まるで人間のように対話形式で回答したり、クリエイティブな成果物を生み出したりする生成AI。中でもChatGPTの出現は「仕事の仕方を変える」とも言われ、大きな話題になっています。ChatGPTとは何か、またこうした時代に人はどのようなスキルを身につけるべきなのかを考えます。

ChatGPTとは何か？生成AIとは何か？

ChatGPTとは、テキスト生成AIサービスの一種で、まるで人間と会話しているかのようにAIとテキストで対話することができます。

生成AIはジェネレーティブAIとも呼ばれ、さまざまなコンテンツを生成できるAIのことを指します。AIにはさまざまな種類がありますが、「何かを生成できる」「生成するために学習することができる」のが生成AIの特徴です。ChatGPTはテキスト生成AIですが、画像生成AI、音声生成AIもあります。

ビジネスの場面でも、今後はさまざまな業務にChatGPTを取り入れていくことが予想されています。これに伴い、さまざまな場面で「今まで人が行ってきた仕事が不要になる」という危機感も増しています。今後は、ChatGPTのような生成AIを活用しながら、「人にしかできない仕事」にシフトしていく必要があるでしょう。

ChatGPTの強みとは？何ができるのか？

「人にしかできない仕事は何か」を考える前に、まずはChatGPTの強みや、ChatGPTでできることを確認しておきましょう。

人間と会話しているようなやり取りができる

ChatGPTは大量のデータから人間の会話を模倣する方法を学習しています。質問に対する回答の精度や文章表現の自然さなど、まるで人間と会話しているかのようなやり取りができることが強みです。

コンテンツ生成のスピードが速い

会議の音声データから議事録の作成や録音データの文字起こしなど、人間よりも早くコンテンツを生成することができます。

すばやい情報収集と整理

科学や技術、歴史的な出来事など、データベースとして持っているさまざまな情報の中から求められた情報を収集し、すばやく整理することができます。

クリエイティブである

小説や脚本の執筆などのクリエイティブな提案にも、ChatGPTを活用することができます。
ある程度ベースとなる設定をChatGPTに提示するだけで、小説のあらすじを作成してくれるなど柔軟に対応してくれます。人間がアイデア出しに息詰まった際にも活用できるでしょう。

そのほかChatGPTには以下のようなことができるとされています。

• 翻訳
• プログラミング
• レポートの雛形作成
• 表作成
• データ分析

ChatGPTが苦手な分野

ChatGPTは学習をしてコンテンツを作りだすことは得意ですが、人間と同じような思考はできません。たとえば以下のようなこと苦手だとされています。 

人間の感情を理解すること

人間には感情がありますが、ChatGPTには感情がありません。そのため人間関係の悩みやその解決法など、感情を伴うことまでは対処できません。

意思決定

ChatGPTはすでにあるデータを元に、一般的な情報や知識をユーザーに提供することはできますが、自発的な意思決定はできません。

未来の予測

ChatGPTはすでにある情報から学習をしているため、未来を予測することはできません。

 物理的作業

ChatGPTはテキストベースでのやり取りです。工場の生産ラインでの作業や車の修理など物理的な作業はできません。

リアルタイムな最新情報の処理

ChatGPTは最新の情報をピックアップできるわけではありません。そのため最新の情報については正確に回答できないこともあります。

ChatGPT時代に人が身につけるべきスキル

ここまで見てきたように、ChatGPTにもできることとできないことがあります。ChatGPTのメリットを本当に活かし、独自の成果を挙げるためには、ChatGPTが苦手な分野など、「人にしかできない」スキルを強化していく必要があるでしょう。例えば、以下のようなスキルが挙げられます。

ソーシャルスキル

ソーシャルスキルとは、「感情を伴った人間関係に関する知識や技術」のことです。「感情」はChatGPTの苦手な分野であるため、今後も人が強化するべきスキルといえます。相手を気遣う、話を聞くなどのコミュニケーションスキルや、相手に自分のことを理解してもらう前提としての自己認識スキル、対人関係でのトラブルに対し感情的にならずに解決する問題解決スキルなどが挙げられます。

意思決定力

ChatGPTは過去のデータを元に最適な答えを提供することができますが、意思決定はできません。そのため最終的な意思決定は、人間が行う必要があります。意思決定のためには、論理的思考だけではなく感情も取り入れた発想力を高める必要があります。

 推進力

決めたことを実際に進めていくには、関係者の合意を得るリーダーシップやチームを同じ方向にまとめるチームワーク力、その他解決策を生み出すためには

 リベラルアーツ

リベラルアーツとは「一般教養」や「ビジネスと一見かけ離れた幅広い知識」といった意味で使われることもあります。身につけることで問題・課題の本質を見極めるためのブレない判断軸や、人間的魅了が備わっていくことが期待されています。こうした「人間力」は、ChatGPTでは補えないものです。

今後、ChatGPTのような生成AIは企業にもますます浸透していくことが予想されます。しかしながら、実際に行動し実行するのは人間です。正解のない時代だからこそ必要とされる、「意思決定力」や「ソーシャルスキル」などは、今後も人にしかできないこととして能力を高めるべく意識していく必要があるでしょう。