やりっぱなしにしない!研修活用術
研修の効果を高めるアセスメント活用術
アセスメントは社内の現状、個人の特性や経験、保有スキルを把握するのに有効な手法。実施することで行うべき研修も明確になり、よりすぐれた効果を上げることができます。ここでは、アセスメントの活用の仕方と研修への活かし方を解説するとともに、JMAでご提供しているアセスメントの例をご紹介します。
人材領域におけるアセスメントとは
アセスメントとは、「評価」や「査定」という意味を持つ語です。一般的には、「何らかの対象について、客観的な基準を設けて偏りなく行う評価」といった意味で用いられます。たとえば、施設などの建設の際に環境影響について評価する「環境アセスメント」、事故などのリスクを評価する「リスクアセスメント」などもその一例です。
人材領域におけるアセスメントとしては、「人材アセスメント」や「組織アセスメント」といった形で、測定、評価する手法やツールが存在します。
人材アセスメントが対象とするのは、一人ひとりの従業員の適性や能力です。適性検査や評価ツールを使用して客観的に測定することで、本人も自覚していないような潜在的な特性が分かる場合もあります。上司による評価などと異なり、相性や主観に左右されないのもメリットです。
組織アセスメントでは、組織に属するメンバーの適性や能力を測定することで、組織全体としてどのような強みを持ち、どこに弱点があるのかを把握することができます。どのような適正、能力を持つ人が活躍しているのか、どのような人が定着しているのかを知ることもできます。
今、人材アセスメントが必要な理由
これからの人材育成においては、人材や組織に関するアセスメントがますます重要になると考えられます。
以前の日本企業では、新卒一括採用で入社し、同じ年次や階層であれば同じような能力を求められ、研修についても階層ごとに一律に受けるのが一般的でした。しかし、働き方が多様化し、業務内容についても専門化が進んだ今、年次や階層で一律の育成を行うことは、実情に合っているとは言えません。必要なのは、「個々の人材に、そのときに必要な育成を施す」「現状の組織に足りない能力を補う」といった考え方であり、そのために、まずは個々の人材や組織の現状を把握することが欠かせません。
こうした評価を、マネージャーが行っているケースも多いかもしれません。しかし、現在、マネージャーの業務は非常に多岐に渡り、業務量も膨大なものになっています。そんな中で、適切な評価を行うのは難しいと言えるでしょう。そうでなくても、マネージャー個人による評価にはどうしても主観がついて回ります。人と組織の現状を客観的に評価するには、やはりアセスメントを始めとする「測定」のプロセスが有効だと言えます。
アセスメントを行うことのメリット
人材や組織に関するアセスメントを実施するメリットを、企業と従業員のそれぞれについて挙げてみます。
企業にとって
①人材の適正配置が可能になる
組織としての強み、弱みが客観的に分かるので、弱点を補う人材の配置、採用などを合理的に行うことができます。今いるポジションで力を発揮できていない人を、よりその人に合うポジションに配置転換することもできるでしょう。
また、成果を上げている人がどういう特性の持ち主なのかも把握できるため、同じような特性を持つ人をより多く加えることで強みを強化することもできます。
現在のメンバーにどういうタイプの人が多いのかという傾向がわかることで、より組織の雰囲気に合う人を配置、採用することもできるでしょう。
当然ながら、企業としての業務の転換に伴う組織再編を行う場合も、アセスメントが効果を発揮します。
②効果的な人材育成ができる
メンバーの潜在的な適性、能力が分かるので、適性に応じた育成方法を選ぶ、不足している能力を開発する研修を受けてもらうなどの対応が可能になります。
従業員にとって
①自分の適性に気づく機会になる
人材アセスメントを受けることで、自分の強みや弱みを知ることができます。これから学ぶべきことを理解できるので、研修等にも前向きに取り組むことができるでしょう。
②上司の主観に左右されない
アセスメントによる評価は客観的なものなので、評価される側にとっても受け止めやすいというメリットがあります。上司の主観による評価とは異なり、適正に評価されたという納得感も生まれやすくなります。
③キャリアイメージを持ちやすくなる。
自分の適性を理解できれば、「将来的に自分はこういう方向に進みたい」というキャリアイメージを持ちやすくなり、仕事へのモチベーションが高まります。
研修と組み合わせることによる効果
アセスメントを実施してから研修を行うことで、次のような効果を期待することもできます。
研修受講者
アセスメントによって明らかになった強みを認識し、モチベーションを持って研修に望むことができます。
研修事務局
研修前後にアセスメントを実施することで、効果を測定することができます。また、定点観測的にアセスメントを実施すれば、長期的な育成状況のモニタリングにもなるでしょう。
JMAが提供するアセスメントの例とその特徴
JMAでもさまざまなアセスメントメニューをご用意しています。求める人材像などをヒアリングした上で質問項目などを決定するオーダーメイドタイプのアセスメントでは、よりニーズに即した評価を行うことができます。下記にその一例をご紹介しましょう。
戦略思考力シリーズ
https://solution.jma.or.jp/strategicthinking/
ビジネスを取り巻く環境が激しく変化する中では、ミドルマネジメント層・リーダー層が「戦略思考」を身につけ、自律的に行動する必要があります。しかし、戦略思考力があるかどうかを見抜くのは難しいもの。本シリーズでは、戦略思考力の測定に特化したアセスメントを実施し、現在の水準を明らかにしたたうえで、研修で弱点強化を図ることができます。
<関連URL>
部門マネジメント力シリーズ
https://solution.jma.or.jp/service/research/asm-dep-mgmt/
企業変革において部門の役割を適切に果たすためには、部門マネージャーが必要な能力を発揮することが求められます。本シリーズでは、部門としての課題を発見し、解決する「部門課題解決力」と、組織と人を活かして能力を最大発揮する「組織・人活用力」の2つについてアセスメントを行い、マネージャーとしての立ち位置を確認することができます。
360度多面評価Wiper
https://solution.jma.or.jp/service/research/research1_2/
360度評価は人材アセスメントの代表的な手法の一つで、対象者の上司や同僚、部下などがさまざまな確度から評価を行うことで人材像を捉える手法です。JMAでは、企業が求める人材像をヒアリングした上で、必要と考えられる能力を抽出してディメンションや質問項目をカスタマイズできます。また、本人、上位者、同位者、下位者がその項目に回答して評価を行うことで、自己評価/他者評価のギャップにも着目。対象者自身が自分の行動について客観的に理解し、改善につなげることができます。
アセスメントセンター
https://solution.jma.or.jp/asm-2/
アセスメントセンター方式とは、特定のシチュエーションを模擬設定して演習を行い、対象者の将来の職務遂行能力を予測するものです。企業ごとに求める人材像から抽出したディメンションを設定し、訓練されたアセッサーが評価を行うことで、管理職の選抜や育成に役立てることができます。
<参考URL>
ワークモチベーション
https://solution.jma.or.jp/workmotivation/
「ワークモチベーション調査」とは組織診断の一種で、心理学に基づくモデルとプロセス分析により、内発的モチベーションと外発的モチベーションのバランスがどのような状態にあるかを測定できるツールです。組織のモチベーションの状態とその要因分析から、真の組織課題は何かを導き出し、その解決へつながる施策やとるべき対応の方向性を知ることができます。
まとめ
組織や人材の強み、弱みを「知る」ということは、本来は育成の第一歩であるはずです。アセスメントにはさまざまな種類があり、測定したいポイントに応じても使い分けが可能です。現在行われている一律の人材育成を見直したいという場合や、より効果的な人材育成を考えたいという場合には、ぜひアセスメントの活用も含めたご相談をいただければと思います。