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Z世代の効果的な育成法

公開日:2024/04/23 更新日:2024/04/23

最近の新卒社員〜若手はいわゆるZ世代にあたります。これからの企業の戦力として欠かせないZ世代ですが、「育成法が分からない」「指導しても響かない」などと育成担当者が悩みを抱えるケースもあるようです。そこでZ世代の特性を踏まえた効果的な育成法を解説します。

Z世代の特性とは?

Z世代とは一般に、1996年〜2000年代に生まれた人のことを指します。彼らを育成する前段階として、まずはZ世代についてよく言われている特性や価値観を知っておきましょう。こうしたことがすべての人に当てはまるわけではありませんが、大まかに理解することで育成のポイントをつかみやすくなるはずです。

デジタルネイティブである

生まれた時からデジタルツールが周りにあり、とくにスマートフォンやSNSの活用に慣れています。しかしワードやエクセルなどパソコンを使う作業のスキルは必ずしも高くありません。

キャリアに保守的である

経済不況の中で育っているため、安定志向なところがあります。キャリアに対してもリスクを負ってまで失敗したくないと思いが強く、保守的な一面があります。

多様性を自然に受け入れられる

多様性が社会に浸透し始めた頃に教育を受けているため、多様性を受け入れる柔軟性を持っています。人との協調性を大切にする特性もあり、個人プレーよりも、認め合い、助け合うチームとしての関係性を好みます。

 自分らしさを重視する

個性、自分らしさを重視する傾向があります。価値観の合わない仕事や人、組織とは争いを避け、距離を置きますが、それは他者を尊重する行動でもあるのです。しかしながらこうして距離を置くことがそのまま「静かな退職」につながるおそれもあるので注意が必要です。

【関連URL】「静かな退職(Quiet Quitting)」にどう向き合うか?

企業への帰属意識は高くない

キャリアプランの中に終身雇用という考えがなく、転職や独立が前提となっているため、企業に対しての帰属意識は高くありません。

スペシャリスト志向である

前項とも関係しますが、一つの組織でずっと働くという考えが希薄な分、どんな環境でも通用する人材になるために専門性を磨きたいという意向が強い傾向にあります。

丁寧な指導を求める

ネット環境が整い、何でも調べれば答えが得られる中で育って来たので、何ごとも目的や根拠を知りたいと考える傾向にあります。仕事に対しても丁寧な指導を求め、納得感がないと動かないところがあります。

承認欲求が強い

発信型SNSに慣れ、発信に対して「いいね」をもらう経験をしている人も多くいます。コミュニティ内でのつながりを感じられる「承認」や「共感」を、それまでの世代以上に求める傾向があると言われます。

コスパ・タイパを求める

溢れる情報の中で、お金(コスト)や時間(タイム)に対するパフォーマンス、つまり「コスパ」や「タイパ」を重視します。仕事に対しても「いかに無駄を省いて効果を出すか」かが大きなテーマになります。

育成にあたって意識するべきこと

Z世代を育成するには、前項のようなZ世代の特性を理解した上で臨む必要があります。研修や研修前後などで意識すべきポイントを押さえましょう。

研修の狙いをしっかり伝える

何ごとにも丁寧な説明を求めるZ世代には、研修を行う際にも、事前にしっかり目的を伝えることがポイントになります。研修の狙いや背景を伝えることで、研修への納得感が増し、真剣に参加してくれるでしょう。

期待を伝える

周りからの期待とそれに応える重要性を伝えることも大事です。Z世代が、自らがやりたい業務だけでなく周りから期待される業務にも応えられるようになると、大きな成長が期待できます。

自らの「ありたい姿」を設定させる

多様性を尊重するのと裏腹に、主体性については乏しいとも言われるZ世代。主体性を引き出すためには、今後の目標をもとに本人の「ありたい姿」を設定させ、内発的動機を促すことが大切です。教え込むのではなく自ら考えさせることで主体的に行動できるようになるでしょう。

研修後の評価の場を設ける

Z世代の「自分がどのように評価されているかを気にする性質」に対しては、自らの成長が実感できるよう、研修後に評価の場を設けることが有効です。研修で立てた目標の振り返りやフィードバックによって承認される機会が増えれば、組織に対する安心感も高まるはずです。 

個別に育成計画を立てる

多様性を大事にするZ世代は自分の個人的な価値観も大切にしています。ここまで大きな傾向を紹介してきましたが、それも「Z世代」とひとまとめにするのではなく、一人ひとり個別に計画を立て、個性を伸ばす育成がおすすめです。

Z世代に向けて取り入れたい研修手法

具体的な研修手法についても、よりZ世代にマッチしたものとすることで、能動的な行動を引き出すことができます。

必要な内容を選んで受けられるアラカルト方式

受講者自身が必要な内容を選んで受けるアラカルト方式の研修は、個性に合わせた育成法の一つと言えます。学びたい内容を選ぶことで、本人がピンポイントで「必要」と感じるスキルを強化することができます。

 動画コンテンツ

Z世代は動画を見ながら育ってきた世代のため、学びとしても動画コンテンツを好みます。1本が3分くらいの短めの動画で研修コンテンツを作成するとよいでしょう。

社内SNS等を活用したソーシャルラーニング

ソーシャルラーニングとは、学ぶ人同士で知識を共有したり、教え合ったりする学び方のことです。Z世代は普段からSNSで情報収集や交流をしているため、研修中、研修後も参加者同士が交流、報告し合えるよう、社内SNSなどを活用し、ソーシャルラーニングを促すのもよいでしょう。

 OJT

情報収集には長けているZ世代ですが、逆に情報だけで理解できた気持ちになってしまうおそれもあります。OJTによって業務内での体験から学ぶ機会を設け、情報だけでは理解できない部分を補うことも重要といえるでしょう。

 

繰り返しになりますが、個を重視するZ世代は「Z世代だから」と決めつけられることを嫌います。ここまで紹介したようなことをあくまで「傾向」として踏まえたうえで、一人ひとりにマッチした育成法を検討するのが理想的といえそうです。