失敗しない研修計画
本当に必要な人材を育てるために~教育体系のつくり方(2)
研修にはそれぞれに意図があるはずですが、全体として見たときに、それは整合性のあるものになっているでしょうか? 自社にとって本当に必要な人材を育成するためには、ある程度長期的な視野に立った体系的なプランが必要です。JMAの2人の営業担当者が、教育体系のあるべき姿について語る本企画。第2回は、教育体系づくりを成功させるために必要なポイントや考え方についてです。
(3)あるべき教育体系のポイントとは
――「経営戦略と人事戦略を合わせる」という部分については、どのように進めていけばよいのでしょうか。
社員B
理想的には、経営戦略や経営ビジョン、中期経営計画から、「今後事業がこのように展開していくので、こういう人材が必要になる」ということが分かり、今の人材ストックとのギャップと、今後どういう育成をしなければならないかが分かるので、そこを私たちがお手伝いするということになるのですが……
社員A
そこまでできている例は少ないのが現状ですね。実際、それをやろうとすると長期間のプロジェクトになったりします。そこまで行かなくても、「今の状況であれば課長にはこういうことができてほしい」というところまで言語化ができれば、その階層で学ぶべき内容は現状に合わせて変えていくことができます。
社員B
また、中期経営計画までは難しくても、私たちが提案書を作るときには、その企業のビジョンや理念については必ず踏まえて作ります。そうすることで、経営戦略と人事戦略の筋を通すことができ、教育体系を作っていくうえでもブレずに進めることができるのです。その際、理念が言葉だけでなく、それぞれの現場の行動にまで落とし込めていると理想的ですね。
社員A
ちなみに、たとえば事業環境の変化等により、等級の定義や役割も現状とずれてきてしまっているということもあると思います。そんなときには、あるべき等級のあり方や役割定義なども含めた、いわゆる人事制度改革(コンサルティング)からお手伝いすることも可能です。
(4)よりよい教育体系をつくるために必要な考え方
――教育体系を整備するというとき、うまくいくケースといかないケースの違いは何でしょうか?
社員B
何といっても担当の方が胸襟を開いてくださるかどうかですね。等級ごとの職能要件など情報を開示しつつ前向きに話してくださることが一番で、そのために私たちも、必要な守秘義務契約は交わさせていただきます。そういう情報がないと、残念ながらごく一般的な内容しかご提案ができなくなってしまうんですね。
社員A
私達とお客様とで 「一緒になって作っていける」のが一番ですね。
社員B
実際は人事の方も、上層部から指摘されたものの、現場レベルでどういうことが問題になっているかまではわからないことも多いんですよね。そういう場合は、まずはご自分で現場にヒアリングをしていただくのもよいですし、アセスメントなどを通じて問題を見える化してからとりかかることも可能です。そうすれば、上層部にもより通りやすいご提案を用意することができます。
<関連URL>
研修の効果を高めるアセスメント活用術(JMAが実施するアセスメント例も紹介)
――最後に、お二人から人事の方に伝えたい思いをぜひ聞かせてください。
社員B
教育体系を考えるにあたって、社内のことしか知らないと、なかなか課題感が分からないということがあります。JMAでは、東京や大阪を中心に人事の方々向けの説明会や交流会など、無料のものも含めてさまざまなイベントを実施していますので、まずはそういった場で、他社の人事の方と交流していただくのはいかがでしょうか。他社のケースを知ることで、自社の課題感も実感していただけるのではないかと思います。人事のご経験の少ない方にもおすすめです。
社員A
人の育成の仕事は、競争力の源泉だと思うんですよね。そこに取り組んでいればきっといい人材も入って来ますし、それが起点でいろんなイノベーションや化学反応が起きると思うんです。教育体系にまではなかなか手を付けられないケースもあるかと思いますがぜひ一緒に考えさせていただきたいですね。
社員B
人事の方と私たちの二人三脚ですよね。今は「セルフキャリアドック」といって、人間ドックと同じように自身のキャリアを見直していきましょうという動きがありますけれど、同じように研修制度も「ドック」していきましょう!