- TOP
- JMAソリューションニュース「HRトレンド」
- 最新ビジネス トレンドワード
- なぜ施策が空回りするのか? インテグラル理論で見つける組織の隠れたボトルネック
人気タグ一覧
公開日 : 更新日 : なぜ施策が空回りするのか? インテグラル理論で見つける組織の隠れたボトルネック
「研修直後は盛り上がるが、すぐに元のやり方に戻ってしまう」「新しい制度やツールを導入したのに、現場がまったく変わらない」といったことは案外よくあります。個別のプログラムや導入したツールが悪いわけではないのにこのようなことが起こる場合、実はもっと根本的な、構造的問題が潜んでいる場合があります。本コラムでは、組織や個人の課題を多角的に捉える「インテグラル理論」をヒントに、施策が空回りする理由と、その解決方法を紐解いていきます。

「4つの象限」で組織の現状を俯瞰する
インテグラル理論とは、アメリカの思想家ケン・ウィルバーが提唱したフレームワークで、人間や組織の成長を包括的に捉えることを目的としています。この理論では、物事を「内面/外面」「個人/集団」という2つの軸を掛け合わせた「4つの象限」で捉えます。
たとえば、企業の人材育成や組織開発に当てはめると、以下のようになります。
| 内面(目に見えないもの) | 外面(目に見えるもの) | |
|---|---|---|
| 個人 | ①個人の内面 (マインド、思考法、価値観) |
②個人の外面 (行動、専門スキル、知識) |
| 集団 | ③集団の内面 (組織風土、心理的安全性、関係性) |
④集団の外面 (評価制度、1on1の仕組み、ITツール) |
インテグラル理論における重要なポイントは、「これら4つの象限は互いに密接に連動しており、どれか一つだけを解決しても、全体を変えることはできない」ということです。どこか一つの象限がボトルネックとなり、成長が滞ってしまう場合があるというわけです。
3つの事例で見る「4象限のアンバランス」
施策がうまくいかないケースの多くでは、この4象限のバランスが崩れています。ここではよくある人事課題を例に、ボトルネックが発生する構造を見てみましょう。
例1:リスキリング・DX研修の場合
データ分析やITツールの使い方を学ぶ研修は、「②個人の外面(専門スキル)」を付与するものです。
しかし、受講者に「自ら業務の課題を発見する」という「①個人の内面(マインド)」が育っていなければ、ツールは宝の持ち腐れです。さらに現場に戻った際、上司が「新しいやり方で時間がかかるくらいなら、今まで通りやってくれ」という態度であれば、それは「③集団の内面」の機能不全にあたり、学んだスキルは発揮されずに終わります。
例2:自律型人材育成の場合
社員の自律を促すために、ジョブ型雇用やキャリア申告制度といった「④集団の外面(制度)」を新設したとします。
しかし、制度という器だけを与えられても、「①個人の内面(自ら考える力・主体性など)」が伴っていなければ、社員は結局「会社がキャリアを示してくれない」と指示を待つことになります。また、「③集団の内面(組織風土)」として失敗を許容しない文化が残ったままでは、誰も自律的な挑戦をしようとはしないでしょう。
例3: 1on1導入の場合
コミュニケーション活性化のために「週に1回、30分の1on1を実施する」という「④集団の外面(ルール)」を徹底したとします。
しかし、上司と部下の間の信頼関係や心理的安全性、つまり「③集団の内面」が欠けていれば、すぐに「苦痛なだけの業務報告会」と化してしまいます。結果としてコミュニケーションは向上するどころか、かえって低下してしまうことすらあります。
なぜ左側の象限(内面)の課題は見落とされがちなのか?
これら3つの例に共通しているのは、「右側(外面)のアプローチに偏り、左側(内面)が置き去りになっている」という点です。
このような偏りが起きてしまうのは、「外面」の領域(専門スキルや制度、ITツール)は数値化しやすく、導入もしやすいからです。他社の成功事例をそのままコピーして実施しているケースも少なくありませんが、裏を返せばそれが「できてしまう」ということです。
一方で、「内面」の領域(思考の癖、長年培われたマネジメントのスタイル、暗黙のルールなど)は目に見えません。とくに、同じ組織の中にいる当事者にとっては、その企業特有の風土やマネジメントの癖は「日常」であるため、客観的に見えなくなっていることも多いものです。
こうした場合、自社の中だけで議論をしていても、根本的なボトルネックにはなかなか辿り着けません。
解決への第一歩は、正しい「課題発見」から
施策が空回りしていると感じたとき、焦って新しい研修パッケージを追加したり、別のツールに乗り換えたりするのは得策ではありません。まずは立ち止まり、「自社の4象限のどこに、本当の目詰まりが起きているのか」を正しく見極める必要があります。
社内の人間だけでは見えにくい「内面(個人の思考や集団の風土)」の課題をあぶり出すためには、第三者の客観的な視点を入れてディスカッションし、課題を再定義することが最も有効です。
自社の見えないボトルネックはどこにあるのか。制度を活かすための「思考法」や「マネジメント力」「風土」といった「内面」は育っているのか。こうしたことを点検するプロセスを経て初めて、「今、本当に必要な打ち手」が見えてくると言えるでしょう。
隠れた課題の発見に役立つ「外部の目」
JMAソリューションは、研修をご提供する前の「お客様との対話」を何よりも大切にしています。お客様企業がどのような制度を導入し、現場でどのような壁にぶつかっているのか、社内からは見えにくくなっている「組織の隠れた課題」についても、共に紐解く壁打ち相手(パートナー)として伴走できるところに、私たちの価値があると考えています。
研修や施策についてご提案するのは、本当の課題が明確になってからです。「流行りの施策を導入したが、どうもうまくいかない」「自社の組織課題がどこにあるのか、一度客観的に整理したい」といったお悩みをお持ちであれば、ぜひ一度JMAソリューションにご相談ください。貴社の組織変革を前進させるための「正しい課題発見」から、私たちがサポートいたします。
■施策提案の前段階にあるJMAソリューションの強みについてはこちら
JMAソリューションが成長企業から選ばれる理由 >>
■「相談できる」のが最大のポイント。JMAの提供する「講師派遣型研修」の特徴について
コラム「講師派遣型研修」を選ぶ理由――研修手法別のメリット・デメリット >>



