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効果的なブレインストーミングとは?

公開日:2022/02/04 更新日:2023/09/14

会議や企画などでアイデア出しの手法として活用されているブレインストーミングですが、「導入してみたけど効果がなかった」「ブレインスト―ミング自体が目的になっている」といとった声を耳にしたことはありませんか?ブレインストーミングは正しい進め方をしないと本来の効果が得られません。そこで、ブレインストーミングの効果を高めるやり方、進め方を紹介します。

ブレインストーミング

ブレインストーミング(ブレスト)とは

「ブレインストーミング」(以下、ブレスト)とは1950年ごろにアメリカで考案された、複数人で行うアイデア発想法です。一人ひとりが自由にアイデアを提供して参加者同士で刺激できるため「集団発想法」とも呼ばれています。 

とはいえブレストとは、みんなで集まって無秩序にただ意見を出し合うことではありません。効果を高めるためには具体的なルールのもとで行う必要があります。具体的には、新しいアイデアや解決策を生み出すことを目的に、判断や批判をすることなく、一つひとつのアイデアに注意を払い、探求し評価、展開を行います。企画、アイデア出しのために使われることで有名ですが、研修の中でもよく使われるメソッドです。

ブレストは「デザイン思考」のプロセスのひとつでもある

ブレストを活用している企業として筆頭に挙げられるアメリカのデザインコンサルタント会社IDEOは、「デザイン思考」を提唱した企業としても有名です。「デザイン思考」とは、「すべての人に開かれたデザイン手法」のことで、「ユーザーも気づかない本質的なニーズを見つけ、変革させるイノベーション思考」として、デザインの専門を越えて、ビジネスや教育で実践されています。 

こうした「デザイン思考」プロセスのひとつがブレストです。IDEOの共同代表トム・ケリーの著書「発想する社会 世界最高のデザインファームIDEOに学ぶイノベーションの技法」も、IDEOのブレインストーミングの秘訣に触れています。

■イノベーションを実現する「デザイン思考研修③」
https://solution.jma.or.jp/column/designthinking03/

ブレストの一般的な進め方

ブレストにはたくさんのメリットがありますが、進め方を間違えてしまうと「ただの会議」になってしまうことがあります。そうならないために、正しい進め方を確認しておきましょう。

1.テーマや問題を定義する

ブレストを開催する際、何のための議論なのか、ブレストを通じてどんなアイデアがほしいのかなど、最終的な着地点を明確にしておくことが重要です。

2.参加者を決める

多角的なアイデアを集めるためには、できるだけ立場や性格の異なるメンバーが揃うのが望ましいです。発言しやすいよう、人数は410人くらいがよいと言われています。ブレストのテーマにあわせて必要なスキルをもつメンバーを集めたり、毎回違うメンバーに声をかけるなど、多様性のあるメンバーを集めるのもポイントです。

3.時間を決める

ブレストの効果を十分に発揮するためには、決められた時間内で終わらせることが重要です。参加者からできるだけ多くのアイデアを出してもらうために、制限時間を設定して、集中してアイデアを出してもらいます。

4.アイデアを書き出す

対面で行うブレストでは、ホワイトボードや模造紙の真ん中にテーマを書いておきます。思いついたことは付箋に書き出していくのが一般的です。

5.分類する

似たアイデアごとに分類していきます。この際、アイデアを付箋に書いておくとホワイトボードなどに貼りやすく整理しやすいです。

守るべき4つのルール

ブレストを行うにあたり、守るべき4つのルールがあります。

アイデアを批判しない(自由奔放)

ブレストの目的は多様なアイデアを集めることです。完成度の低いアイデアであってもまずは発言をすることが重要とされています。新しいアイデアが生まれる可能性もあるからです。批判されると思考に制限がかかってしまい、アイデアを発言しにくくなったり、アイデアが生まれにくくなってしまうため、批判をしないことが重要です。

量を意識する(質より量)

アイデアを組み合わせるにはたくさんのアイデアが必要です。「さらにいいアイデアがあるかも」と悩んでいると時間だけが過ぎてしまいます。質より量を意識して、多くのアイデアを出しましょう。事前に目標アイデア数を決めておくのも有効です。

判断、決断しない(結論厳禁)

最終的にアイデアを判断・決断する必要はありますが、思い切ったアイデアを出せるようにブレスト中には判断・決断してはいけません。ブレスト後に行うようにしましょう。

アイデアを組み合わせる(結合改善)

一つのアイデアを重視するのではなく、アイデアの組み合わせが重要です。ある程度のアイデアが出てきたら、組み合わせを考えて質をあげていきましょう。

よく使われるツール

ブレストでよく使われるツールを紹介します。

貼ってはがせる付箋

付箋はブレストの定番ツールです。付箋にアイデアを書き出したら、貼ったりはがしたりと自由に動かせます。チームごとに色分けした付箋を使うと整理に便利です。また、付箋にはえんぴつやボールペンではなく、字の見えやすいマーカーがあると便利です。

タイマー

効率よく時間通りに進めるために、タイマーやアラームがあると便利です。

ホワイトボード

出てきたアイデアを分類する際に、ホワイトボードや模造紙を使います。真ん中にブレストのテーマを書き、付箋に書いたアイデアを貼っていきます。リモートワークが進んでいる昨今、オンライン上で使える付箋やホワイトボードなどもあります。

ブレストのヒントになる発想法

ブレストを進行していく中でヒントになる発想法についても紹介しておきましょう。

希望点列挙法

ブレストのテーマに対して「理想的な状態」を考えていく方法です。「もっとこうだったらいいのに」と感じる点をあげていき、理想を実現するためのアイデアを考えていく発想法です。

欠点列挙法

テーマに対して欠点や不満点をあげていく方法です。問題と感じる点に対して改善点を考えていきます。

なぜなぜ分析

トヨタ自動車が考案した品質問題の解決法です。課題に対して「なぜ」を5回繰り返して原因を探っていきます。アイデアが出ない時などに使ってみましょう。

マインドマップ

思考や情報を整理する方法です。ホワイトボードや模造紙にマインドマップを作成します。テーマを中心に書き、放物線状にアイデアを記入していきます。アイデアが一通り出た後、アイデアを結合改善させる際に活用すると効果的です。

KJ法

アイデアからヒントを見つけてアウトプットまで行う方法です。まず付箋にアイデアを一つずつ書き、似たアイデアごとにグループ化します。各グループの位置関係を並び替えて、相互関係を図解します。最後に図解化した関係を言語化してまとめていきます。マインドマップよりも時間と手間がかかるため、マインドマップでうまくいかない場合などに取り入れるといいでしょう。

効果的なブレストにはよいファシリテーターが不可欠

ブレストを成功させる鍵はファシリテーターにあるとも言われています。ファシリテーターとは、効率かつスムーズな会議を実現するために進行役になる人です。ファシリテーターはメンバーに話題を振り、時間通りに進行していきます。 

ファシリテーターがいないと、アイデアが出なかったり、アイデアは出るものの目的がブレてしまったり、話が脱線してしまったり、やりっぱなしで中途半端に終わってしまったりとゴールにたどり着けないことが多々起こります。単に場を仕切るのではなく、メンバーが盛り上がって、しっかりと結論が出るまで持っていくのがよいファシリテーターと言えるでしょう。 

ファシリテーターに必要な4つのスキルを紹介します。

理解力

メンバーからのさまざまなアイデアや発言を瞬時に理解して、整理するスキルが必要です。

適切な意思決定

論点を把握し、整理した上で、適切に意思決定できる力が必要です。場合によっては軌道修正も行わなければなりません。

質問力

メンバーから出たアイデアに不明点や疑問点があった場合、ファシリテーターにはその場でそれらを解消するための質問力が求められます。他のメンバーの理解度も高まります。

傾聴力

ファシリテーター自身がしっかりと発言に耳を傾けることによって、発言しやすい雰囲気が生まれます。発言を受けて要約し理解を示すことも重要です。

まとめ

ブレストはうまく活用すると効果的ですが、ブレスト導入自体が目的化してしまいうまくいかないこともよくあります。重要なのは「問題解決」や「プロジェクト成功」など、本来のブレスト導入の目的からブレないように気をつけること。進め方のポイントやルールなどの基本を抑えて効果的なブレストができるように実践していきましょう。

●関連情報

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