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公開日 : 更新日 : チームの力を高め、将来のマネージャー候補を育てる「中堅社員研修」

中堅社員は、企業の仕事の中核を担うメンバーですが、若手からベテランまで年齢層が広く、どういった層を指しているかというイメージも会社によってさまざまかもしれません。本稿では、中堅社員=職歴5年目前後~10年前後の、管理職未満の“チームリーダークラス”と定義。中堅社員に期待される「3つの役割」を踏まえつつ、そうした役割を担う彼らが身に付けるべきことは何か、どうやって身に付けてもらうのかを考えていきます。

「研修はやっているが現場が変わらない」「管理職候補の育成に苦労している」「中堅層の離職が目立つ」といった具体的な悩みについては、記事後半の「組織課題別の解決アプローチ」から、貴社の状況に合った解説記事もご覧ください

中堅社員

はじめに:中堅社員への研修の現状

中堅社員は実務の中核を担いつつ、周囲に影響も与える立場にあり、その成長は、組織の成果に直結する重要なテーマです。過去の定石が通用しないビジネス環境において、最前線でスピード感を持って活躍できる中堅世代の存在は、より一層組織を強くすると考えられます。

しかし、中堅社員層の育成はというと、やや優先順位が下がってしまっているケースが多いようです。たとえば、入社から約3年間の新入社員~若手社員に向けた研修や、管理職に向けた研修に力を注がれることが多い一方で、中堅社員層に向けた研修が実施されていないというケースは多く見られます。

中堅社員研修の優先順位が下がる理由としては、新入社員時代と違って周囲からは「一人前」とみなされ、本人もその自覚があるため、職場も本人も研修の必要性を感じにくいということがあります。さらに、業務の中核を担う中堅社員は多忙でもあり、研修に割く時間を取りづらいという場合もあります。

一方で、「育成の必要性を感じてはいるが、うまく研修企画できていない」という場合もあるでしょう。中堅社員は企業によって定義が異なり、入社時、昇進時のような明確なタイミングがないため、実施時期の設定が難しいということがあります。また、中堅社員に身につけてほしいスキルが多岐にわたるため、研修メニューをどうするかという問題もあります。

中堅社員に期待される「3つの役割」とは

まずは組織における中堅社員の役割と、身につけてもらいたいスキルについて考えてみましょう。

中堅社員は、自らの仕事について改善、創意工夫しながら質を高めるだけでなく、チーム目標の達成に向けて業務を牽引する立場にあります。若手時代と比べると、仕事の進め方が変わる転換期ともいえます。このことを踏まえて中堅社員の役割を整理してみると、下記のようなことが挙げられます。

若手社員に対してのリーダー役

若手社員に業務を計画的に教える、相談に乗るなど、若手社員を理解したうえで適切なアドバイス・コミュニケーションを取れるスキルが求められます。

上司をサポートするフォロワー役

上司をサポートするのも中堅社員の重要な役割です。チーム運営や対内外での交渉のほか、マネージャーの示した方針や目標、指示を具体化して若手社員に伝えるなどのスキルも必要です。

業務の中核を担うプレーヤー役

業務の中核を担う立場として、より生産性、付加価値が高い仕事を企画、遂行するスキルが必要です。小さなチームやプロジェクトのリーダーとして、率先して動くことが求められます。

中堅社員が育たないとどうなる?

中堅社員がこのようなリーダー役、フォロワー役、プレイヤー役を果たせるよう成長できているかどうかは、中長期で組織に大きな影響を及ぼします。中堅社員が期待される役割を果たせていない、あるいはモチベーションが下がっているような場合には、次のようなことが懸念されます。

若手社員によくない影響を与える

中堅社員は若手社員にとって近い存在であるため、彼らのロールモデルとなりやすく、仕事への姿勢や働き方などの面で大きな影響を与えます。中堅社員がその役割を発揮できない時には、指導、育成が機能しないだけでなく、若手社員にとって目標となる存在がない状態ともなりえます。場合によっては、若手社員の前向きなキャリアイメージを損なうことにもなりかねません。

組織のパフォーマンスに負の影響を与える

自身の業務の質を高めながらチームワークを牽引し、対外的な交渉の最前線に立つ中堅社員は、影響の範囲も広い存在です。この層が伸び悩むと、組織のパフォーマンスに直結します。

未来の管理職が育たない

プレーヤーとしては活躍しているものの、その他の役割を認識できないままの中堅社員を放置すると、5~10年後の管理職候補が全く育っていない、という状況が懸念されます。もしそうなってしまえば、管理職候補を外部から採用するなど新たなコストも発生してしまいます。

中堅社員育成のためのプログラムとは?

中堅社員が望ましい成長を果たすためには、まず求められる役割を理解すること、そして、キャリアの中でこの成長ステップが重要であることへの理解が必要です。業務アサインの中でそれが実感できればベストですが、そうではない場合にも、役割認識づくりとスキル獲得のための研修で補うことが可能です。

中堅社員向けの研修プログラムに盛り込みたい育成項目としては、次のようなものが考えられます。

求められる役割や行動への理解

自分の仕事だけでなく、チーム全体を考えて動く立場にあることへの自覚を養います。若手時代とは異なる働き方、役割について学びます。

指導・育成力

若手社員と信頼関係を構築しながら、彼らのやる気を引き出し、成長を促す指導法を学びます。

リーダーシップ

チーム全体を見渡し、働きかけながらリードするために、周囲を巻き込む行動、コミュニケーションのあり方などを学びます。

フォロワーシップ

フォロワーシップとは、現場でどう行動すべきかを主体的に考え、発案し、納得した上で組織の成果を上げるため行動する力のことで、上位の方針を現場で具現化している中堅社員にとって重要な能力です。リーダーシップとは補完し合う関係にあります。

業務遂行能力(企画・提案力、管理力、改善力など)

顧客提案やプロジェクトの質を高めるため、企画、運用する力を鍛えることも大切です。具体的には、ロジカルシンキング、問題解決力、発想力やプロジェクトマネジメントといったスキルに分解できるでしょう。

ヒューマンスキル(プレゼンテーション、ファシリテーション、交渉力など)

社内外との会議や折衝の場面で、相手にわかりやすく意図を伝え、合意を得るためのスキルも重要です。

中堅社員研修の効果を最大限に引き出すポイント

中堅社員向け研修をより効果的なものにするためには、次のようなポイントに留意しましょう。

研修の対象者やテーマは明確にする

冒頭に述べたように、中堅社員研修は、実施のタイミングなどが曖昧になりがちです。参加者により主体的に研修に取り組んでもらうには、他の研修以上に明確に、実施タイミングや目的を吟味する必要があります。“中堅層”をブレイクダウンし、どんなキャリアの節目や変化があるのか?その層にどのような組織の中での役割があり、育成課題があるのか?から、テーマを絞り込みましょう。

これまでの振り返り機会を設ける

若手時代とは異なり、ある程度仕事の進め方を身につけ、自分のスタイルを持っているのが中堅社員です。研修の中では、こうした「経験から育んだ自分なりのやり方」について振り返り共有し、今後を考える機会を設けるのもよいでしょう。このことが、「今の自分」と「これから目指したい自分」について考えるきっかけとなり、次のステップを見据えた行動を促すことにつながります。

実践の場を設ける

身につけた力を使いこなせるようになるには、実践の場を持つことが最も効果的です。中堅社員の場合であれば、実際にリーダーとして部下を持つ場、上司とチームのつなぎ役として、またプレイヤーとして、より責任の重い業務に挑戦する場を経験してもらうのもよいでしょう。

こうしたことを、ジョブローテーションなどを通じて複数の職種で経験してもらうことにも意義があります。将来の管理職候補としての経験を積むためです。

組織課題別の解決アプローチ

さらに、ここまで述べてきたようなポイントを、具体的な課題別に整理してみましょう。中堅社員をめぐるよくある3つの課題を上げ、その対策について詳細に論じた記事を紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。

課題① 分かっているはずなのに具体的な行動が変わらない【行動変容】

中堅層については、「役割は理解しているはずだが、現場での行動が変わらない」という悩みが他の層以上によく聞かれます。これには、中堅層特有の「板挟み」や「リソース不足」といった壁が影響しています。こうした状態のままでは、どんなに研修を行っても実践が伴わないということにもなりかねません。

下記の記事では、学んだスキルをどう実務に落とし込むのか、「実践率を高める」ためのポイントを解説しています。

課題②「担当者」としては優秀だが、管理職候補としては不安

【次世代育成・選抜】
実務能力は高く、ポテンシャルは高いと思うのに、視座がいつまでも担当者の域を出ない……そんな中堅層には、あえて「選抜」という外部刺激を与え、経営的な視点へと強制的に引き上げる環境の転換が有効です。

この記事では、将来のマネージャー候補にふさわしい力をつけてもらうため、壁を突破させる教育のあり方を提示します。

課題③ 優秀な人ほど辞めてしまう【定着・エンゲージメント】

30代前後のエース級社員が突如として去る背景には、中堅期特有の「キャリアの踊り場(プラトー現象)」があります。その対策として活用できるのが「教育」です。

下記記事では、研修を単なるスキルアップのためではなく、会社からの「期待のメッセージ」として再定義し、組織へのエンゲージメントを高めるリテンション施策を提案します。

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