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公開日 : 更新日 : 休み明けのモチベーションアップに効く、再スタートの技術
長期休暇明けは、従業員のモチベーションが低下しやすい時期です。このタイミングで、企業が個人の意欲を支援することで、チームの結束力やパフォーマンスの向上が期待できます。本コラムでは、休み明けの低下しがちなモチベーションを回復させるためのヒントや具体策をご紹介します。
休み明けは本当にモチベーションが下がるのか?
連休明けには多くのビジネスパーソンがモチベーションの低下を感じがちです。「連休明けにモチベーションが下がる」「連休明けは仕事への意欲が下がる」と感じる人が多いことを示す調査結果もあり、休暇明けのモチベーション低下は多くの人が経験する課題だと言うことができるでしょう。
このように、連休明けにモチベーションが低下する主な要因としては、以下のようなことが挙げられます。
生活リズムの乱れ
休暇中は起床・就寝時間や食事が不規則になりやすく、自律神経に影響を及ぼします。このことが集中力や意欲の低下につながります。
イベント後の反動
長期休暇は非日常のイベントのようなものです。休暇が終了すると非日常から一気に日常へ戻されるため、心理的な落差が生じ、「やる気が出ない」と感じやすくなります。
脳の“快”への慣れ
人間の脳には、快適な刺激に反応する「報酬系」と呼ばれる領域があります。休暇中のゆったりとした生活に慣れてしまうと、それが“快”と認識され、日常業務への復帰をストレスに感じるようになるのです。
モチベーション回復のために個人でできること
休暇明けにスムーズに仕事に戻るために、まずは個人でできる工夫を紹介します。
休暇中から徐々に日常に戻す
連休の最終日に、翌日のタスクを軽く整理したり、業務の流れを振り返ったりすることで、脳が仕事モードに切り替わりやすくなります。
小さなタスクから始める
初日から大きな業務に取りかかるのではなく、簡単な作業から始めることで達成感を得やすくなり、前向きな気持ちが生まれます。
生活リズムを整える
睡眠・食事・運動を見直すことで心身が整い、集中力も向上します。とくに軽い運動は、リフレッシュ効果や睡眠の質の向上にもつながります。
チームとのコミュニケーションを図る
休暇中に考えたことや感じたことを共有したり、目標をチームで再確認することは、チーム全体のモチベーション向上きっかけになります。結束力を高める良い機会にもなるでしょう。
新しい習慣を取り入れる
たとえば「朝10分の読書」「その日やることをメモに書く」など、新たな習慣を始めることで、日常に新鮮さが加わり、業務に対して前向きな気持ちになれます。
企業ができるモチベーションアップ支援
休み明けのモチベーション低下に対し、企業や人事部門、研修担当者が支援できることも数多くあります。ここでは、日常の人材育成施策とも親和性が高いアイデアを中心にご紹介します。
1on1や雑談の場を通じた“気づき”の支援
定期的な1on1やカジュアルな対話の場を設けることで、従業員のモチベーション低下や不調のサインに早めに気づき、適切な対応につなげることができます。また、リーダーがチームの目標を定期的に共有することも、チームの士気を維持するのに効果的です。
意図を持った“対話の場”で組織風土を整える
一方で、組織全体の空気や関係性に働きかけたい場合は、目的をもった「対話の場」を設計することが有効です。たとえば、ファシリテーターによる内省型のワークや、ピア・コーチングなどにより、個人の気持ちや価値観を共有し合うことで、心理的安全性を高め、職場全体のリズムを整えることができます。
学び直しや目標再設定を促す仕掛け
休み明けは“仕切り直し”のよいタイミングでもあります。年度の中間地点にあたる夏の時期に、個人・チームそれぞれで中間目標を見直す機会を設けることで、改めて目標への納得感や自律的な動機づけを引き出すことができます。スキルの再点検を兼ねたマイクロ研修(例:業務改善・コミュニケーション・生成AI活用など)を実施するのもよいかもしれません。こうしたプログラムを研修部門や組織開発部門が主導して行うことで、再始動のタイミングを“ポジティブな学びの機会”に変えることができるでしょう。
無理のない“スモールスタート”の導入
休み明けの週は、軽めのミーティングや業務整理から始めるなど、徐々に通常業務に戻す「ウォームアップ期間」を設けることで、従業員の負担感を軽減できます。再スタートを意識したペース設計も、組織全体のパフォーマンス向上につながります。
チームの一体感を取り戻すイベント設計
職場外でのリフレッシュの機会も、再始動には効果的です。チームランチやカジュアルな懇親イベントなど、非日常の交流によってコミュニケーションを促進し、チームの結束力を高めることができます。
これらの支援は、休暇明けだけでなく、年間を通じた人材育成や職場づくりの観点でも有効です。単発の施策ではなく、組織づくりや人材育成の観点から継続的に実施できれば、より理想的と言えるでしょう。
おわりに
長期休暇明けのモチベーション低下は、多くの職場で見られる現象です。しかし、生活リズムの見直しやチーム内のコミュニケーション促進、企業によるメンタルヘルス支援などを通じて、従業員の意欲を回復・強化することが可能です。休み明けの時期をうまく乗り越え、よい再スタートを切ることが、年間を通じた組織のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。