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公開日 : 更新日 : 管理職を疲弊から救うのは部下? 今、「フォロワーシップ研修」が再評価される理由

「管理職の罰ゲーム化」や「マネジメントの限界」といった課題は今、一時のトレンドを超えた構造的な問題として認識されつつあります。多くの企業がリーダー層への教育や支援を強化していますが、それがますますリーダーの負担を増しているという現実もあります。そこで今、注目したいのが、部下側のあり方に焦点を当てた「フォロワーシップ」という概念です。本コラムでは、なぜ今フォロワーシップが求められているのかを考察し、若手・中堅層の「指示待ち姿勢」を打破するための具体的な方法を提案します。

管理職を疲弊から救うのは部下? 今、「フォロワーシップ研修」が再評価される理由

誤解されがちな「フォロワーシップ」の本来の意味

「フォロワーシップを強化する」と聞くと、「上司の指示に黙って従う、素直な部下を育てること」と誤解されることが少なくありません。しかし、それは大きな間違いです。

フォロワーシップ研究の第一人者であるロバート・ケリー氏は、フォロワーシップについて「チームの目的達成に向けて、自律的に上司やリーダーを補完し、能動的に働きかける力」と説明しています。そのうえで、「批判的思考(クリティカルシンキング)」と「積極的関与」の2軸を用いて、フォロワーのあり方を以下の5つに分類しました。

  1. 模範的フォロワー:自ら考え、積極的に行動し、上司にも建設的な提言を行う(目指すべき姿)
  2. 孤立型フォロワー:批判的思考は高いが、行動が伴わず組織に冷笑的
  3. 順応型フォロワー:積極的だが、自分で考えず上司の言うことに従うだけのいわゆる「イエスマン」)
  4. 消極的フォロワー:自分では考えず、行動も消極的な「指示待ち」
  5. 実務型フォロワー:与えられた仕事はこなすが、それ以上のことはしないバランス型

現代の企業でよく見られるのは、若手・中堅社員が「順応型」や「消極的」に留まっていることによる問題です。こうした状態から脱却し、上司と対等な立場で組織の成果にコミットする「模範的フォロワー」となることが、本来あるべきフォロワーシップの姿です。

フォロワーシップが組織にもたらす3つの大きな効果

自律的なフォロワーシップが組織内に根付くと、次のような変化が期待できます。

①管理職の指示出し負担が軽減される

部下が自ら「今チームに必要なことは何か」「自分がカバーできる領域はどこか」を考えて動くようになれば、上司がいちいち細かな指示出しをする必要がなくなります。結果として、管理職は本来注力すべき中長期的な戦略立案や、より高次元な意思決定にリソースを割けるようになります。

②意思決定の質が向上する

変化の激しい現代において、管理職一人ですべての正解を導き出し、完璧な判断を下すことは不可能です。むしろ現場の最前線にいる部下の方が、正しい情報や顧客の肌感覚を持っているケースもあるでしょう。自律的なフォロワーシップが機能している組織では、部下から上司へ「その方針には現場視点でのリスクがあります」「別の選択肢も検討すべきです」といった建設的な進言が自然に上がります。これにより、リーダー個人の視野の死角がカバーされ、致命的なエラーの回避や、チーム全体の意思決定の質の向上につながります。

③1on1が本来の価値を取り戻す

近年、多くの企業で導入されてきた1on1ミーティングですが、中には「上司が無理に話題を探し、部下は受け身で答えるだけ」というように、上司の負担をいたずらに増やしているケースもあるようです。しかし、フォロワーシップが育ち、部下が自ら「壁打ち相手になってほしい」「この課題について知恵を借りたい」と考えるようになれば、1on1は本来目指していた「部下の成長と課題解決を実践する時間」へと変わり、1on1という手法が本来持っているポテンシャルを引き出すことにつながります。

自律型フォロワーをつくる3つのポータブルスキル

では、指示待ちの若手・中堅社員を「模範的フォロワー」へと引き上げるにはどうすればよいのでしょうか。そのためにはまず、フォロワーシップを「意識」や「精神論」の問題ではなく、以下の3つのポータブルスキルの集合体として捉えるのが有効です。模範的フォロワーの育成とはこうしたスキルを持つメンバーを育てることだ、と考えることもできます。

「メタ認知力」―自分の立ち位置を俯瞰する力

自らの役割は何かを把握するには、まず「当事者としての自分」から抜け出し、一段高いところからチーム全体を俯瞰するメタ認知力が必要です。こうしたスキルを鍛えることで、指示を待つ前に「今、上司は何に困っているか」「自分が担うべき役割は何か」を正確に察知できるようになるでしょう。

「論理的思考力・課題発見力」―上司に質の高い提案をする力

単なる思いつきや感情論ではなく、事実(ファクト)に基づいて事象を整理し、「何が根本的な課題なのか」を発見するのに欠かせないのが論理的思考力です。上司に対して説得力のある質の高い提案や解決策の提示をするのにも役立ちます。

■主張の説得力を増すのに欠かせない論理的思考力を学ぶ研修の例
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「アサーティブ」な対話スキル―適切な進言や耳の痛いことを伝える力

アサーティブとは、相手の立場を尊重しつつも、自分の意見を適切に伝えることができることを指し、そのようなコミュニケーションスキルのことをアサーションとも言います。「現場からの耳の痛い事実」を、単なる上司への反発としてではなく、建設的な意見として伝えるために不可欠な能力です。

■「すがすがしい自己主張」、アサーティブコミュニケーションに主眼を置いた研修はこちら
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階層に合わせた育成で「チーム力」を底上げする

管理職の疲弊という深刻な課題を前に、リーダーのマネジメント力向上を図ることはもちろん重要です。しかし、それだけで問題を解決しようとすることは、管理職の負担をますます増やすことにもつながりかねません。

真に強い組織を作るためには、一部のリーダー層に対する教育だけでなく、現場の屋台骨となる若手・中堅層に対して「フォロワーシップ」という観点からの育成を行うのも一つの有効な手段です。

先述した「メタ認知」「論理的思考」「アサーティブな対話(アサーション)」といったポータブルスキルは、待っていれば自然に身につくものではありません。自社の課題や社員の年次に合わせ、階層別研修の一環としてこれらを学ぶ機会を設けることも検討してみてはいかがでしょうか。

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