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ミドル・シニアのモチベーションアップに効く「セルフコーチング」

公開日:2023/09/07 更新日:2023/09/07

ビジネス環境の変化や経済の不確実性が高まる現代社会において、一人ひとりの従業員も生涯にわたっての自己成長が期待されています。ミドル・シニア社員になってもモチベーションアップが求められる中、役に立つのがセルフコーチングのスキルです。

セルフコーチングとは何か?

「コーチング」とは、対象者にコーチ(他者)が問いかけを行うことで対象者の内面にある答えを引き出す手法です。「セルフコーチング」はこれを、自分自身を対象に行います。

コーチングとセルフコーチングの違いは、誰がコーチングを行うかという点にあります。コーチングでは他者が、セルフコーチングでは自分自身がコーチングを行います。自分自身がコーチであり対象者となって自問自答を繰り返す手法のため、習得すればいつでも、自分が行いたいときにコーチングを行い、成長することが期待できます。

セルフコーチングで得られること

セルフコーチングでは次のような効果が得られます。

ありたい姿や未来像が設定できる

自己分析によって自分の価値観や強み・弱みを理解することで、自分のありたい姿や未来像、これからのキャリアなどを明確に設定できます。

目標達成を早められる

セルフコーチングによって具体的にアクションプランを立てれば、目標達成に向けて取るべき行動が明確になります。さらに自分自身へのフィードバックを与えることで目標達成を早めることもできるでしょう。

客観性が身につく

自問自答することで自分自身の行動や思考を客観的に見られるようになります。自身を客観視できるようになると自己理解も高まります。

継続的に変化、成長できる

「質問」「行動」「振り返り」を繰り返すことで継続的な成長につながります。

セルフコーチングの一般的な進め方

セルフコーチングは一般的に次のような流れで進めます。

(1)目標を設定する

「自分がどうしたいのか」を自問自答します。「人生において、どのようなことを成し遂げたいのか?」「10年後のキャリアはどうなっていたいか」など、自問自答しながら目標を書き出していきます。

(2)現状を把握して目標と比較する

現状を把握し、目標とのギャップを知ることで次の必要なアクションが設定しやすくなります。「目標と現状のギャップはどれくらいあるのか」「目標達成を阻んでいる原因は何なのか」のように考えていきます。

(3)行動計画を立てる

目標を阻んでいる原因がつかめたら、現状と目標のギャップを埋めるための行動計画を立てていきます。たとえば「半年後のTOEIC800点取得する」という目標を設定した場合、「できるだけ毎日勉強する」といった漠然としたものではなく、「半年間でTOEICのテキストを3冊勉強する」「朝1時間勉強する」などと具体的なタスクに落とし込むことが重要です。キャリアの見直しであれば「どのように組織に貢献していくのか」を具体的タスクに落とし込んでいくとよいでしょう。

(4)振り返る

設定したプロセスとタスクが計画通りに進んでいるか確認し、「実行有無の確認」「できた理由・できなかった理由」を振り返ります。達成できなかったことはできなかった理由を分析して、次の行動の改善に活かします。

 

なお、コーチングはすぐに効果の出るものではありません。上記のような流れでPDCAサイクルを回し、習慣化していくことが重要です。

セルフコーチングを成功させるポイント

セルフコーチングを成功させる4つのポイントを紹介します。 

(1)普段意識していないことについて考えてみる

過去の経験や慣習に執着し過ぎると、思考の枠が狭くなり、「なぜ?」と追求しても新しい気づきは生まれにくいものです。普段意識しないことを考えてみたり、ふと感じたことをあえて深く考えたりすることで思考の枠が広がります。

(2)未来志向の問いかけをする

「今よりもいい状態になるにはどうしたらいいのか」「いつまでにどうなっていたいか」と未来志向の問いかけをすることが、新しい気づきや成長につながります。

(3)ポジティブ思考で問いかけてみる

自問自答していくと「なぜうまくいかないんだろう」「なぜどうして?」とネガティブな思考に陥りがちです。しかし、ネガティブな悩みを繰り返しても新しい発見はありません。たとえばコップ半分の水に対して「コップの水が半分しかない」か「コップに水が半分もある」では思考の方向性がまったく異なります。セルフコーチングでは、ネガティブをポジティブに変換して自らに問いかけることが重要です。

(4)自責で考える

設定した目標が守れなかった時、「仕事が忙しかったから」「環境が整っていないから」など他責にしてしまっては、セルフコーチングはうまくいきません。うまくいかなかった原因は自分にあると考えることができれば、自分で問題をクリアするきっかけが掴めるでしょう。

セルフコーチングをキャリアの見直しに活用する

コーチングは短期間では成果が出にくいため、短期的な目標の達成には向いていません。その半面、生涯必要な自己成長やキャリアの見直しには活かしやすいといえます。

セルフコーチングを継続することで、キャリアの中で経験する課題に対し、自分自身で解決策を見つけて行動できるようになります。ありたい自分がわかることで、将来のキャリアに対してもモチベーションが持てるようにもなるでしょう。とくにこの先のモチベーションを見失うことも多いミドル・シニアには、ぜひおすすめしたいスキルです。

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