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公開日 : 更新日 : 研修したのに効果がいま一つ。その理由と対策法
人材育成のためにコストをかけて研修を行ったのに、「社内から研修の成果を実感する声が聞こえてこない」と感じたことはないでしょうか。あるいは、「忙しい中部下を研修に参加させたのに効果がない」という現場の声に悩む人材育成担当の方もいらっしゃるかもしれません。本稿では、研修にまつわるこうした課題を解決し、本当に成果の出る研修を行うためのポイントをお伝えしていきます。

「研修なんて意味ない」と言われてしまう理由
せっかくコストと時間をかけて研修を行ったのに、「意味がない」と言われてしまうことがあります。たとえば、研修後にこんな声が上がっていないでしょうか。
- 「研修を受けたけれど、どう仕事に活かしたらよいか分からない」
- 「結局現場と研修は違うもの。呼ばれたから参加したが、時間のムダだった」
- 「部下が研修に参加して何か得てきたはずだが、内容も成果もよく分からない」
- 「研修の参加者を現場でフォローしたいが、何をしたらいいか分からない」
このような声が聞こえてきたら、せっかく研修を実施しても何かが足りない、「やりっぱなし研修」になってしまっている可能性かあります。研修の本来の目的を達成するためには、どこに問題があるのかを見直す必要があります。
なぜ研修の必要があるのか?~企業だけでなく個人のためでもある
「日々仕事に追われる中で、なぜその手を止めてまで研修に参加しないといけないのか?」というのは、研修の対象となった人がよく口にする疑問かもしれません。しかし、本来研修には時間やコストを投資する価値があるからこそ企業は研修を行うわけです。
とくに昨今のビジネス環境では、企業を取り巻く環境は日々変化しています。「働き方改革」「グローバル化」「少子高齢化や労働人口減少」「雇用形態の多様化」といったことがらは、企業内部にとどまらない、社会全体の問題となっています。こうした問題には、過去の体験や経験だけで対応することはできません。
企業が常に変化に対応できる状態であるためには、それができる人材を育成することが不可欠です。また、それは働く個人にとっても同じことで、自らの志向性に合った働き方を実現するためにも、エンプロイアビリティ(雇用され得る能力)を高め続ける学びが欠かせないと言えます。
こうした学びは、OJT=日々の仕事の中での学びだけでカバーできるものではありません。今行っている仕事の熟練度を上げるためだけならばOJTでもよいかもしれませんが、変化に対応できる力を身に付けるには、Off-JT=外部から取り入れる学びがどうしても必要になります。「変化に対応できる」「自ら考え行動できる」「これまでのやり方を変えることができる」「多様な価値観を理解し受け入れることができる」などの力は、その典型的な例と言えるでしょう。
研修対象者にこうしたことを理解してもらうだけでも、必要性の理解につながるでしょう。
研修という学び方ならではのメリット
「仕事の現場を離れ、時間を確保して学ぶ」という性質は研修の特徴であり、そのためにネガティブに受け取られる場合もあります。しかし、こうした学び方には以下のようなメリットがあります。
- 日々の実務の中では経験できない学び・気づきを得ることができる。
- 非日常の場で、日常の業務を振り返ることができる。
- 参加者の多様な価値観に触れ、自身を客観視し他者から気づきを得ることができる。
研修に共通する本来の目的は、より良い方向に向かって意識と行動を「変容」することです。「わかった」で終わるのではなく、実際に職場で「できる」まで到達し、それが他者にも良い影響を与え、個人の成長から組織の成長に繋がっていくことが理想の状態です。
「研修したのに効果がない」と言われてしまうのは、こうたことが実現できていないからだと言えるかもしれません。
「やりっぱなし研修」にありがちなこと~PDCAが回っていない
「やりっぱなし研修」になってしまうケースには、さまざまな原因があります。普段の業務についてはPDCAサイクルを意識して進めている方も多いと思いますが、PDCAが必要なのは研修も同じことです。そしてその際には、研修中だけでなく、研修前、研修後のあり方も含めて考える必要があります。
以下に研修前・研修中・研修後のそれぞれの段階で、知っておきたい注意点を見ていきましょう。
【研修前】参加者の主体性を引き出す
研修の目的を理解せず、「何となく言われたから参加した」という状態では効果が上がりません。必要なのは研修参加者が「自分ごととして参加する」ための下準備です。研修を行う前に、参加者に研修の目的を伝え、理解してもらうことが大切です。
実施する研修内容にもよりますが、具体的には、次のようなことをしっかり伝えるとよいでしょう。
- この研修は、現在もしくは将来、参加者本人が直面する課題をクリアするためのものであるということ
- 参加者本人が目指すキャリアステップを実現するにあたり、この研修が必要であるということ
参加者本人がこうした点を認識できると、研修の内容と業務がリンクしやすくなります。事前課題などにより、本人が抱えている問題点の洗い出しをするなどしておくとより効果的です。上司との面談で「研修の目的のインプット」「受講後のゴール設定」などを話してもらう機会をつくるとさらに目的意識が高まります。
■研修前に準備すべきことをもっと詳しく知りたいなら
【研修前】編 研修参加者をやる気にさせれば勝ち!そのポイントとは?>>
【研修中】できれば研修に立ち会う
研修が行われている間も、参加者本人が「研修内容が業務にどう活かせるか」を意識しながら参加することで効果が上がります。現在抱えている課題が研修内容によってどうクリアできるか、業務に落とし込むためのイメージを持たせつつ進めることが肝心と言えるでしょう。
そのためには、研修担当者が積極的に関与することも有効です。できれば社内の研修担当者が現場に同席するのが理想的。講師任せにすることなく、参加者のリアクションを見守りつつ、スピード感やトーンを調整しながら進めることができるからです。
■研修実施中に担当者ができることをまとめたコラム
【研修中】編 研修実施中に研修担当者がすべきこととそのポイント>>
【研修後】実施後のフォローで差がつく
多くの企業で、研修後には何らかのアンケートを実施しているのではないでしょうか。ただしそのアンケートでは、ほぼ参加者の「満足度」のみを聞いて終わってしまっているケースも多く見受けられます。
本来、研修後のアンケートにはさまざまな機能を持たせることができます。忘れがちですが重要なのは、「次回の研修に向けた課題の抽出」という機能。そのためには「満足度」以外にも測定すべきポイントがあります。
アンケートを上手く活用すれば、研修の意義を明確にすることもできます。研修の意義が明確になれば、次回以降の参加者のモチ―ベーションも向上するほか、研修実施部門の貢献度を示すことにもつながります。
■テーマ別の実例付き!より効果的なアンケート作成についてはこちら
【研修後】編② アンケートを最大限に活用する>>
なお、研修直後のアンケートで「ためになった」「勉強になった」とあり、満足度が満点であったとしても、それだけで終わってしまえば「やりっぱなし研修」になりかねません。研修直後は記憶も新しく、気分が高揚するので評価も高くなりがちですが、時間が経つと印象が薄まり、実践しようという意欲も低くなりがちだからです。
日常業務に戻り、研修参加者個人の心がけで行動を変えるのはハードルが高いもの。学んだことを実践してもうまく行かないこともあるでしょう。つまり、本人による取り組みだけでは限界があるということです。こうした状態を改善するには、他者の力を借りることがおすすめです。「何がうまく行かなかったのか」を上司からフィードバックすることや、定期的なフォローアップ研修を実施するのも一つの方法でしょう。
■研修後参加者の「その後」をサポートする具体的を読むなら
【研修後】編① 学んだ内容を定着させるアクション>>
以上のような対策を取ったうえで、研修本来の目的である意識と行動の「変容」について測定することで、研修直後のアンケートとは異なる情報が得られます。こうした情報を次回の研修に生かしていくことで、より明確にPDCAを回していくことができます。
「変容」には複合的な要素が絡むため、実際に研修によって何がどう変わったかを測定することは難しいのも事実です。しかし、アセスメントツールの活用や長期的な定点観測によって傾向をつかむことは可能です。測定したいことに合わせて最も適切な方法をご提案できるのは、JMAの強みでもあります。
■代表的なアセスメントツールなど、「変容」測定のヒントをまとめたコラム
【研修後】編③ 個人と組織の変容をどう測定するか?>>
おわりに-全体設計が研修を変える
研修は実施するだけでなく、準備からアフターフォローまでの全体像で考えることが重要です。今回ご紹介したようなポイントが、研修を計画するうえでのヒントになれば幸いです。JMAでもこうした研修の全体設計についてお手伝いをしていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
■本コラムのおさらいをかねて、チェックしてみたい「研修の落とし穴」リストはこちら
研修効果を損なう!?「10の落とし穴」とその回避策>>



