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個の時代の育成法「パーソナライズ学習」をどう実現するか?

公開日:2024/05/29 更新日:2024/05/29

そこで「個の時代」と言われる今、人材育成についても一人ひとりに応じた内容を提供していくことが望ましいとされています。「パーソナライズ学習」とは学ぶ人一人ひとりに合わせた学習方法のことですが、どうすれば可能になるでしょうか?パーソナライズ学習」の導入メリット、導入法などについて紹介します。

パーソナライズ学習とは何か

パーソナライズ学習とは、個々の学習者に合わせて学習内容をカスタマイズする手法です。

狭義でのパーソナライズ学習は、学習アプリなどで個人の学習データを蓄積し、苦手な分野を繰り返し出題するなど学び方を指すことが多いようです。こうした手法の起源は、米大手IT企業の元エンジニアが2013年に立ち上げた学校「Alt School」だと言われています。その構想は、生徒一人ひとりが教師と相談しながら学習プログラムを選定し、興味に基づいた教材を使用、最終的にはこれらの情報をビックデータ化し、習熟度や特性に応じた教材やテキストをレコメンドする機能につなげるというものでした。

しかし、企業での人材育成の場面では、こうした学習手法はまだ確立されているとはいえません。ここではもう少し広い意味で、「一律の内容ではなく、学習者のニーズやスキルレベルや経験に合わせてプログラムを提供する」という意味で、パーソナライズ学習について考えてみましょう。

なぜ今パーソナライズ学習が求められるのか

人材育成のパーソナライズ化が求められている背景については、次のようなことが挙げられます。

従業員の多様化

年功序列・終身雇用の廃止、ジョブ型人事制度の導入など企業の制度が変化しています。また正社員、アルバイト、業務委託など働き方が多様化し、従業員の仕事に対する価値観や経験値の幅も広がっています。こうした従業員の多様化が、従来のような一律の育成が通用しにくくなっている理由の一つです。

リモートワークの普及

これまでは、OJTや普段の業務の中でのきめ細かいフォローが、一律で行われる研修を補完する役割を果たしてきたとも言えますしかし、コロナ禍の影響でリモートワークが普及し、こうした機会が大幅に減少している中では、そもそも一律で行う研修自体を見直す必要があると考えられます。

若手社員の傾向として

デジタルネイティブ世代である若手社員にとっては、インターネットで得られる情報一つ取っても個人向けにカスタマイズされているのは当然のことです。人材育成のメニューについても、自分の得意不得意に合わせて効率よく学ぶことを求める傾向にあります。

育成をパーソナライズすることのメリット

パーソナライズ学習のメリットとしては次のようなことが挙げられます。

効率のよい育成ができる

従業員の理解度に合うよう内容をカスタマイズできれば、必要な部分だけ集中的に学習できるので効率化につながります。多くの人数を一度に集める必要がなくなるため、日程的にも参加しやすくなります。

自発的に学ぶ意識を高められる

一人ひとりのキャリアプランに沿った学習をカスタマイズすることで、従業員も自らの成長につながるための学習であることが実感でき、自発的に学ぶ意識が高まります。また、従業員の理解度や好みに合った学習内容であれば、自然に学ぶ意識が高まるため、育成効果も上がりやすくなるでしょう。組織全体の学習文化の醸成の後押しにもなります。

パーソナライズ学習の導入に向けての課題と注意点

メリットの多いパーソナライズ学習ですが、導入に向けての課題や注意点もあります。導入を検討される際には知っておきましょう。

プログラム選定やコンテンツ作成に手間がかかる

従業員のスキルレベルや興味に合わせた学習内容をカスタマイズするためには、プログラム選定やコンテンツ作成により多くのリソースが必要になります。

育成担当者自身の教師スキルを要する

従業員の課題やスキルレベルに合わせた教材を提供するには、選定する育成担当者にも教師に近いスキルが必要です。自前で行おうとすると、場合によってはこうしたスキルを高めるためのトレーニングも必要になるかもしれません。

学習意欲を保つのが困難である(オンデマンド学習などの場合)

オンデマンド学習のように個人で学ぶ場合、講師や他の学習者と顔を合わせる集合研修と比べるとモチベーションや学習意欲の維持が難しくなりがちです。魅力的なコンテンツ作り、学習後のゴールを明確にするなど工夫が必要です。

人材育成のパーソナライズに必要なこと

個々に合った学習内容を提供するためには、次のようなことが必要と考えられます。

各従業員のスキル、興味、学習スタイルの把握

各従業員に効果的なパーソナライズ学習を提供するためには、従業員のスキル、課題、学習スタイルなどの現状を把握する必要があります。たとえば、事前にアセスメントを実施して強化すべき能力を特定しするのも一つの手です。

学びのためのさまざまな選択肢を揃える

一人ひとりによりフィットした育成を行うには、「学ぶ内容」だけでなく「学習形態」の選択肢を広げなければなりません。一人で進めるeラーニング、参加者同士で知識を共有するソーシャルラーニング、スマートフォンなどから隙間時間に学べるマイクロラーニングなど、さまざまな選択肢を用意できるとよいでしょう。

効果的に研修を組み合わせる

基礎知識はオンライン研修で学び、対話やコーチングのスキルなどは対面で実践的に学ぶなど、より効果的な組み合わせを検討することも重要です。

【参考URLオンデマンド学習、対面研修などを組み合わせた「戦略志向」のプログラム例

パーソナライズ学習は個の時代に合っていますが、本当に一人ひとりにフィットした学習内容を提供するには、適切な分析とプログラム内容の検討が必要です。JMAソリューションのカスタマイズ型研修は、まさにこうしたプロセスを踏まえて研修内容を組み立てていくサービスです。パーソナライズ学習に関心をお持ちの方は、気軽にご相談いただければ幸いです。