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「フレキシブルワーク」の実践のために何をするべきか

公開日:2023/08/01 更新日:2023/08/03

「少子高齢化における労働人口の減少」や「生産性の向上」など、企業が直面するさまざまな課題の解決策としてフレキシブルワークが注目されています。どのようなことが「フレキシブルワーク」に含まれるのか、リモートワークやフレックスタイムだけでない具体例や導入のしかたなどについて解説します。

フレキシブルワークの概要

「フレキシブル(flexible)」には「柔軟のあるさま」「しなやかさ」「融通がきく」という意味があります。つまりフレキシブルワークとは「働く場所、働く時間に対して、柔軟に融通をきかせられる働き方」全般を指す概念で、導入する企業も増えています。 

フレキシブルワークの代表例としては、以下のような働き方があります。

リモートワーク

インターネットやコミュニケーションツールを活用して、オフィス以外の場所で勤務する働き方です。

フレックスタイム

従業員が出勤・退勤時間を選択できる働き方です。全員の出勤する必要がある「コアタイム」がある場合も、それ以外の時間なら自分で調整ができます。

パートタイム勤務

フルタイム勤務と異なり、1日や1週間の労働時間を個別に設定して働く働き方で、フレキシブルワークの一種といえます。

さらに、海外のフレキシブルワークは日本の一歩先を行っていると言われています。日本ではまだ一般的ではない海外のフレキシブルワークには以下のようなものがあります。

ジョブシェアリング

本来なら1人で行う仕事を、業務負担を軽減するために2人以上でシェアする働き方です。賃金や有給休暇、福利厚生もシェアします。

圧縮労働時間制

1日あたりの労働時間を長くして、労働日数を減らす働き方です。労働時間の合計はフルタイムに相当します。

サバティカル休暇

勤務年数が一定期間に達した従業員に与えられる長期休暇で、企業によって1か月〜1年など期間は異なります。留学や技術の習得に充てることもでき、従業員のモチベーション向上にも効果があります。

フレキシブルワークのメリットとは

フレキシブルワークを実践することで、企業側と従業員に次のようなメリットが考えられます。

企業側のメリット

人材不足の解消

フレキシブルワークを導入することで、育児や介護などフルタイムで働けない人にも働く機会が生まれ、企業の人材不足の解消につながります。

従業員の定着率アップ

従業員の働き方が柔軟になるため、従業員の会社に対する満足度が上がり定着率アップにつながります。

事業継続計画(BCP)対策

BCPとは、自然災害やパンデミックといった緊急時にも事業を継続させるための計画のことです。フレキシブルワークによって会社以外での労働環境が整えられることや勤務場所の分散ができていることは、企業の事業継続にとってのリスク軽減にもなります。

<従業員側のメリット>

ライフワークバランスの確保

働き方を柔軟に選択できることで、従業員が仕事と家庭、趣味のバランスが取りやすくなり、ライフワークバランスの実現につながります。

離職の解消

以前は介護や育児を理由に辞めたくなくても退職せざるをえない場面もありましたが、フレキシブルワークによって個人の事情に合わせながら仕事を継続できるようになりました。

フレキシブルワークを実践するために必要なこと

フレキシブルワークを実践するためには、事前の準備が必要です。フレキシブルワークしやすい労働環境の整備だけでなく、さまざまな働き方に対する評価方法など、実践前に整えておくべきことを解説します。

テクノロジーの活用

リモートワークができる環境は、デジタルツールの導入だけでは完結しません。セキュリティの強化や情報漏洩に対する対策など社内規則の変更も必要です。

柔軟な勤務時間制度の設定

働く時間や場所が変わるため、柔軟な勤務時間制度を設定した就業規則の見直しが必要です。修業時間に関しては従業員一人ひとりで異なる場合もあるため、事前に話し合いや、取り決めも必要です。

労務管理や評価方法の切り替え

フレキシブルワークには総務や人事部門の協力も必要です。勤務時間や場所の変化に対応できる労務管理や、時間ではなく、成果で評価するといった評価方法の再構築も求められます。

フレキシブルワークの実践に向けた課題と対策

人材不足などの課題解決策としてフレキシブルワークの導入は有効な手段といえるでしょう。しかし実践に向けた課題があり、日本企業で浸透しきっていないことも事実です。現在考えられている課題と、対策例には次のようなことが挙げられます。

コミュニケーション不足

従業員の働く場所が異なることで、対面でのコミュニケーションの機会が減少します。コミュニケーション不足による業務の質の低下や離職率アップも懸念されています。

対策例:コミュニケーションの機会を増やすため、社内SNSやチャットツール、フリーアドレス制度の導入などを検討しましょう。

メンタルケアの必要性

とくに在宅勤務やテレワークなど、まわりに同僚がいない環境に孤独を感じ、メンタル面が弱ってしまうことがあります。 

対策例:テレワークでもオフィスのように同僚の声が聞こえるオンライン環境を整えたり、1on1ミーティングなどで話す機会を設けたりするとよいでしょう。

評価制度への不満

従業員の働き方が異なる場合、画一的な評価基準による評価では不公平感が生まれがちです。せっかくフレキシブルワークを導入しても、各自が評価に納得できなければ、従業員の満足度は高まりません。

対策例:成果による評価納得感のある評価制度の設計が必要となります。1on1などを通じて成果を可視化するなどの方法もあるでしょう。

人事育成面での課題

例えばリモートワーク環境では、上司と部下との間に物理的な距離ができ、リアルタイムで業務状況を確認しにくい状況が起こり得ます。部下が抱えている業務の課題に対して対応が遅れてしまったり、適切なフォローができなかったりすることもあるかもしれません。

対策例:タスクを細分化してその日の業務を明確にしてチェックしたり、ヒアリングの時間を取ったりと、コミュニケーションの頻度を増やすことも大事です。

フレキシブルワークの導入は従業員の働き方の満足度を上げるだけでなく、企業としての業務の生産性を上げることが目的です。自社にフィットするフレキシブルワークを選び、環境整備や制度の変更なども含めた取り組みを実行していきましょう。