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公開日 : 更新日 : 課題解決力のある中堅社員を育てる研修テーマ
変化の激しい環境で成果を出すためには、現場の課題に気づき、自ら解決へ導ける人材が欠かせません。中堅社員レベルでこうした力を身に付けておくことは、組織を活性化するだけでなく、次世代の経営人材に必要な戦略思考を養うことにもつながります。本稿では、課題解決力の定義や構成スキル、中堅社員に求められるレベル、さらに育成に役立つ研修についてご紹介します。
課題解決力とは何か
現場で起こるさまざまな問題を実際に解決するには、「気づき、整理し、行動して成果につなげる」一連の力が必要です。単に知識や技術を持っているだけではなく、複数の思考力・実行力・対人力を組み合わせることで発揮されるとも言えるでしょう。つまり課題解決力とは、こうした総合的な力を指すと考えることができます。
具体的には、課題を見抜く観察眼、論理的に筋道を立てる力、仮説を立てて検証する柔軟さ、他者を巻き込みながら進める協働力などを持ち、それを組み合わせることが課題解決につながると言えます。
こうした力は、いわゆる若手の時期を過ぎ、中堅社員と呼ばれる頃には身に付けておきたい力です。中堅社員は、現場の実務を担いながらも後輩指導や部署全体の業務推進に関わる立場にあり、上司の指示を待つだけでなく、自ら課題を見つけて改善に動けることが、組織の推進力につながるからです。また、中堅社員のうちにこうした力を身に付けておくことが、マネジャー層になったときに求められる戦略思考にも繋がっていきます。
課題解決力を構成するスキルとは
すでに述べたように課題解決力は単一の力ではなく、複数のスキルの組み合わせで発揮されます。具体的には、次のようなスキルが課題解決力の要素となると言えます。
① 課題発見力
課題解決にはまず「問いを立てること」が必要であり、その出発点となるのが課題発見力です。目の前の出来事から「本当の問題は何か」に気づく力、たとえば売上が低下した際、「営業力不足」と表面的に捉えるのではなく、商品設計や顧客ニーズとのズレといった背景に目を向ける力などは、課題発見力の典型です。
② ロジカルシンキング(論理的思考)
論理的思考とは、物事を因果関係や構造で整理し、筋道立てて考える力です。複雑な問題も、分解すれば「どこが原因で、どこに手を打つべきか」が見えやすくなるものであり、問題を解決するための初歩の一つと言えるでしょう。他者に説明する際の説得力にも直結します。
③ 仮説思考
仮説思考は、限られた情報から「たぶんこうではないか」と仮定を立て、検証を通じて確かめる考え方です。課題解決においては、早期に仮説を立てることで検証サイクルを回しやすくなり、解決のスピードを上げることができます。失敗から学び、再度試すというプロセスも促されるでしょう。
④ クリティカルシンキング
クリティカルシンキングは、自分の考えや常識を批判的に見直す力です。「本当にそうなのか?」「他の見方はないか?」と問い直すことで、思い込みに基づく誤った結論を防ぎます。客観的で冷静な疑いの目を持つことで、より精度の高い解決策に近づくことができます。
⑤ 説明力
ビジネスにおける課題解決は一人で成り立つものではなく、上司や同僚、顧客に「なぜそれが課題で、どう解決するか」を理解してもらう必要があります。周囲の賛同を得て、解決策を着実に実行につなげるためには欠かせない力です。
⑥ 巻き込み力
自分の提案がいくら正しくても、周囲の合意や協力なしには実行できません。相手の立場を理解し、メリットを提示しながら協働する姿勢は、組織で成果を出すためには不可欠であり、課題解決の「実行」の部分を支える重要なスキルと言えます。
中堅社員はどのレベルの力を身に付けておくべきか
中堅社員になると、現場での実務遂行に加え、組織全体を見渡し課題解決をリードする役割が期待されるようになります。そんな中堅社員に必要とされる課題解決のレベルについて見ていきましょう。
① 問題を構造的に捉えることができる
問題を小さな要素に整理し、優先順位や対応の順番を明確にできるのは、現場を知る立場だからこそ。成長に伴ってより大きな全体像を描き出すことができるようになるためにも、中堅社員のうちに到達しておきたいレベルです。
② 課題を設定することができる
単なる業務改善であれば若手社員にもできるかもしれませんが、中堅社員ともなれば「組織としてどこを目指すのか」を意識した課題設定が求められます。目標とのギャップから課題を定義する視点により、場当たり的でない、戦略的な取り組みが可能になります。
③ 周囲を巻き込んで解決に導くことができる
現場の中核を担う中堅社員には、上司や他部署、時には顧客をも巻き込みながら課題解決を進める実行力が求められます。単独ではなく協働で進めることで、より実効性のある解決策が生まれるからです。信頼関係や調整力が試される領域と言えます。
④ 施策を立案し、実行することができる
課題を分析して終わるのではなく、実際に解決策を立案し実行してこそ課題解決です。中でも、現場で仮説を検証しながら試行錯誤できるのは中堅社員ならでは。ここで結果を出す経験が次の成長にもつながります。
⑤ 部下や後輩の問題解決支援ができる
中堅社員は自分の課題解決に加え、後輩の問題解決を支援する役割を担います。問いかけや助言を通じて、相手が自ら考えるよう導く姿勢が重要です。後進の成長を支えることが、自身の課題解決力を磨く機会にもなるでしょう。
⑥ 横断的視点・全体最適の視点が持てる
中堅社員になると、自部門の成果だけでなく、組織全体の最適化の意識が求められます。自部門の利害に偏らず、他部署や顧客への影響も含めて考えることで、より効果的な課題解決につながります。
課題解決力をつけるために役立つ研修テーマ
JMAが提供する研修プロクラムの中から、とくに課題解決力につながるテーマをご紹介します。自社の課題に合わせて取り入れることで、より実践的な課題解決力を養うことができるでしょう。
学習する組織をつくる「システム思考」
複雑な事象を「構造」として捉え、要因のつながりを理解して本質的な解決につなげる能力を養います。参加型でツールや型を体得することで、実践的な力を育むことができます。
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課題設定力養成
不確実な時代に、指示待ちではなく「本当に取り組むべき課題とは何か」を自ら問い立てる力を育てます。ロジカル/ラテラルシンキングを学び、他者との交流で思考のクセを理解する構成が効果の鍵です。
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巻き込み仕事力向上
個人の業務に留まらず、上司・他部門・社外を巻き込みながら協働を創出する力を鍛えます。中堅社員が管理職を補佐し、組織成果に貢献するためのスタイルを多角的に学びます。
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ロジカルな思考力を鍛える問題解決力強化
ロジカルシンキングのプロセス(問題発見→原因分析→対策立案)をゼロベースで実践。ケース演習やディスカッションを通じ、現場対応力と自分の思考癖への気づきを得ることができます。
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課題解決力は戦略思考の礎となる
課題解決力は、中堅社員が現場で成果を出すための必須スキルですが、それだけで終わるものではありません。将来的にマネジャーとして組織をけん引する立場になったときに必要な戦略思考の礎とも言える力です。
戦略思考は、組織の方向性を見据えて長期的に意思決定する力であり、すぐに身に付くものではありません。その前提となるのが、日々の業務で課題を発見し、論理的に整理し、実行まで導く課題解決力です。中堅社員のうちにこうした力を鍛えることが、将来的に戦略的な視点を持つための土台となります。
課題解決力は、日常の実務で鍛えるだけでなく、研修を活用して体系的に学ぶことが、将来を見据えた人材育成にとっても大きな鍵となるでしょう。