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公開日 : 更新日 : モチベーションアップに効く「ペップトーク」を身につける
ペップトークとは、個人やチームのモチベーションを高め、生産性を向上させるための手法の一つです。もともとはスポーツの世界で生まれたこの短い激励のスピーチは、多くのビジネスシーンにも活用することができます。本記事では、ペップトークの基本からビジネスでの活用シーンなどをまとめ、モチベーションアップのポイントを解説します。
ペップトークとは何か
ペップトーク(Pep Talk)の「PEP」には、「元気」「活気」という意味があります。つまりペップトークとは、「自分や相手のモチベーションを高めるポジティブな言葉がけ」のことを意味します。
ペップトークの起源は、アメリカのスポーツ界で、試合前に監督やコーチが選手を励ますためによく行われる短いスピーチにあります。現在はここから波及して、他のさまざまなシーンにおいても、相手の集中力やモチベーションを高めるコミュニケーション手法として活用されています。
ペップトークの流れ
ペップトークには、基本となる流れがあります。この流れを理解することで、相手の心に響くメッセージを届けられるとされています。
1.受容(事実を受け入れる)
相手の状況を否定せずに受け入れる言葉をかけます。自信をなくしている、不安になっているなどのネガティブな状態も、そのまま受け止める言葉から入ることがポイントです。
2.承認(捉え方を変換する)
受け容れた事実をプラスに捉え直し、承認します。マイナスの感情を抱えている人も、受容され、承認されることで、自分を認め、ポジティブな考え方ができるようになります。
3.行動(してほしい行動へ変換する)
「○○するな」と禁止する形で伝えるのではなく、「○○しよう」としてほしい行動を表す言葉で伝えます。こうすることで、声をかけられた相手は前向きな行動に目を向けることができます。
4.激励(背中を押す)
最後に、背中を押して行動へと送り出します。相手の心理状態がポジティブなのかネガティブなのかを見極めて、ポジティブなときは強く、ネガティブなときには優しくというように、背中を押す「強さ」を調整します。
重要なのは、「受容」と「承認」のステップを踏むことです。ネガティブな気持ちのときにいきなり「頑張れ」と言われてもプレッシャーになってしまいますが、「受容」と「承認」を経て受け容れられ、承認されたと感じることで、相手に信頼感を抱き、前向きな気持ちになれるからです。
ペップトークのルール
ペップトークの効果を高めるための言葉選びにはルールがあります。基本の流れに加えてこれらのルールを意識した言葉選びをすることで、より一層の効果が期待できます。
ポジティブな言葉を使う
「〜しない」というような否定的な言葉を避け、「〜しよう」と前向きな言葉で伝えます。
短く、わかりやすい言葉を使う
短時間で相手の感情を動かすためには、短く、誰もが理解できる言葉を使うことがポイントです。組織内の共通言語を使うのも効果的です。
相手が求める言葉を使う
自分が言いたいことではなく、相手がかけて欲しい言葉を選びます。たとえば、プレッシャーを感じて緊張しすぎている人には、「いつも通り、リラックス!」とリラックスを促す言葉が響きます。
こうした言葉も、口先だけで気持ちが入っていなければ相手に伝わりません。「一緒に成功しよう」「やり遂げたい」というように、本気で関わる気持ちがあることが前提で、それをしっかりと相手の心に伝えるには日頃から信頼関係を構築しておくことも重要です。
ペップトークで避けるべき言葉
ペップトークでは、ネガティブな言葉や指示は避けるべきです。なぜなら、人の脳は否定形の言葉がうまく理解できないと言われているからです。具体的には、「ミスしないで」というと、まず「ミスする」ということを脳がイメージしてしまい、その結果、「ミスする」というマイナスなイメージが伝わってしまうというわけです。
また、ネガティブな言葉は相手の緊張や不安を高めてしまい、本来の能力を発揮しづらくしてしまいます。
「ミスするな」と否定形で言う代わりに「楽しもう」「リラックスしよう」など、否定形を使わない言葉に変換することで、相手のモチベーションを高めることができます。
ビジネスシーンにおけるペップトークの活用シーン
ペップトークはさまざまなビジネスシーンで効果を発揮します。たとえば下記のような場面で、モチベーション向上に活用してみましょう。
指導・教育の現場
「学びは成功のチャンス」「知識を深めて、業務にもっと活かせるようになろう」などやる気にさせる声かけで、教育の効果が大きく上がります。
チームビルディング
チーム内で目指すゴールを再確認し、一体感を高めるために活用することができます。「私たちならできる」「ゴールまでもうすぐだ」など「私たち」という認識を印象付けることで、協力体制がより強固なものとなります
朝礼やミーティング
業績不振や月末の忙しさなどで、部署内に重苦しい雰囲気や疲労感が漂っている際に効果的です。「諦めずにやりきろう」「1日1つ目標を達成していこう」など、前向きに士気のあがる声かけをします。
プレゼンテーション
プレゼンテーションでは聞き手の心をつかみ、動かすことが重要です。そのために、ペップトークの手法が応用できます。
また、プレゼンを行うメンバーを勇気づける場面にも活用できます。「いつも通り落ち着いて、うまくいく!」「プレゼン、楽しもう!」といった言葉がけで、緊張を和らげ前向きな気持ちにさせることができます。
日常のコミュニケーション
チャットやメールなどの日常のやり取りにペップトークの要素を取り入れることで、相手との関係性を深めることができます。「この調子で次の案件も進めましょう」「大変だけど成長のチャンスだ」と短く、わかりやすい言葉で伝えることがポイントです。
セルフモチベート
自分自身の緊張を和らげたり、励ましたりするためにもペップトークは使えます。「私ならできる」「成功のチャンスだ」と自分に言葉を投げかけるほか、否定形が浮かんだときに否定形ではない表現に変更するだけでも効果があります。
ペップトークは、短い言葉で相手のやる気を引き出す強力なコミュニケーション手法です。ビジネスや教育の現場で活用することで、チームのパフォーマンス向上や個人の成長を促すことができます。日常のコミュニケーションにペップトークを取り入れ、チーム内の関係性強化にも活かしてみましょう。
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