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DX時代に求められる経営者・経営幹部の人物像と育成のポイント
変化の激しいビジネス環境の中で企業を継続させるためには、企業の仕組み自体を変革するDX推進が急務となっています。成功の鍵を握るのは「経営者・経営幹部がDXに主体的に取り組む姿勢」です。DX時代に必要な経営者・経営幹部の人物像について改めて考えてみましょう。
そもそもDX=ビジネスモデルの進化である
DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略称です。DXとは、たんに「デジタル技術を導入する」というのではなく、デジタル技術によって企業の組織や仕組みを変革し、競争優位性を確立することを意味します。
しかしながら、経営陣の認識が「DX=企業の活動をデジタル化すること」とDX自体をゴールと捉えているケースもあり、DX推進を掲げても結局は「企業の変革」に繋がらないことが問題視されています。
DX前進のためには、「DXによってどのようなことを成し遂げたいか」という経営戦略やビジョンが明確になっていることが前提となり、経営陣が「DX推進」に対してコミットメントする姿勢が必要といえるでしょう。
DXはビジネスモデルの話だ!急がれる変革、その進め方
https://solution.jma.or.jp/column/c220314/
DXを前進させる方法を、組織や人材の視点から考える
https://solution.jma.or.jp/column/c220519/
DXのために経営者・経営幹部が行うべきこと
DXを推進していくには、プロジェクトを統括して進める存在が必要です。デジタル技術に精通した人材だけでは不十分で、DXの推進に必要なスキルや適性を備えたトランスフォーメーション人材が必要ということです。
強い意志を持ってDXを推進するトランスフォーメーション人材になるために、必要なアプローチは以下です。
課題の設定
ゴールを設定するには、企業の課題を発見する必要があります。課題とは「企業の目指す姿」と現実のギャップです。言うまでもないことですが、ビジネスモデルの革新ありきになってしまい、「企業の目指す姿」とかけ離れてしまうようでは意味がありません。まずは解決すべき課題を見極めることが必要です。
変革の対象を決める
経営陣だけで取り組むべき課題を決めるのではなく、現場の声も聞きながら変革の対象を決めていきます。全社が同じゴールに向かって進むことが大切です。
変革の構想を描く
達成すべき変革の対象が見つかったら、「企業の目指す姿」を実現するためのゴール設定をします。「誰に」「どのような価値を提供する企業を目指すのか」を具体化し、ビジネスモデルの変革への構想を描きます。
戦略の策定
DXを実現することによって課題を解決するための手段を探していきます。「企業の目指す姿」の実現に向けたソリューションを策定します。
実行計画の作成
成果の出そうなソリューションが見つかったら「企業の目指す姿」の実現に向けて、具体的な実行計画を立てていきます。そして「誰が、何を、いつ実行するのか」などを決めていきます。短期的な計画だけでなく長期的な計画も必要です。
関係者を巻き込み、協働する
DXを実現させるには、経営陣や推進担当者だけでなく全社での協働が必要です。そのため、現場の意見を取り入れ、関係者を巻き込みながらDX推進に向けた組織体制を整えていきます。
ビジネスを取り巻く環境は常に変化しています。上記のように進め方を定めたとしても、ときには柔軟に変化に順応させることも大切です。
トランスフォーメーション人材になるために経営者・経営幹部が身につけておくべきこと
DXに成功している企業では、その多くで経営層がDXに関する明確なビジョンを持ち、ビジョンが具体化できているということが明らかになりつつあります。
DX推進は全社的に取り組んでいく姿勢が大切です。経営者・経営幹部が道しるべとなるビジョンを具体化することで、全社一丸となって「DX推進」という同じ方向に進むことが可能であるといえるでしょう。そこで、経営者・経営幹部が身につけておくべきこととして、熱量を持って自分の言葉で明確な「ビジョン」を語れるかといった点がポイントとなります。重要なのはDXに対するコミットメントです。
変化の激しいビジネス環境下で組織が変わり続けるためには、経営者・経営幹部が自らを変化させて明確な価値観を示すことが重要です。当然ながらDX推進は必ずしも円滑に進むわけではありません。失敗やトラブルが発生しても挑戦し続けることが大事です。
「企業の目指す姿」実現に向けてビジネスモデルを革新するために、経営陣自ら自己研鑽して変化する姿勢こそ、リーダーとしてのあるべき姿だと言えるでしょう。
経営者・経営幹部自らがトランスフォーメーション人材になるには、「自らの意志でDXを成し遂げる」という意志をもつためのマインドセットが必要です。まずは「DXの本質」を理解すること「経営者・経営幹部がDXに主体的に取り組む必要性」を認識し、「真のDX戦略」を学ぶことが重要といえるでしょう。より実践的な能力を育てるには研修活用も効果的です。
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