1. TOP
  2. JMAソリューションニュース「HRトレンド」
  3. 成果につながる 研修活用ノウハウ
  4. 「越境学習」を実現する他流試合型研修のすすめ

人気タグ一覧

公開日 : 更新日 : 「越境学習」を実現する他流試合型研修のすすめ

他流試合型研修とは何か。なぜ注目されているのか

市場構造や顧客のニーズ、技術トレンドが急速に変わるなか、過去の延長線上だけでは正しいビジネス上の判断ができない局面が増えています。突然の変化により、自社のビジネスが急に立ち行かなくなる場合がある、ということは、コロナ禍を通じて多くの企業が経験したことでもあるでしょう。長く続けてきた考え方や社内の常識だけに頼っていることは、もはやある種のリスクだと言えます。
研修をはじめとする社員の学びも、社内に閉じていては視野が固定化されてしまう恐れがあります。そうした状況への解決策として注目を集めているのが、異なる立場の人と議論しながら学ぶ「他流試合型」の研修です。近年、社会人の学びのキーワードとして注目されている「越境学習」の一つの形とも言えるでしょう。
他流試合とは、他社の参加者と混じりながら、実践的なテーマについて議論やケースを通じて学ぶ研修のことです。正解のない問いに向き合い、参加者がそれぞれの立場から意見を述べ合うプロセスを通じて、新たな視点が獲得できるのが特徴です。社内研修では得られない視野や判断軸が生まれるといて、多くの企業で導入が広がっています。

■近年注目の学び方、「越境学習」について詳しく知りたいなら
越境学習でイノベーション人材を育成する>>
■新任役員研修としても人気のJMI(JMAマネジメントインスティテュート)の経営層向け研修プログラムはこちら
エグゼクティブ・マネジメントコース(EMC)>>
■他社の参加者とともに学ぶJMI(JMAマネジメントインスティテュート)の部長層向け研修プログラムはこちら
エグゼクティブ・ビジネスリーダーコース(EBL)>>

トップマネジメントにおける他流試合のメリット

こうした学びを最も必要としているのは、第一に役員層、部長層など経営やトップマネジメントに関わる人たちです。トップマネジメント層が他流試合型の研修に臨むメリットを挙げてみましょう。

■部長研修で押さえておきたい内容についてはこちらでも紹介
課長とは大きく役割が違うからこそ重要な「部長研修」>>

1. 社内の論理を超え、意思決定の質を高める

部長層以上の立場になると、日々向き合う意思決定は複雑さを増す一方で、社内の論理にも縛られがちです。無意識のうちに過去の成功体験に影響されたり、自社の文化や前提が判断を制限してしまう場合もあるでしょう。さらには、立場の変化で意見の対立が減り、自分の癖に気づきにくくなる恐れもあります。
他流試合には、こうしたトップマネジメント層の思考の固定化揺さぶる効果があります。異業種の部長や役員と議論するなかで、自社では常識だった判断が、別の組織ではまったく通用しないことに気づくなど、全くことなる前提との出会いが、意思決定の質を大きく高めます。
とくに新任役員にとっては、就任直後の1〜2年が「経営者としての判断軸」を形づくる重要な時期でもあります。こうしたタイミングで外部の視点に触れておくことは、今後のリーダーシップのあり方に直結する貴重な経験となるでしょう。

2. 経営者同士だからこそ話せる“リアルな情報”に触れられる

さらに、他流試合型研修に参加した経営層の多くが挙げるメリットが、 経営の実態を含む情報が共有されやすいことです。
たとえば、構造改革の社内的な苦労、事業部の赤字責任をどうとるか、新規事業の立ち上げ・撤退の判断、M&Aの成功・失敗といったテーマは、企業の公開情報ではわからない領域であり、同じの経営者同士、また互いに「学ぶ立場」だという心理的安全性があるからこそ語れる内容です。

3. 会社の未来像・変革テーマを社外の目で検証できる

部長以上の層になってくると、「組織をどう変えるか」といった抽象的なテーマに向き合う場面も多くなります。企業風土づくり、組織構造の最適化、新しい事業ポートフォリオなど、正解の見えないテーマについて判断していかなければなりません。

他流試合の場は、「他社はそのテーマをどう扱っているか」を知ることができる場でもあります。部長・新任役員にとっては、いわば「経営のセカンドオピニオン」が得られる場。社外との比較があることで、社内の課題の優先順位も見えやすくなります。

4. 自己認識をアップデートできる

部長層や役員層ともなると、自己認識のズレが組織に大きな影響を与えます。たとえば部長レベルで次のようなことが起こっていると、同じことがミドルマネジメントで起こるのと比べてより広範囲に影響が及ぶことは容易に想像できます。
「部下の話をしっかり聴いているつもりが、相手は『聞いてもらえていない』と思っていた」
「しっかり指示をしているつもりが、実は曖昧になっていて部門間連携が進まない」
「変革メッセージを発したつもりが、意図が現場で正しく理解されていない」

社内ではなかなか指摘されないこうしたポイントも、他流試合ではあっさり顕在化します。社内では忖度されて出てこないような率直なフィードバックも、初対面で立場も近い参加者との議論だからこそ得られるのです。

5. 孤独を解消する仲間ができる

部長層、役員層は、社内で悩みを共有しにくい層でもあります。経営判断の不安や誰にも相談できないプレッシャーについて、同じ役職のある他社の人たちと語り合える場は、経営層ならではの孤独を解消し、結果として判断の質にも影響します。
このように「同じ目線で対話できる仲間がいる」という実感は、トップマネジメント層になればなるほど大きな効能があります。

ミドル層へと拡大する他流試合のニーズ

トップマネジメント層での必要性が広く知られていた他流試合型研修ですが、近年は、その価値が、課長などのミドルマネジメント層、さらにはその候補層にまで広がっています。

背景には、次のような変化があると考えられます。

1.ミドル層の役割が「管理」から「変革推進」へと変化した

かつての課長は、与えられた方針を部門に落とし込む役割、いわゆる「管理」を中心に担っていました。しかし現在の環境では、現場と経営の間で意思決定し、組織を動かしていく変革の推進役としての振る舞いが期待されています。
こうした役割を果たすためには、社内の常識だけではなく、外の視点を取り入れた柔軟な思考が不可欠です。

2.組織横断・部門横断のプロジェクトが増え、異質な視点と対話する力が求められる

近年はどんな業種でも、部署の内部、あるいは社内だけで業務が完結することが減り、課長層が外部パートナーや他部署を巻き込んで動く機会が増えています。
こうした際に、異なる価値観を理解し、利害調整しながら前に進める力は、今のミドル層に必須の能力。他流試合研修の場で行う議論は、その実践的なトレーニングになります。

■現代の課長、ミドルマネジメント向け研修に必要なポイントをまとめたコラムは
現代の「ミドルマネジャー研修」のポイント【2025年版】>>

課長層・課長候補層にとっての他流試合の効果

こうした層が他流試合型研修に参加することで、次のような変化が期待できます。

  • 自社の業務のやり方や文化を客観視できる
  • 部門視点ではなく、全体最適で考える思考に切り替わる
  • 異業種のマネジメント課題に触れることで、視野が大きく広がる
  • 同じ立場の参加者からのフィードバックにより、自身のマネジメントスタイルの癖に気づく
  • 社内の常識を相対化でき、組織改革の突破力が生まれる

こうした視野をミドル層のうちから身に着けておくことは、将来部長層、経営層とステップアップしていく上でも大きな力になるでしょう。
そうした意味では、次世代経営者候補として選抜したい若手ハイポテンシャル層(30歳前後)にとっても、他流試合型研修は大きな糧となります。早くから視野を広げておくことは昇格後の伸びに直結するからです。また、同世代の他社トップ層を知ることは、本人の成長に向けた動機づけにもなります。

他流試合は上位層の判断軸を磨き、ミドル層で組織を動かす力を育てる

他流試合型研修は、部長層・役員層にとっては「意思決定力を磨く場」であり、課長層や課長候補層にとっては、「全体最適で考え、組織を動かす力を育てる場」だと言えます。
階層によって得られる価値は異なるものの、共通するのは、異なる前提や価値観に触れる「越境の学び」が、組織全体の判断力と柔軟性を高めるという点です。
近年、社会人の学びとして「越境学習」という言葉が注目されていますが、他流試合型研修はまさにその一つの形。他流試合型研修により越境経験が広がることは、組織が未来に向けて成長するための大きな力となるのです。

■近年注目の学び方、「越境学習」について詳しく知りたいなら
越境学習でイノベーション人材を育成する>>

■異業種企業の参加者との討議で学ぶJMI(JMAマネジメントインスティテュート)のミドルマネジメント向けプログラムはこちら
他流試合型ワークショップ>>

■新任役員研修としても人気のJMI(JMAマネジメントインスティテュート)の経営層向け研修プログラムはこちら
エグゼクティブ・マネジメントコース(EMC)>>

■他社の参加者とともに学ぶJMI(JMAマネジメントインスティテュート)の部長層向け研修プログラムはこちら
エグゼクティブ・ビジネスリーダーコース(EBL)>>

関連コンテンツ