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外国籍社員にどう対応するか?職場の異文化コミュニケーションに必要なこと

公開日:2023/09/15 更新日:2023/09/15

企業のダイバーシティ施策が進み、外国籍社員の雇用も増えています。しかし日本の雇用慣習やコミュニケーションは独特な面が多く、異なる文化や常識を持つ外国籍社員との間に齟齬が生まれ、トラブルに発展してしまうケースもあります。異なる価値観を持った多国籍な人々が円滑に仕事をするために必要な、異文化コミュニケーションスキルについて考えてみましょう。

職場での異文化コミュニケーションが重要な理由

20231月に公表された厚生労働省の「外国人雇用状況まとめ」によると、日本の外国人労働者数は1,822,725人で、届出が義務化された2007年以降では過去最高の人数となっています。医療・福祉分野での増加が目立つものの、すべての業種で増加していて、日本企業が人材を確保するためには、外国籍社員の雇用が欠かせない状況になりつつあることが分かります。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30367.html

厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和410月)

一方で、厚生労働省による調査では、外国人労働者の離職率は約40%と日本人の離職率と比べて非常に高くなっています。背景として、日本人特有の慣習や曖昧なコミュニケーション方法が外国籍社員にマッチしないといった事情が考えられています。さらに外国籍社員の価値観に合った適切な指導法ができていない場合、トラブルやパフォーマンス低下につながってしまう場合もあります。

こうした中で、外国籍社員が本来のスキルを発揮して長く働き続けられるようにするには、外国籍社員のことを理解する異文化コミュニケーション力が重要といえるでしょぅ。

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000755660.pdf

厚生労働省 外国人の労働移動の分析 前雇用者の離職率の推移(2020年)

職場でトラブルになりやすいポイント

外国籍社員と一緒に働く際に、トラブルになりやすいポイントには次のようなものがあります。 

日本的な「暗黙の了解」

外国籍社員が私用で社用車を利用し、事故を起こしてしまった事例があります。日本では就業規則になくても「社用車は私用で使ってはいけない」という暗黙の了解がありますが、外国籍社員には「説明しなくてもわかるだろう」という日本人の感覚が通用しません。明確に就業規則に加えるなどルール化が必要です。

仕事の進め方の違い

仕事の進め方には文化によって違いがあります。たとえば、日本では「報・連・相」が重視されますが、自己判断で仕事を進めていくのが一般的な国もあります。そのため、上司が知らない間に仕事が進んでおり、トラブルやミスにつながることがあるのです。トラブル防止のためには、仕事の進め方についても事前に共有し、指示を出すこが必要です。

価値観の違い

部下への注意の仕方や教え方でトラブルになる例もあります。日本人同士であれば気にならないような注意の仕方だったとしても、国によっては「プライドを傷つけられる行為」と捉えることがあり、退職につながってしまうケースもあります。場合によっては、注意をする場合は人目を避けるなどの工夫が必要かもしれません。

異文化コミュニケーションにあたって意識するべきこと

外国籍社員との職場のトラブルを防ぐには、文化の違いを意識する必要があります。代表的なポイントを挙げてみましょう。

目に見えない違いもあるということ

異文化コミュニケーションには、言葉や外見など目に見える違いだけでなく、仕事に対する価値観、人生における優先順位の違いなど目に見えないものもあることを意識しましょう。

コミュニケーションスタイルの違い

「空気を読む」「阿吽の呼吸」などは日本特有のコミュニケーションです。外国籍社員には伝わらないため、あいまいな表現を避け、しっかりと言葉にすることが必要です。

時間感覚の違い

日本は仕事だけでなく交通機関など日常生活においても時間感覚が厳しい国です。国によって時間の感覚は違い、交通機関が遅れるのは当たり前という国や「待ち合わせ時間に遅れてもルーズという自覚がない」国もあります。お互いがストレスを抱えないようにまずは外国籍社員の時間感覚を知り、違いを否定せずに調整を図ってみましょう。

非言語的コミュニケーションの違い

非言語的コミュニケーションは言語の違いだけでなく、身振りや目つきなど国によって捉え方の違いがあります。日本では当たり前のジャスチャーであっても、他の国ではNGな行為と捉えられることがあります。

異文化コミュニケーションを円滑にするためのヒント

異文化を理解するためのヒントとして、次のようなことを意識するのもよいでしょう

まず日本ならではの文化、コミュニケーションを理解する

外国籍社員との違いに気づくためには、日本を知ることが必要です。まずは日本ならではの文化を知っておきましょう。先に挙げた「暗黙の了解」「時間に厳しい感覚」などは日本特有の文化です。

外国籍社員のことを理解する

相手の文化や価値観を理解するために、その国の文化や国民性などを知っておくといいでしょう。

 日本の文化やその背景を伝える

外国籍社員に合わせたコミュニケーションも大事ですが、外国籍社員にも日本文化や特性を知ってもらい、お互いがストレスのない状態でいることが重要です。日本のコミュニケーションの特性や目的なども伝えておくと理解してもらいやすいでしょう。

どのように異文化理解を深めるか

外国籍社員の雇用については、ここまで述べてきたような課題があるのに加え、準備するべきことも多いものです。専門知識のあるプロに協力を仰ぐことも一つの解決法といえます。

厚生労働省の「外国人雇用管理アドバイザー」制度

日本で増加する外国人労働者の雇用に向けた厚生労働省のサポート制度です。「外国籍社員の雇用で注意する点」「外国籍社員への教育方法」などについて相談・指導を受けることもできます。

参考:https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/anteikyoku/koyoukanri/index.htm

厚生労働省:外国人雇用管理アドバイザー

異文化コミュニケーションのための研修

外国籍社員のパフォーマンスを上げるためには、外国籍社員に対するマネジメント力の向上が必要です。外国籍社員への理解の促進、外国人とのコミュニケーションに対する既存社員の抵抗感や苦手意識など、ロールプレイングなどを通じて払拭していくのもよい方法です。こうした点について学ぶことで、多様なコミュニケーションスキルが身につき、異文化マネジメント力も高までしょう。

関連リンク

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