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公開日 : 更新日 : 組織の変革を促すトランスフォーメーショナル・リーダーシップとは?
リーダーシップにはさまざまな種類があります。ビジネス環境の変化によっても理想のリーダー像も変わっていくものです。今回は、組織の変革を促すとして注目を集めている「トランスフォーメーショナル・リーダーシップ」について解説していきます。

トランスフォーメーショナル・リーダーシップとは何か
トランスフォーメーショナル・リーダーシップは、変革型リーダーシップとも呼ばれます。明確なビジョンを掲げて組織や仕事の魅力をチームに伝え、リーダー自身がカリスマ性を発揮することで。チームの信頼と尊厳を得ながらモチベーションを高めるスタイルのリーダーシップです。中央集権化せず、チームメンバーに自主性と権限を与え、啓蒙することでチームを率いるのが特徴です。
もとはアメリカの政治学者であるジェームズ・マグレガー・バーンズ氏が1978年に発刊した『Leadership』という書籍で示された、「リーダーとフォロワーがお互いに助け合い、士気とやる気を高めていく」というコンセプトに基づいているとされています。その後、アメリカの心理学者、バーナード・バス氏が分析を加えたことで注目されるようになりました。
ビジネス環境が変化する中、過去に成功してきたビジネス手法やノウハウに固執していては、経営が窮地に立ったり、将来的な成長が見込めなくなったりする可能性が高くなっています。このような状況において企業が求めるのは、「既成概念にとらわれない」考え方を持った組織に変革を促すリーダーの存在です。トランスフォーメーショナル・リーダーシップはまさにこうしたタイプのリーダーシップといえます。
トランスフォーメーショナル・リーダーシップを構成する3つの資質
トランスフォーメーション・リーダーシップは次の3つの資質から構成されるとされています。
カリスマ
企業・組織のビジョン・ミッションを明確にメンバーに伝え、メンバーの組織に対するロイヤリティーを高めます。ビジョンのもとで働く動機づけや忠誠心を植え付けます。
知的刺激
メンバーの考え方を認め、メンバーのやる気を刺激します。新しい視点で考えることを推奨し、メンバーに物事の意味や問題解決策を考えさせることで知的好奇心を刺激します。
個人重視
メンバー一人ひとりと個別に向き合い、その成長を重視します。コーチングや教育などを通じて成長をサポートします。
トランスフォーメーショナル・リーダーシップのメリット・デメリット
変革に強いトランスフォーメーショナル・リーダーシップですが、デメリットといえる側面もあります。そのメリットとデメリットを整理しておきましょう。
メリット
チームが共通の目的に向かって団結する
明確に掲げられたビジョン・ミッションがあることで、チームに共通の目標ができ、メンバーが同じ目標に向けて団結することができます。チームが同じ方向を向いていることとでコミュニケーションがスムーズになり、生産性が高まり、業績のアップや企業の成長につながります。
組織の古い体質を変えるきっかけとなる
メンバーが新しい視点を取り込むことを重視するため、古いやり方や体質を変えていくことに向き、厳しい状況にある企業経営を救う原動力になり得ます。
メンバーが独自のスキルを有効活用できる
リーダーが個人を重視し、メンバーそれぞれに学習のサポートを行うことで、メンバーは独自のスキルを有効活用できるようになります。
メンバーのモチベーションアップにつながる
リーダーがメンバーに指導や励ましや刺激を与えることで、メンバーのモチベーションアップにつながります。事業の将来性に不安を感じていたメンバーも、変革が促されることでやる気が高まります。
デメリット
メンバーがリーダーに依存してしまう可能性がある
変革を起こす強力なリーダーが現れると、リーダーの判断や方針に依存してしまい、受け身の体勢で仕事をするメンバーが出てくる場合もあります。依存度の高いメンバーが増えると、チーム全体の仕事の満足度やパフォーマンスが低くなってしまいます。
小さなタスク忘れが発生しやすい傾向にある
変革を伴った業務が増えていくと、従来の仕事におけるタスクを忘れやすくなる傾向があります。日々の業務が疎かになってしまうこともあります。
メンバーからの抵抗が予想される
変革にはリスクがつきものです。リーダーの目標が会社の目標と一致していない場合、メンバーからは「現場を理解していないリーダー」とみなされ抵抗されるリスクがあります。
トランザクショナル・リーダーシップとの関係
トランスフォーメーショナル・リーダーシップと同じバーナード・バスら氏リーダーシップ研究から生まれ、対照的な概念とされるのが、トランザクショナル・リーダーシップです。
トランザクショナル・リーダーシップは「報酬と管理」を重視し、メンバーに一定の業務・権限を与えながら適切な報酬を与えることで信頼関係を築くタイプのリーダーシップです。変革や挑戦よりも、現状維持に向いたリーダーシップともいえます。
■トランザクショナル(取引型)・リーダーシップとは何かが分かるコラム
危機に強い?トランザクショナル・リーダーシップとは何か>>
おわりに―リーダーシップはよい/悪いではない
この2つのリーダーシップはどちらがよいというわけではなく、補完関係にあり、組み合わせることでよりよい成果をあげられます。トランザクショナル・リーダーシップによってメンバーとの信頼・尊敬の信頼関係を築き、そしてトランスフォーメーショナル・リーダーシップによりメンバーの内発的なモチベーションを高めるというような相乗効果が期待できます。
変化の激しい時代だからこそ、リーダーシップスタイルの使い分けも必要です。チームの現状を把握したうえで、今の組織に必要なリーダーシップを取り入れていくことを検討するべきでしょう。



