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公開日 : 更新日 : キャリア研修に消極的な社員を変える!――やる気を引き出す3つのポイント
企業を取り巻く環境が激変する中、従業員一人ひとりに「キャリア自律」を求める企業が増えています。しかし、人事主導でキャリア研修を実施しても、いま一つ受講者の反応が鈍い、あるいは「やらされ感」が否めないという悩みもよく耳にします。本コラムでは、なぜ従業員はキャリア研修に冷めた目を向けるのか、その心理的背景を考えた上で、受講者の本音に寄り添い、真のやる気を引き出すための実践的な手法を提案します。

キャリア自律型人材をめぐる「企業の事情」の弱点
かつての日本企業では、終身雇用や年功序列、定期的なジョブローテーションなど「会社が用意したレール」に乗ることがキャリア形成の基本となっていました。しかし、DXの推進やAIの台頭を挙げるまでもなく、ビジネス環境が劇的に変化する現代において、企業は「これをやっておけば安泰」という明確な業務指示を出し続けることが困難になっています。
変化の激しい市場で企業が生き残るためには、従業員自らが課題を見つけ、必要なスキルを主体的に獲得していく「自律型人材」が不可欠です。しかしここに、一つのパラドックスが存在します。企業が従業員にキャリア自律を促す目的は「自社の生き残り」ですが、キャリアとは本来「個人の人生」に帰属するもの。この「組織の利益のために、個人の自律を求める」という構造が、ある種の矛盾としてキャリア研修の難しさとなっていると言えそうです。
「育成される側」の心理に潜む本音とは
人事担当者がどれほど熱意を持ってキャリア研修を企画しても、育成される側の従業員はどこか冷めている、といった状態が起こってしまう理由をもう少し詳しく考えてみると、例えば次のようなことが考えられそうです。
①「強制された自律」という矛盾への違和感
業務命令と主体性は本来相反するものです。「強制的に」研修の場に集められ、「主体的に」キャリアを描いてくださいと言われれば、多くの従業員が妙な違和感を覚えるのも無理はないかもしれません。
②「ハシゴ外し」に対する警戒感
「これまで会社の配属や異動命令に従順に応えてきたのに、時代が変わった途端に『自分のキャリアは自己責任で』と突き放されるのか」という不信感を覚える人もいるかもしれません。悪くすると、リストラ予備軍の選別や、早期退職の布石ではないかと勘ぐる層が出てくる可能性もあります。
③「夢やビジョンの強要」による徒労感
キャリア研修では「5年後、10年後のありたい姿は?」と問われがちですが、従業員の本音は「目の前の業務をこなす」ことで手一杯かもしれません。その場合、会社のために無理やり意識の高い目標をひねり出させられることは、大きな疲弊を生んでしまいます。
従業員の「本当のやる気」を引き出す3つのポイント
こうした構造的なパラドックスと従業員の反発を乗り越え、研修を機能させるためには、事前の働きかけを工夫する必要があります。いくつかのアイデアを挙げてみましょう。
①「きれいごと」を捨て、会社と個人の関係を明確にする
「会社はかつてのように終身でのキャリアを約束・用意できない」という現実を、無理に「やりがい」や「夢」で包み隠すことは従業員の反発を買いかねません。むしろ、「キャリア自律は、お互いが生き残るために会社と個人の関係を見直し、よきパートナーとなるために有効である」と正直に定義づけるほうが、納得感につながります。いわば「大人の関係」の提示が、従業員の当事者意識への第一歩となるのです。
②「やりたいこと(Will)」より「できること(Can)」を中心に据える
「夢を持て」という自己啓発的なアプローチは、ときに足元の業務を軽視する「青い鳥症候群」を誘発します。それよりも、「今のあなたに何ができるか」「そのスキルは社外でも通用するのか」というポータブルスキルの棚卸しと現在地の確認に力を入れてみてはどうでしょうか。こうしたワークは、「会社のため」ではなく明確に「個人の戦略」に直結するため、従業員も真剣に向き合いやすくなります。
③「会社を利用する」視点を強調する
「この会社にどう貢献するか」ではなく、「自分の市場価値を高めるために、今の会社の看板、予算、制度、現在の業務をどう使うか」という視点を強調するのも有効です。「会社に何かをしてもらう」のではなく、「今の環境を利用して自分を成長させる」という側面を意識してもらうことができれば、結果的に日々の業務への意識の高まりや新しい挑戦が生まれます。そのことが、まさに企業の利益にもつながっていくというわけです。
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外部機関や講師など、「社外の人」を活用するメリット
とはいえこのような、「きれいごとを捨てたドライなメッセージ」や「会社を利用せよという視点」を、社内の人事担当者や経営陣が直接伝えると、角が立ったり、「冷たい会社だ」という印象を与えてしまったりするリスクもあります。
こうしたときに有効なのが、外部の研修機関や専門家の活用です。利害関係のない第三者が、社会全体や労働市場のマクロな視点から「厳しい現実」を客観的に語ることは、従業員の警戒心を大きく下げてくれます。「ナナメの関係」にある外部講師が触媒となることで、従業員は社内のしがらみや評価を気にせず、純粋な自己理解に向き合う心理的安全性を得ることもできるでしょう。
キャリア研修は、単なるスキルの棚卸しや夢語りの場ではありません。個人と組織の新しい結びつきを再構築する重要な対話の機会です。従業員が乗り気でない可能性についても真っ向から受け止め、大人の関係性を提示することで、真のキャリア自律の歩みが始まるはずです。
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