるか」などを推定する作業がこれにあたります。具体的には日本の人口、世帯数、国土面積などのデータから概算していきます。

ディベート

ディベートとは、1つのお題に対して賛成側と反対側の立場に分かれて議論することを指します。意見について深く掘り下げ、第三者を説得させられるように根拠や事実を収集し、主張します。時間や場所に縛られず、1人で行うセルフディベートもオススメです。肯定・否定のどちらの立場も体験しながら、ロジカルシンキングを鍛えることができます。

ロジカルシンキングはビジネスパーソンにとって重要なスキルです。ロジカルシンキングを習得することは、論理的思考力を鍛えるだけではなく、相手を納得させるだけの説得力ある結論を構築するスキルにつながります。こうした力をつけるためには、実践型のグループワークなどで、推論したことを具体的に言葉で表現するトレーニングを行うことも有効といえるでしょう。

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