今の時代に求められるリーダーを育てるためには 講師インタビュー(2)
研修の最前線で活躍する講師へのインタビューを通じて、人材育成について考えるシリーズ。
企業を取り巻く環境が劇的に変化している今、リーダーに求められる資質も変化しています。どのような資質が求められ、企業はどのようにサポートをしていくべきなのか。HCD(Human Capital Development)のマツイ エリザベス氏と川島民子氏にお話を伺いました。
前回の内容はこちらです。
マツイ エリザベス氏登壇 「学びを加速させる体験学習」説明会 申込受付中です!
詳しくはこちら
2.企業が直面する課題
―現在の企業の課題は、どこにあると思いますか?
<エリ>
「今までどおりの売上を維持拡大していくためには、どのようにすればよいか」ということでしょうね。今までどおりのことをしていても、以前のような売上には繋がっていかない。何を変えれば会社が成長しつづけることができるのか。その点にあるのではないかと、私は感じます。もう今までどおりのやり方では、同じような結果が見込めないことがわかっているのですが、では何をすれば良いか、どのように変えれば良いのか。そこが大きな課題になっているのではないでしょうか。
消費者の変化もあります。今まで何百年も続いた企業が続かなくなったりして、何を信頼すればよいのか、消費者も不安に思うようになった。そうすると、企業側にも品質を上げるように努力しますが、逆にコストは上がっていく。この葛藤が大きいのではないでしょうか。
<川島>
今までどおりのやり方を変えなければいけないということはわかっているのだけれども、「変えたらどうなるの?」という保証がない、そんな不安感がありますね。冒険をして、何か新しいことをしなければならない。もし失敗したら会社がなくなってしまうかもしれない。それは企業そのものにだけではなく、個人個人の中にもあるのではないかと思います。大きな変化をさせようとすると、抵抗が生じます。一気に変化していこうとすると、誰かが変化を阻もうとします。
―昔に比べて、そういう傾向が強くなったということでしょうか?
<エリ>
私の個人的な感想なのかもしれませんが、今の方が「守り」に入っている気がしますね。日本という国は、戦争に負けて、約60年前にゼロから立ち上げてきた経験を持っているわけですから、新しいものに取り組んで、それが成功しなかったとしても、もう一度立ち上がっていくことができると思います。ですが、人間というのは「結果」を一度手に入れると、それを手放したくないから、維持するようになったり、守りに入ったりする。それが人間の習性です。もしかしたら、日本の社会は、自分たちを解放していくための新たなスタートを切る時なのかもしれませんね。
―「守り」から抜け出せない理由は?
<エリ>
やっぱり「出る杭は打たれる」から、組織がそういう文化になっているから、ということではないでしょうか。本当の意味で、変化に立ち向かっていくリーダーが出てこない。戦後の日本の歴史を振りかえってみると、いろんなところにそういう挑戦的な人達がいたわけじゃないですか。ユニークで、ちょっと扱いにくいけれど、結果は出すという。そういう方達のおかげで企業は成長したのだけれど、最近はあまり見ないですよね。そういうリーダーになるべき人達を増やしていく必要があると思いますね。
<川島>
既存の枠にはまらない、そういう人達が成長しているときは、大きな変化が起こると思うんですけれども。そういう意欲を持った人が伸びる場所がないんじゃないでしょうか。全くいないというわけではないかもしれませんが、少なくなってしまった。いたとしても、海外に行ってしまっているのかもしれません。
~つづく2/5~
第3回 「変革」には「認識」から
第5回 リーダーに求められる「人間力」