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「昔学んだこと」をもう一度力に変えるために
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課長のための「学び直し研修」のススメ―
「昔学んだこと」をもう一度力に変えるために
課長(ミドルマネジャー)の研修といえば「昇格時の一度きり」というイメージが強いのではないでしょうか。しかし、数年の実務を経て役割の重さや難しさを実感する頃こそ、学びをもう一度整理し直す絶好の機会です。忘れてしまった基本を思い出し、経験を通じて深まる視点を取り込み、さらに変化する環境に対応するために有効なのが「課長の学び直し研修」という選択肢です。

なぜ「学び直し」なのか
階層別研修の中でも、新任課長が昇格と同時に受講する研修、いわゆる「新任課長研修」や「ミドルマネジメント研修」と呼ばれる研修は、とりわけ多くの企業で定着しています。リーダーシップ、部下育成、目標管理など、管理職に求められる基本を短期間で身につけてもらう大切な機会であり、JMAで実施する研修の中でも、最も多く行われています。
しかし、どれほど充実した研修であっても、数年が経つと内容の一部は自然と薄れてしまいます。これは決して能力の問題ではなく、忙しい実務の中で誰にでも起こる、きわめて一般的なことです。
一方で、課長として数年の経験を積んだからこそ、以前は見過ごしていたポイントに気付く瞬間もあります。「あのとき聞いた説明はこういう意味だったのか」「当時はピンとこなかったけれど、今ならよくわかる」といった「気づき直し」を、多くの課長がどこかの時点で経験しているのではないでしょうか。自身の経験が積み重なったことで、かつて学んだ知識が別の角度で見えるようになるのです。
このように、「忘れてしまう」、「今だから理解が深まる」といったことはごく普遍的な現象であり、それこそが、再研修が必要とされる大きな理由です。さらに、近年は働き方の変化や組織の再編、評価制度の改定など、現在の課長が新任の頃に受けた研修とは前提条件が大きく変わってきています。「学んだ内容を思い出す」という意味だけでなく、「現在の状況に合わせて、もう一度学びを調整し直す」という意味でも、学び直しの価値は高まっていると言えるでしょう。
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現代の課長が抱えている課題
課長やミドルマネジャーと呼ばれる人の役割は、固定された業務をこなせばよいというものではありません。メンバーの構成、上層部の方針、組織の課題、業務の繁閑等、常に変わり続ける状況に合わせ、課長は日々、判断と調整を繰り返す必要があります。
こうした忙しさの中で「基本」に立ち返る時間はどうしても後回しになりやすく、気づけば自己流が積み重なってしまうこともあります。その結果、「なんとなくうまく回らない」「部下との会話で違和感を覚える」といった課題が、少しずつ蓄積していくのです。
学び直しには、こうした課長自身の現在地について「棚卸し」を行う効果もあります。初任研修で学んだ枠組みや考え方を、現在の仕事と照らし合わせることができれば、「今の自分にとって何が足りていないのか」「どの部分を調整すればよいのか」がはっきり見えてくるからです。
■現代の課長・ミドルマネジメントが困っているポイントと対処法がわかるコラム
新任マネージャーの課題を理解し、支える方法を考える>>
課長の学び直しがもたらす4つのメリット
では、課長の学び直しには具体的にはどのような効果があるのでしょうか。ここでは特に実感しやすい4つのメリットを取り上げます。
① 役割認識のアップデート
初任研修で学んだ内容を、いま直面している具体的な課題と結びつけて再整理できます。経験を積んだ今の自分だからこそ、かつては理解しきれなかった部分が腹落ちし、結果として、課長としての役割認識が再定義され、行動の軸がクリアになります。
② マネジメントスキルの再点検
コミュニケーション、目標設定、育成面談、フィードバックなど、日常業務の中で自己流に寄っていた部分を把握し、リセットする機会になります。「なんとなくやっていた」仕事を改めて見つめ直すことで、ベースの質が一段上がるでしょう。
③ 変化した環境への適応
ここ5年の変化だけを見ても、リモートワークの浸透、Z世代の価値観、多様な働き方など、以前は存在しなかったマネジメント上のテーマが当たり前になっています。こうした内容はもちろん、個別に学んでもよいのですが、「課長の学び直し」として行えば、今必要なマネジメントスキルを整理した形で学ぶことができるでしょう。
④ 自信と視野の回復
課長職は、誰にも相談できず悩みを抱えやすい立場です。再研修で同じ課長層と対話することで、「自分だけではなかった」という安心感が得られ、同時に視野も広がります。明日からの仕事に向けた自信にもつながります。
いつ、どのタイミングで「学び直し研修」を行うべきか
一般的には「昇格後3〜5年」が一つの目安となるでしょう。ちょうど職場の課題に向き合いながら、仕事の複雑さを実感し始める時期でもあり、「もう一度学びたい」ニーズが生まれやすいタイミングだと考えられるからです。最初から、新任研修を「基礎編」、その後の学び直し研修を「実戦編」と位置づけるのもよいかもしれません。
これとは別に、企業として制度変更や方針転換があったタイミングも、学び直し研修の機会になり得ます。
おわりに:課長こそ、学び直しの効果が大きい
課長は組織を動かす要となる存在です。多くの企業で新任時の課長研修が重視されているのもそのためです。それだけ重要な存在だからこそ、数年後の学び直し研修という選択肢を持ち続けることが、組織全体の活性化につながります。
忘れてしまうのは自然なことであり、経験を積んだからこそ理解が深まることもまた自然なことです。この二つの現象を前提に、環境変化にも合わせて学びをもう一度整えることが、課長の学び直しの価値です。
日々のマネジメントで力を発揮し続けてもらうためにも、ぜひ「課長の学び直し研修」を検討してみていただきたいと思います。
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