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公開日 : 更新日 : セクハラはどこから始まる?“気を付けているのに、なくならない”を解消する実践ガイド

「絶対に起こしてはいけない」と認識されているはずなのに、完全にはなくならないのがセクシュアルハラスメント(セクハラ)。本記事では、セクハラが「なぜ起き続けてしまうのか」を整理したうえで、職場で起こりやすいセクハラの種類や判断のための考え方、そして、行動変容につなげるために研修が果たす役割について考えていきます。

なぜセクハラはなくならないのか?

セクシュアルハラスメント(以下、セクハラ)について、「絶対に起こしてはいけない」「気を付けるべきことだ」という認識は、今や多くの企業に浸透しています。法制度の整備や啓発活動も進み、知識としては十分に行き渡っていると言えるでしょう。

しかしその一方で、次のような声もよく耳にします。

  • 「気を付けているつもりなのに、なくならない」
  • 「禁止事項の共有や啓発研修はしているが、現場の行動が変わらない」
  • 「相談窓口は整えているのに、実際には相談が来ない」
  • 「“セクハラを防げ”と言われても、どうすればよいのか分からない」

知識や法的な理解は広く浸透しているのにこのような声がなくならないという現状は、問題の本質が「知らないこと」ではなく「行動が変わらないこと」に移りつつあることを示しています。

つまり、現在のセクハラ防止の課題は「知識の不足」ではなく「行動のアップデートの不足」にあると考えるべきでしょう。

セクハラに関する行動が変わらない理由

では、なぜ「よくない」と分かっているのに行動が変わらないのでしょうか。

その背景には、セクハラ特有の 「気づきにくさ」と「話題にしづらさ」 があり、それが行動を見直す機会そのものを失わせている という構造があると考えられます。

セクハラが問題となるときには、多くの場合、次のようなことが起こっています。

  • 「冗談」「親しみ」「場の空気」として処理され、その場で違和感が言語化されにくい
  • 加害の意図がなくても問題が生じるため、行為そのものが「間違いだった」と認識されにくい
  • プライベートの領域と近いテーマであることから、周囲も指摘や介入をためらいがちになる

こうしたことの結果として、当事者も周囲も声を上げることができず、問題が表に出ないまま蓄積していきがちなのがセクハラです。つまりセクハラの問題は、行動を振り返るきっかけとなる指摘や対話、それによる修正が起きにくい特徴を、もともと持っていると言えるでしょう。

このような状態のままでは、いくら気を付けているつもりでも、どの行動が、どの点で問題だったのかを具体的に理解することができません。結果として、行動がアップデートされないまま同じことが繰り返されてしまいがちなのです。

セクハラの種類と、職場で起きやすい具体的なケース

厚生労働省では、セクハラについて「職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により、労働条件について不利益を受けること、または性的な言動により就業環境が害されること」と定義しています。

この定義を受けて、セクハラは大きく「対価型セクハラ」 と 「環境型セクハラ」 の2つに分類されています

対価型セクハラ

性的な言動への対応を条件として、労働条件上の利益・不利益を与える行為を指します。

具体例)

  • 昇進・昇格・評価と引き換えに、性的関係や個人的な要求を示唆する
  • 性的な言動を拒否したことを理由に、配置転換・降格・不利益な評価を行う
  • 業務上の便宜を与えることをほのめかし、個人的な関係を求める

このタイプのセクハラは、上司と部下など、明確に立場の強い、弱いが存在する関係で起こりやすく、被害者側は「立場上、拒否できない」「不利益を恐れて声を上げられない」という状況に置かれやすい点が問題です。一方で、行為が明確に不利益と結びつくため、問題として認識されやすいとも言えます。

環境型セクハラ

性的な言動によって、働く人の就業環境が不快なものとなり、能力の発揮に重大な支障が生じる行為を指します。

具体例)

  • 容姿や身体的特徴についての発言やからかい
  • 性的な冗談、下ネタ、恋愛・私生活に踏み込んだ発言
  • 必要のない身体的接触
  • 性的な噂話、画像や動画の共有
  • 特定の人を性的な対象として扱う言動が繰り返される

環境型セクハラの特徴は、一つひとつの言動が軽く見えやすく、「冗談」「雑談」「場の空気」として処理されがちな点にあります。しかし、こうした言動が繰り返されることで、被害者は安心して働くことができなくなり、結果として業務への集中力低下や、職場全体の信頼関係の悪化につながります。

2種類のセクハラのうち、とくに注意が必要なのが環境型セクハラです。

環境型セクハラは、以下のような理由から、グレーゾーンのまま問題が蓄積しがちです。

  • 加害者に明確な悪意がない場合が多い
  • 受け取り方に個人差がある
  • 周囲も「指摘しにくい」「波風を立てたくない」と感じやすい

しかし、厚生労働省の考え方では、「本人がどういう意図で言ったか」ではなく、「その言動によって労働者の就業環境が害されているかどうか」が判断の基準とされています。
つまり、「悪気はなかった」「冗談のつもりだった」という理由だけでは、セクハラではないとは言えません。一方で、重要なのは、「受け手がどう感じたか」という点そのものではなく、「安心して働ける就業環境が損なわれているかどうか」である点も理解しておく必要があります。

セクハラ防止に研修が有効な理由

ここまで見てきたように、セクハラ、とくに環境型セクハラの問題は、「気を付ける」「意識を高める」といった個人の努力だけでは防ぎきれない性質を持っています。こうした課題の解決に組織として取り組むには、やはり研修が有効です。そのメリットとしては、次のようなことが挙げられます。

日常の中では受けにくい指摘が受けられる

日常のやり取りではどこが悪かったのか気づきにくいことも、研修であれば明確に指摘を受けることができ、各自が行動を振り返ったり修正したりするきっかけになります。

組織として判断の軸を揃えることができる

セクハラの判断基準は、行為者の意図や、受けた側の主観的な受け止め方ではなく、「その言動によって就業環境が害されているかどうか」にあります。この点を自己判断するのは難しく、また人によって解釈のばらつきも生じやすいものです。研修であれば、組織として揃った判断軸を設けて学ぶことができます。

判断に迷うケースを整理できる

セクハラ研修の役割は、定義や禁止事項を一方的に伝えることではありません。判断に迷いやすい具体的なケースをもとに、「どの行動が、なぜ就業環境を害するのか」「別の行動を選ぶとしたら、どのような選択肢があるのか」といった点を整理して理解できるところにあります。さらに上述の通り、これを「組織としての判断の軸」を用いて行えるのは研修ならではです。

職場の行動や関係性を見直す契機になる

研修の意義は、「セクハラを起こさない」ことに限られません。就業環境への影響という視点で行動を見直すことは、日常のコミュニケーションや関係性のあり方そのものを問い直すことにつながります。このことは、セクハラに限らず、さまざまなハラスメントが起きにくい行動や関係性を、職場全体で育てていくことにもつながります。

おわりに

セクハラ防止には、個人任せの注意喚起ではなく、組織として判断の軸をそろえ、行動を更新していく取り組みが不可欠です。そのための有効な手段の一つが研修です。
行動変容を目的とした研修は、判断に迷うケースを整理し、自分の判断基準や行動のクセに気づくきっかけを与えてくれます。さらに、セクハラを「起こさない」ことにとどまらず、ハラスメントが起きにくい行動や関係性を、職場全体で育てていく土台にもなります。

  • 「自社の場合、どこに課題があるのか」
  • 「どの層に、どのような研修が必要なのか」

といった疑問を持たれたら、ぜひお気軽にJMAにご相談ください。
まずは現場の実態を整理し、それに合わせた学びを設計することが、“気を付けているのに、なくならない”状態から一歩抜け出すきっかけになるはずです。

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