リアリティショックとは何か?どう防ぐか?

公開日:2024/05/20 更新日:2024/05/20

「リアリティショック」とは、主に「新入社員が入社前に抱いていた理想と入社後の現実とのギャップに対する悩み」として使われる言葉です。とくに春から夏にかけて起こりやすいリアリティショックを軽減するため、よくある原因や防ぎ方を紹介します。

リアリティショックとは何か

リアリティショックとは、「仕事に対して抱く理想と現実のギャップにショックを受けること」を意味します。とくに、「新入社員が入社前に仕事に対して抱いていたイメージと実際の仕事とのギャップに対するショック」という意味で使われることが多いようです。

実際、約8割の人が「入社後になんらかのリアリティショックを感じた」という調査結果もあり、企業にとって早急に対処すべき課題といえます。

もとは1985年に米国の組織心理学者E.C.ヒューズ氏によって提唱された概念で、マサチューセッツ工科大学のエドガー・シャイン教授によって考え方が広められました。

リアリティショックが企業に及ぼす影響

新入社員が感じるリアリティショックは企業にマイナスの影響を及ぼします。たとえば以下のようなことが考えられます。

早期離職の増加

退職理由としてよく挙げられるる「労働条件」「業務内容」「人間関係」などは、仕事に対する理想と現実のギャップを感じやすい項目です。ギャップが大きいと従業員のモチベーションが低下し、組織や仕事に対する興味が失われ早期離職につながります。

仕事へのコミットメントの低下

やる気のある従業員ほど、理想と現実のギャップに不満を抱きます。目の前の業務に対し「自分のやりたい業務ではない」「自分の能力を活かせない業務」と感じると仕事へのコミットメントも低下します。

組織エンゲージメントの低下

リアリティショックが大きいと、組織に対して不信感を抱きやすく組織エンゲージメントの低下につながります。組織文化や慣習にも馴染めないこと自体がリアリティショックとなるケースもあるでしょう。

なぜリアリティショックが起こるのか

リアリティショックが起こる原因はさまざまです。ここではその代表的なものを挙げてみます。

仕事内容によるもの

少なからず、想像していた業務と実際に担当する業務との間にギャップが生まれます。自分のスキルや専門性が活かされず単調な仕事ばかりだと、仕事から得られる成長機会や達成感を感じられず、リアリティショックにつながりますます。残業や休日出勤の多さなども原因の一つです。

対人関係によるもの

コミュニケーション不足、上司とのジェネレーションギャップに対する悩みなど、同期や職場の同僚、上司と対人関係に関するギャップが問題になります。

 他者との能力比較によるもの

自身と他者の能力を比較した際に生まれるギャップには2つのパターンがあります。一つは、他者の能力が高すぎて「ついていけるのか」と自信をなくしてしまうケース、もう一つは、他者のレベルや意識の低さに「会社の将来性は大丈夫なのか」と不安を感じるケースです。

評価によるもの

自分では頑張っているつもりなのに納得のいかない評価をされた際に「上司・会社から正しく評価されていない」といった不満が生まれます。先輩たちの様子を見て、将来の待遇に対する不安を感じることもあります。

成長環境やキャリア開発によるもの

若手社員は、成長できる環境やキャリア開発の場を求める傾向があります。「仕事で与えられる裁量が小さい」「仕事で得られる達成感が少ない」など不満を感じた場合、ギャップが生まれます。

リアリティショックは誰でも起こり得る問題

ここまでは新入社員のリアリティショックについて解説しましたが、リアリティショックはベテラン社員にも起こる可能性があります。

たとえば、昇進によって管理職に就任する、育児休暇明けに職場復帰するケースで、就任前や復帰前に思い描いていた仕事内容や立場と現実とのギャップから、リアリティショックが起こる場合があります。

リアリティショックに対して取るべき対処法

このように、リアリティショックは業務のさまざまな場面で発生する可能性があります。企業として取るべき対処法についても把握しておきましょう。

採用段階からのギャップをなくす

入社後に大きなギャップが生じないようにするには、入社前に実際の業務に対して期待値調整を行うのが有効です。具体的には「選考中になるべく多くの社員と会う機会を設ける」「良い点ばかりアピールしない」「数字でより具体的に事実を伝える」「インターン制度などで実際の業務に触れてもらう」などです。

職場のコミュニケーションの向上

入社後にまわりと十分なコミュニケーションが取れていない場合、新入社員は「社内に自分の居場所がない」と早々に見切りをつけてしまうこともあります。対処法として、現場社員をメンターにして、困ったことがあれば相談や指導ができる体制を作るなどの対策が考えられます。採用後も人事担当者との定期的な面談を行うなど、適切なフォローも有効でしょう。

受け入れ側の人材育成

先輩や上司に対しての信頼度が高まると、リアリティショックが軽減できるともいわれます。受け入れ側に対して適切な指導法をレクチャーしたり、新入社員に対する指導方針の共有を行ったりするのもよいでしょう。

適切な評価制度の導入

多くの従業員が評価制度に納得していない場合、制度自体に問題があるかもしれません。問題解決には、従業員が納得するような評価制度の導入が有効です。新入社員が自らを過大評価している場合は、上司から市場価値や会社からの期待などを伝え、評価に納得してもらう必要があります。

レジリエンスの育成

とくに新入社員は、ストレスや逆境への耐性があまりありません。「仕事が思い通り進まない」「逆境に耐えられない」など困難に直面するとリアリティショックが起こることがあります。そのような時には回復力、しなやかさ(レジリエンス)を高める育成を行うことで、リアリティショックを回避しやすくなるでしょう。

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レジリエンス向上

リアリティショックは企業にマイナスの影響をもたらします。新入社員の入社後のギャップを軽減するために、採用段階から業務内容や職場のイメージをさせることも重要ですが、入社前にすべてを防ぐことはできません。配属先でのフォロー体制作りや会社の制度見直しの検討など、多角的な対処法を検討する必要があるといえるでしょう。